2018年2月15日木曜日

第22回田園都市リウマチフォーラム


今回から、共催はファイザー製薬から中外製薬に変更になりました。もともとは、ファイザーが企画主催していた、元聖マリアンナ医科大学の山田先生の連続講演会を引き継ぐ形で始まったのですが、昨今のいろいろな大人の事情で、ファイザーが手を下したということです。

この手の会を行うことは、透明性・公平性などのいろいろな条件が求められるようになり、なかなか厳しい時代になってきたのですが、こちらもやるからには自分たちが勉強したいテーマをはずしたくはありません。

とは言っても、完全に自立して運営することは難しいので、ある程度の妥協はしかたがない。中外は何とかこちらの希望も最大限くみ取ってもらえて、初回としてはけっこう実のある会にできたように思います。

講演は昨年4月に聖マリアンナ医科大学に新しく着任した川畑教授による、「高齢リウマチの治療戦略」というもの。地域の中では、リウマチ関連では最寄りの大学ですから、聖マリアンナ医科大学との病診連携は重要で、川畑新教授には、ぜひこの会の存在を知ってもらい、今後もいろいろと協力をしていただければ嬉しいかぎりです。

超高齢化社会となった日本では、病気の発症も高齢化してきており、リウマチも例外ではありません。治療戦略は高齢になるほど限定的にならざるをえず、その選択は苦慮することが増えました。

問題点と、その対応について突っ込んだ話を聞くことができて、大変勉強になりましたが、同時に今日からの診療での疑問・悩みも増えたかもしれません。今後も、勉強を怠れないテーマの一つです。

さて、この会の重要な部分が「症例検討会」です。医学の知見は一つ一つの症例の積み重ねです。一つの症例が、全体に適応するとは限りませんが、その一つを疎かにしては医学そのものが成り立ちません。

今の製薬業界は、お互いに「一定の統計学的に妥当な知見」に拘って互いにけん制しあう状況にあります。これは、いろいろなデータ捏造問題などが発覚したためですが、少しでもコンセンサスが得られていない、あるいは根拠が明らかになっていない話は一切してはいけないということらしい。

たった一つの症例で、診断の妥当性、治療の方針などを語ることはもってのほか。ましてや、この手の会で、記録として文書に残すことは絶対にだめで、視覚的に見せたりするだけでも厳しい条件がつきます。

そんな難しい制約がありますが、今回は新横浜整形外科・リウマチクリニックの菱山先生に「妊娠希望のコントロール不良患者さん」の症例を提示してもらいました。

当然、妊娠・出産年齢も高齢化してきている現状では、今まで以上に問題となるケースが増えてくるテーマだと思いますので、リウマチ診療をしていると他人ごとではありません。

当然、正解は簡単には決められないのですが、いろいろな考え方がディスカッションされ、患者さんと治療の方針を決めていく際に参考になる話がたくさんあり、大変有意義な検討会にできたと思います。

おかけで、今後もこの流れを死守して、会を継続していくことが大変重要だなと再確認できました。