2020年11月8日日曜日

007 / サンダーボール作戦 (1965)

第3作はガイ・ハミルトンが監督しましたが、第1・2作を監督したテレンス・ヤングが復帰しての第4作は、初めての水中撮影をふんだん取り入れた海中での戦いをメインにしたものになりました。

ただし、ジェームス・ボンドは今回は一味違う。薄毛になってきたショーン・コネリーが、本作から鬘をかぶるようになったから・・・だけでなく、全体に偶然性に頼り出たとこ勝負になり、実際細かい所でへまが多くなりました。

今回の敵はスペクター。スペクターの首領であるNo.1はブロフェルドで、「ロシアより愛をこめて」に続いて白猫を抱えて顔出しNGでの登場です。本作でのメインの敵はNo.2のラルゴで、表向きには難民救済事業をしているようですが、何故か大金持ち。

NATO・・・今ではその存在が薄れている感じですけど、北大西洋条約機構という西側諸国の軍事共同体の保有する原子爆弾を奪取して脅迫するという話。直接的にも、間接的にもソビエト連邦はほぼ無関係。

ボンドガールは、最初に登場するのは残念ながら途中で死亡するという公式がありますが、今回はちょっと違う。ラルゴの裏を知らない愛人とスペクターNo.11の美人殺し屋が登場するんですが、No.11は凄腕のはずなんですが、味方の発砲で簡単にさよならします。

最後にボンドに味方をする愛人は、そのまま生き延びてめでたしめでたしとなります。公式的に死んじゃうのは、現地でボンドをサポートする女性諜報部員で、どちらかというと端役だし、そもそもボンドと恋愛感情は生まれてなさそうな人。

ギャグは少なくなってシリアス感は増しているものの、相変わらず都合の良い設定です。それがひたすら楽しい部分はあるんですが、最終決戦が海中というところでどうしても動きが緩慢。アクション映画としては、もったりとしてどうやっても長いだけという感じ。

実際にヤング監督は、水中撮影シーンはスピードが落ちることを自覚していて嫌っていたらしい。最終作ならまた監督しても良いと言い残して、ヤングは本作を最後にボンド映画から去っていきました。

ボンド作品は、原作者のイアン・フレミング、原案者、映画製作者などとの間で、たくさんの権利訴訟があるんですが、特に本作ではその影響が顕著。そんなこともあって、すでにボンドを引退していたコネリーを担ぎ出して、本作をリメイクしたのが本家とは無関係の「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」でした。