千住博という方は、なんとなく芸術家の千住三兄妹の一人というくらいの認識しかなく、特に妹の千住真理子のバイオリンのCDは、けっこうデヴュー当時からいくつか持っていたりします。
長兄の博氏は現代日本画で、最も有名な一人。最近知ったのですが、自分と同い年。ということは、マイケル・ジャクソンとも同い年。しがない開業医と比べるのは失礼なほど、その世界では注目されているわけです。
浅学で日本画というと、東山魁夷くらいしか名前が出てこない。国宝にでもなりそうな画風しか思い浮かばないので、千住博の絵はそういう固定観念を覆すものかもしれません。日本画という技法の枠を使って、もっと自由な表現の拡大に成功したということでしょぅか。
特に滝を題材にしたものは数多くあり、墨の黒色と白金泥の白色とのコントラストが生み出す、水の流れ、落ちる音などの描出は見事です。似たような絵が多いのですが、一つ一つに個性が感じられます。
ただ、落ちた滝壺の絵が多い。水しぶきの混乱はドラマチックなのかもしれませんが、これは、ある意味終焉です。自分としてはこれから落ち始める滝のスタート地点の方が、この後の想像力をかきたてられて面白みを感じる。
軽井沢には常設展示をしている美術館がありますので、興味をお持ちの方は是非一度立ち寄ってみるとよいと思います。また、絵画、あるいは日本画に興味のない方も、ちょっとした発見があったりして面白いのではないでしょぅか。