2021年3月17日水曜日

アンダーワールド ビギンズ (2009)

シリーズ第3作は、完全に中世の世界。ヴァンパイア族とライカン族の戦いの原点といも言うべきエピソードが登場です。邦題は「ビギンズ」ですが、原題は「ライカン族誕生」という感じ。これは「バットマン・ビギンズ」のパクリで日本の配給会社の安易な発想。

今回はライカン族の視点から描かれ、ヴァンパイア族の長であるビクターは完全に悪者です。第1作で登場したライカン族リーダーのルシアンを中心に、いかにしてヴァンパイア族の奴隷から解放されるかということ。従って、セリーンは登場しません。

シリーズ物の映画ともなると、どうしてもしだいにスケール・アップしていかないと飽きられてしまう。そこを、舞台を大きく動かし、本筋のスピンオフ的な位置づけにもかかわらず、一度リセットする感じでシリーズの価値をうまく継続させることに成功しているように思います。

おそらく前作で明らかになったヴァンパイア族とライカン族の出自から何世紀かたってからの話なんでしょぅが、ビクターが治める城の外の世界には、ウィリアム直系の人間に戻れないライカンがうようよしている時代。

城の中では、捕えた人間をライカンに噛ませ、ライカンを増やして奴隷として任用していました。彼らは、自らの意思で狼にも人間にも変身できるため、内向きにたくさんの銀のとげがついた首輪をつけられています。その中で生まれたのがルシアンで、ビクターはその能力を認め奴隷の中でも特別扱いをして重用していました。

ビクターにはソーニャという一人娘がいて、勇敢な戦士としても人望がありましたが、実は隠れてルシアンと恋仲になっていたのです。ルシアンは、今の境遇から脱出することを考え、ついに奴隷たちと共に城からの脱走に成功します。

しかし、ソーニャがその助けをしたこと、ルシアンとただならぬ関係にあることがビクターに知られてしまいます。監禁されたソーニャを助けるために一人で城に潜入したルシアンでしたが結局捕まり、ビクターの命により死刑が宣告され、彼の目の前でソーニャは開いた天井から日が射し死んでしまいます。

ルシアンは怒りと悲しみの極限で変身し、それに呼応したウィリアム直系ライカンや、城から奪取した仲間たちが一気に城になだれ込み城を制圧するのでした。ルシアンを信頼するレイズは、「戦いは終わった」と告げますが、ルシアンは「始まったばかりだ」と返すのでした。

セリーンはソーニャと生き写しだったので、ビクターが後に家族を全滅させる際にセリーンだけは殺さなかったということで、ソーニャを演じるのはローナ・ミトラですが、メイクのせいもあるかもしれませんが大変似ていて違和感がありません。

当初、セリーン役のケイト・ベッキンセイルのキャスティングが考えられていたようですが、実現しませんでした。たぶん、ルシアン役を演じたマイケル・シーンとは一作目の時は事実婚関係(こどももいる)だったのですが、その後別れてしまったというが関係している・・・んだろうなと勘繰ります。

その他、1作目と2作目に登場した人物が、同じ俳優で演じられるので、シリーズとしての統一感は崩れていません。セリーンが出てこない分、ちょっと寂しい感じはしますけど、ストーリーの焦点がはっきりしているためドラマとしての完成度は高いように思いました。