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2020年12月4日金曜日

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 (1984)

「E.T.」と同時進行だった、ホラー映画の「ポルターガイスト」は制作にまわり、監督はB級ホラーで名を馳せたトビー・フーバーに任せます。スプラッタ・ムービーが得意な監督でしたが、ここでは一人も死人を出さず、リチャード・エドランドらによるSFXを上手く利用してスマッシュ・ヒットになりました。

1983年は、人気TVシリーズに触発されたオムニバス映画「トワイライトゾーン/超次元の体験」に中の一編を監督しています。スピルバーグ以外は、ジョン・ランディス、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラーが担当し、正直言ってスピルバーグの監督部分が一番つまらない。

施設の老人がこどもに戻るというスピルバーグらしいテーマですが、他の三人が特殊撮影・特殊メークを目一杯盛り込んでいるので見劣りは否めません。

その頃、「E.T.」は続編は完璧な出来だとして続編は断り、「レイダース」の第2弾の制作に着手していました。前作より1年前の話として設定され、今回は上海からインドの奥地に向かい、邪教を復活させようとする集団との戦いを描きました。

スタートは、上海のナイト・クラブ。名曲「Anything Goes」を中国語の歌詞に載せて、歌手ウィリーのケイト・キャプショーが登場します。往年のMGM映画のミュージカルのような構成はなかなか見応えがあります。

その後、上海マフィアとインディ・ジョーンズのやり取りは、ユーモアを混ぜながらスピーディなアクションの連続で、映画を盛り上げ本編の期待を膨らませることに成功している。

前作に登場したヒロインは、インディ・ジョーンズのように冒険家で、積極的に危険に関わっていける女性でしたが、今回のウィリーは都会派の女性で、インディの世界では異端な存在。

逆にウィリーが、驚き怖がって悲鳴をあげるコメディ・リリーフの存在なのですが、それが強調されすぎている。緊張の中で、ときどき場を緩ませるのには効果的なんですが、笑いを取るためにあえて盛り込まれた場面が多すぎ様に思います。「1941」の時のスピルバーグの悪い癖が出てしまった感じ。

「レイダース」のような、自分の恩師とその娘との過去の因縁といった、ストーリーに深みを与える設定が無く、インディ・ジョーンズとしてはたまたま巡り合せただけの事件というのも弱いところ。

呪術のような摩訶不思議な現象を取り入れて、ピンチを作るところも安易な設定。と、文句ばかり並べているようですが、実際のところスピルバーグ自身も、後に出来として良くないことは認めています。

とは言え、終盤のトロッコのチェイス、襲って来る大量の水、吊り橋でのアクションなどの連続的なスリルはさすがというところでしょうか。

肩の凝らないアクション映画としては、そこそこの出来ですが、もはやスピルバーグに期待されるものはこの程度ではないということです。この映画によるスピルバーグの一番の拾い物は、後に結婚することになるケイト・キャブショーとの出会いということになります。

また、この時期に「トワイライト・ゾーン」のようなTVシリーズ「世にも不思議なアメージング・ストーリー」の制作に着手しています。2シーズンで、45本のドラマが作られましたが、最初のうち「ゴースト・トレイン」、「最後のミッション」の2本については自ら監督も行いました。