目下のところ、シリーズ最新作、第5作目がこれ。
まだその手があったのか、という感じでヴァンパイア族とライカン族の抗争に集中した話になっていて、前作でモダン化しすぎたシリーズ・カラーが復活しました。
前作で登場したセリーンの娘、イプはその血を求めて相変わらずライカンから狙われています。セリーンは、イブの身の安全のため別れ、その行方すら知りません。ライカン族を新たに統率し強力にしたのはリーダーのマリウスで、彼はイブの行方を求めてセリーンを襲撃してくるのです。
ヴァンパイア族はあいかわらず古き因習に縛られ、血の純潔を絶対視して、掟を破ったセリーンは追放されました。しかし、新たに元老院のメンバーになったセミラは、マリウスの力が脅威になってきた現状を考えると、セリーンを呼び戻し処刑人の訓練に当たらせることを考えていました。
前作で、セリーンをサポートしたデヴィッドの父親トーマスは、元老院に意見できる存在なので、セミラはトーマスからセリーンを戻すことを提案させます。しかし、セミラの真の目的はセリーンの血を得ることで、自らが元老院を支配しようと画策していたのです。
罠にはまったセリーンは、仲間殺しの汚名を着せられ、セミラによって監禁され血を抜かれます。トーマスとデヴィッドはセミラの企みを察知しますが、デヴィッドがセリーンを連れ出す際、トーマスは盾になってセミラに殺されてしまうのでした。
セリーンとデヴィッドは、北の一族、ヴァルガのもとに避難しますが、そこでデヴィッドが死んだ三長老の一人アメリアの息子であり、一族をおさめる正当な後継者であることが明かされました。
しかし、そこも安全な場所ではなく、たちまちマリウスが率いるライカンの大群に襲われます。マリウスはセリーンが本当にイブの居所を知らないことがわかると、ついにセリーンを殺してしまいました。引き上げられたセリーンの遺体は、ヴァルガらに伝わる秘法により「聖なる世界」へ転じられます。
デヴィッドは、マリウスが元老院を襲撃すると考え、自分の運命を受け入れ戦いに戻っていきます。セリーンの血を飲んで力を得たセミラが、本性を出して元老院を服従させようとしているところに、デヴィッドが戻り、セミラの悪行を暴きますが、ちょうどそこへマリウスのライカン軍が屋敷の襲撃を開始しました。
ライカンは屋敷内に侵入し壁を打ち抜くことで日光を導き入れたため、ヴァンパイアたちは圧倒的な劣勢に立たされます。そこに「聖なる世界」から半分白くなった髪の毛で戻ったセリーンが、さらなる力を得て登場し、ついにマリウスとの一騎打ちとなるのでした。
戦いの中でマリウスの血を口にしたセリーンは、マリウスの強大な力がマイケルを殺して得た血液を飲むことで得ていることを知り大きな衝撃を受けます。マイケルの血液が底をつくため、今度はイブの血液を求めていたことを知るのです。
前作と本作はいずれも90分程度にまとめられていて、比較的スピーディに話が展開します。ヴァンパイア族とライカン族の戦いに集中したストーリーで、過去の因縁の代わりに、セリーンとイブの血を巡る戦いに絞ったことが映画を明快にしました。
また、そこへヴァンパイア族の中にビクターに代わる新たな裏切り者をつぎ込んだことで、話に立体感が加わっています。ちなみにセミラを演じるのがララ・パルヴァーというイギリスの女優さんで、最初ジョディ・フォスターかと思うくらいよく似ています。
最後にセリーンの独白で、両族の抗争が終結したこと、セリーンを含めて新たな長老が選出され、一族の再建を図っていくことが語られます。ということは、ほぼシリーズとしては完結という雰囲気。
ただし、もともと第6作まで予定があるようなアナウンスがあり、実際に最後のシーンはイブ?がセリーンに会いに来たところで終わっていて、いかにも続きがありそうな気配を漂わせています。とは言っても、主役のケイト・ベッキンセイル自身は「やり尽くした」と発言しており、次回作への出演は消極的。
女性が活躍するアクション映画としては、それなりに楽しめましたが、さすがにこれ以上続けてもストーリーが迷走するか、二番煎じに終わりそうなのでやめておいた方がよいかもしれませんね。