2011年10月31日月曜日

トヨタ アクア (プリウスC) 価格予想 Part3 企業戦略

さて、昨日は今の日本の自動車産業の勢力図を簡単に整理してみたわけですが、そのあたりを長い前置きとして、一番気になるのがアクアの価格について考えます。

前回のブログでは、L・S・Gという3つのグレードについて、それぞれ165万円、178万円、188万円という予想をしてみました。

ただし、前回書いたような事情を除いて、純粋にハイブリッドを搭載した1500ccのコンパクトカーということで考えると、この値段ではなかなかトヨタの思惑(月産1万台)ほど売れないのではないかと考えます。

つまり、リークされたスタッフマニュアル情報などで、もう一度よく考えてみると、燃費を上げるための軽量化が、内装を中心に極端な質の低下につながっている。それがコストダウンにまでいけば納得できるのですが、その価格ではとてもお世辞にもそうとは言えません。

ここまで、トヨタの内部リークと思われる新型ハイブリッド・コンパクトカーについての情報は、購入希望者に多大な期待を抱かせるに十分すぎました。しかし、9月末に出された話以降、早くから注目していた人にとっては、かなりがっかりする内容が続いているのです。

まずはネーミング。プリウスというブランド名が日本のみはずされ、アクアという車名という情報がでました。ハイブリッドならプリウスと考えていた人には、けっこうショック。もちろん、プリウスという名が購入のネックだった人もいるでしょうから、これはどっちもどっち。

燃費は当初言われていた44km/Lを下回り、一般客が買う気がしない最低グレードのLで40km/L(10・15モード)、SとGについては37.5km/Lで実燃費では30km/Lに届くかどうか。また170万くらいからという価格情報についても、ほぼ必須と言えるメーカーオプションをつけるとこのクラスとしてはかなり高額な190万以上になってしまうと考えられました。

同じトヨタのヴィッツが基本的なベースにあるわけですが、結局ヴィッツの標準装備レベルを維持してハイブリッド技術の導入による上乗せを20万円程度と考えるならば、140万円から180万円程度の中におさまるのが妥当と考えます。総額200万を超えるコンパクトカーなら、どう考えても売れるとは思えません。

先の予想価格では、さらに20万円程度のオプションをつけて初めてヴィッツ並という装備になることを考えると、素の状態でL・S・Gのそれぞれのグレードの価格は145万、160万、170万というくらいが適当と考えますがいかがでしょうか。

携帯電話やレーザープリンターと一緒にしてはいけませんが、本体価格よりも後々の長期継続的メンテナンスによって利益を上げていくという手法はよくあります。現に現行プリウスは、ホンダのインサイトを意識した価格設定といわれ、価格を下げすぎて車体からの利益は非常に少ないと言われています。

トヨタが最大のライバルであるホンダのフィットを潰しにかかってくるならば、今回の新しい予想価格ぐらいの設定を考えているはず。ただし、その場合は自社のヴィッツも喰ってしまうことも覚悟しての話になります。そして、このくらいの価格であれば、マツダやスズキにもかなりのダメージを与えることは必至でしょう。

トヨタが一人勝ちを避けて、各社の共存を優先するならば・・・それも企業が安全に生き残るための一つの手段だとは思いますが、最初の予想価格ぐらいになるかもしれません。

トヨタは価格発表については、かなり慎重になっているようで、10月半ばのスタッフマニュアルにもまったく価格情報は書かれていません。通常だと発売の2ヶ月前くらいに価格が判明していることが多いのですが、今のところ何も情報はありません。

11月から販売店担当者向けの説明会があるようですから、ここで提示されるようですが、なかなか発表しないのは、消費者の車の購入意欲をアクア側に引き留めておくことかしか目的として想像できません。

この時期、エコカー減税の締め切りというのが、購入車種決定に与える影響を無視できない。年末の発売という異例の時期を選んだのも、そこを意識しているはずです。早くに価格が判明すると、減税に間に合う他社に客が流れてしまう可能性がある。

つまり、トヨタの一人勝ちの方向性に絞って、フィットを本気で潰しにかかってくる・・・ある意味、さらなる発展と利益の追求という企業としては健全な考え方・・・という作戦を描いているのでないでしょうか。

何にしても、我々一般人には、とても計り知れない企業戦略の駆け引きがあるんでしょうね。タイの洪水による部品調達難からくる減産も、減税に間に合わない不可抗力理由としてプラスに利用出来ます。また、増産体制のための期間従業員不足にも・・・

とにかく、価格が公表されるのを待つしかありません。そこから、トヨタの真の戦略が見えてくることでしょう。楽しみにしていたいと思います。スタッフマニュアルに堂々と「手の届く価格」と書いてありますが、トヨタが庶民の感覚を理解しているかどうかもわかりますね。