クリント・イーストウッドにとって、ハリウッドでのポジションを決定づけた「ダーティ・ハリー」、自ら初めて監督した「恐怖のメロディ」が公開されたのが1971年のこと。そして、それらに続く作品として主演したのがこの西部劇。
原題は「Joe Kid」で、イーストウド演じる主人公の名前。シノーラは、舞台となるメキシコ国境近くの汽車の終着駅がある街の名前。西部劇では土地の名前がつくタイトルが多いための変更かもしれませんが、そもそも製作者の意図を汲まなさすぎ。
この映画は、スタッフがすごい。監督は、「OK牧場の決斗(1957)」、「荒野の七人(1960)」、「大脱走(1963)」などのアクション映画で名を馳せたジョン・スタージェス。
脚本は、小説家としても人気があったエルモア・レナード。音楽はイーストウッドとの絡みも多く、「燃えよドラゴン」で名が知れたラロ・シフリン。そして撮影は、70~80年代のイーストウッドと切っても切れないブルース・サーティースです。
特に注目なのは、正当は西部劇映画を作ってきたスタージェスが異端西部劇のイメージが強いイーストウッドをどのように使うのかというところ・・・なんですが、正直言って、スタージェスには往年の切れが無く、登場人物一人一人の描き方が薄っぺら過ぎて深みが無い。
せめて得意のアクションで凄ければ許せるところなんですが、こちらもめりはりがなく最後の対決シーンもすかすかであまりにあっけない。西部劇ではあまり見かけない銃が登場したり、機関車で街の中に突入するのは面白いアイデアですが、それらを生かし切れているとは言えません。
スタージェス監督はこの映画では60代に入ったところでしたが、ビークは50代前半で以後はパッとしない作品ばかりで「巨匠」になりそこなったと言わざるをえない。イーストウッドは、同じく巨匠になれなかったドン・シーゲルから映画作りの基本を学びましたが、スタージェスは反面教師になったかもしれません。
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