整形外科では再診をなるべく増やせることが基本戦略になります。一人の患者さんが1回受診することで得られる診療報酬を患者単価といいますが、外来では内科は5000円から7000円。整形外科では2000円~3000円といわれています。
標準的な診療所では、内科なら1日に30人から40人の患者さんが来院されれば経営的には問題ないようですが、整形外科は80人以上、できれば100人というのが目標になります。
これは患者単価がないかの半分ですが、診療所のスペースとしてはリハビリスペースの関係でないかの1.5倍から2倍必要だからです。内科は30~40坪程度ですが、整形外科は最低でも50坪。
うちは75坪あります。かなり広めなので、その分、リハビリのスペースは広く、また待合室もかなりゆったりとしている方だと思います。これは、将来的な業務拡張にも対応できるように自分で決断した広さですから、家賃が高くても文句は言えません。
そんなわけで、整形外科は数をこなしていかないといけないということになるわけです。はやっている整形外科は朝から、患者さんが一杯待っていて、リハビリの順番を待っていると聞きます。
その大多数はお年寄りです。診療書では、高齢者の膝や腰の痛みの治療が多くなりますので、昨今の高齢者医療抑制政策の影響をもろに受けてしまいます。
ところが横浜市都筑区は、とにかく人口の平均年齢は37.5歳という全国的に見ても超若い。老人施設はむやみやたらと増加してはいますが、とにかく高齢者比率は大変低いわけです。若い世代ではけがが多くなるのですが、骨折などはたいてい病院に行かれてしまうので、診療所にはなかなか受診しません。
そんな状況ですから、いまだに当直バイトをやめられないという話になるわけですが、それでも何とかここまで生き残っているのはいろいろな要素があります。
経営的には最大の支出は人件費ですから、少ない人数で仕事をこなしてくれるスタッフの力が大きい。もちろん、その分自分も院長だからとふんぞりかえっているわけにはいきません。「まぁ、よく動く院長だねぇ」と患者さんに言われたことがありますが、動かざるを得ないわけで、自分でできることは自分でするしかありません。
そして収入を支えているのが、関節リウマチという病気であることは間違いない。患者単価は内科並みになりますから、「芸は身を助ける」じゃありませんが、何とか少ない患者数でもやっていられる大きな原動力なのです。
ですから、よりいっそう勉強をして、大学病院で行う治療と同じレベルのことを地域で提供できるように努力したいと思うわけです。そこに、大学の外来を続ける大きな意味があります。
また当直も大変役に立っている。と、いうのもリウマチ患者さんは内科的な問題も多く抱えているので、手足のこと以外は知りませんとは言えません。当直しているとほとんど内科の仕事ばかりなので、何とか自分の専門外を補う役に立っているわけです。
一般の若い患者さんについては、なるべく早く治すのは当たり前ですが、ちゃんと説明をして理解してもらうことが、これも当たり前ですけど重要で、次に問題が起こったときにリピートしてもらえることが目標になります。