2020年12月16日水曜日

ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク (1997)

スティーブン・スピルバーグは、「シンドラーのリスト」の後、丸々3年の間はメガホンを取らず、おそらく新たに持った家庭で良き夫・良き父親に専念していました。ちなみに1985年から1989年まで連れ添った前妻は女優エイミー・アーヴィング。そして1991年に再婚した相手は「魔宮の伝説」で知り合ったケイト・キャプショーです。

久しぶりに公開されたのは「ジュラシック・パーク」の続編。スピルバーグが、「インディ・ジョーンズ」シリーズ以外にパート2を撮るのは初めての事。

前作が大ヒットしただけに、当然大きすぎる期待がかけられますので、興行収入はそこそこでしたが、映画としての評価はパッとしませんでした。

最初に結論付けると、「恐竜が現代に蘇ったら」というテーマは、動く恐竜を見てみたいというロマンだけが頼り。結局、恐竜が暴れるきっかけとしてのストーリー展開はどうでもいいところがある。

特に、今回の話の目玉である都会に恐竜を連れてくるというのは名作「キング・コング」と同じ発想ですし、サンディエゴの市街地でティラノサウルスが暴れるというのは、「ゴジラ」のような怪獣映画を見ているようです。

「ジュラシック・パーク」はシリーズ化されましたが、この後の作品ではスピルバーグは製作総指揮に回って、自らは監督していないことがすべて。それなりに金を生み出すことは間違いないのですが、自分の映画監督としてのキャリアにはプラスにならないことを理解しているということだと思います。

今回の主人公は、前作の生き残りの数学者マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)。そもそも、前作でもなんで数学者がいるのかよくわかりませんでしたが、今回も恐竜テーマ・パークの生みの親てあるハモンド氏(リチャード・アッテンボロー)が指名したのがマルコム博士。

前作でパークを作った島以外に、サイトBと呼ばれる生育用の島があり、そこでは野放しになった恐竜たちが繁殖していました。前回の失敗を理由にハモンドから会社を乗っ取った甥のルドローは、サンディエゴの街にパークを再建するためにサイトBから恐竜を捕獲してこようとします。

ハモンドは生態の調査とルドローの計画を阻止するためにマルコム以外に、自然運動家のニック、精密機器の専門家エディ、そしてマルコムの彼女で古生物学者のサラ(ジュリア・ロバーツ)らを島に送り込みます。またマルコムの娘ケリーも無理やり同行。

恐竜が登場することは今回はケチりません。島に着いた一行は、早速ステゴサウルスと遭遇します。トリケラトプスなどを捕まえた捕獲隊を攪乱した後、ケガをした子ティラノサウルスを治療のため連れ去ったことで親の攻撃でエディを失います。

装備を失った両隊は何故か協力して、放棄されていた施設に向かいますが、その途中で一人、また一人と恐竜の攻撃でいなくなっていく。何とか本土と連絡を取り、ヘリで救出されましたが、ルドローはしっかりティラノサウルス親子を捕獲していました。

サンディエゴに連れてこられたティラノサウルスは、街で大暴れ。ルドローも噛み殺されます。マルコムとサラは子ティラノサウルスを使って親ティラノサウルスを船に閉じ込めることに成功しました。そして、ジュラシック・パークの存在が、大衆の知るところになりました。

生命科学進歩への不安とか、自然破壊への警笛とか、大企業の利益優先への批判とか、いろいろ訴えていることはあるのかもしれませんが、あまり深読みする映画ではありません。久しぶりに監督するスピルバーグが、カンを取り戻すのにはちょうど良かったのかもしれません。