クリニックの夏季臨時休診のお知らせ
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2014年12月1日月曜日

クリスマス・オラトリオ

本当に、本当に、早いものて、もう12月。1年なんて、あっという間です。そう考えると、人の一生なんてものも、宇宙全体の時間軸からすれば、ほんのほこり程度のもので、毎日あれこれやっているのも、大したことではないのかもしれません。

興味が無い方には、まったく意味のないことではありますが、300年前の・・・とくると、あーまたバッハの話かいと・・・その通りなんですが、例えば300年前のドイツの地方都市のライプツィヒで、人々はどんな暮らしをしていたのかと。

みんな敬虔なルター派プロテスタントのクリスチャンで、毎週日曜日ともなると、12月のまだ暗くて寒い朝から、みんなが着飾って教会へ向かうんですよ。

道路はもちろん舗装なんてされていませんから、馬車の轍は雪が残ってぬかるんでいるかもしれません。ヒートテックだって無いわけですから、紳士淑女の皆さんは、やたらと着膨れしてなおさら歩きにくい。

教会についても、石造りのやたらと天井が高い空間ですから、当然冷え切っているわけです。きっと、隣の人と触れるくらいに近づいて着席していたんでしょうね。それでも、1か月後にせまったクリスマスを楽しみにして、蝋燭に火を灯したことでしょう。

さて、クリスマスはキリスト教の暦の中でも、お祝いムード豊かな大きなイベントです。バッハは、このクリスマスから新年に続く降臨節のために、わざわざ特別な音楽を用意したのは1734年のことでした。

ひとつひとつは独立した20分程度の、通常のカンタータと同じような構成ですが、明らかに関連性をもたせた6部61曲からなる連作として作られています。そして、バッハ自筆の総譜には「オラトリオ」という記載が残されています。

オラトリオは、聖書などの宗教的題材をもとにして、一定のストーリーのもと、器楽演奏、独唱、重唱、合唱などのいろいろな形式の音楽の組み合わせから成り立っています。世俗的なストーリーを持つオペラと似ている部分がありますが、演技や小道具はありません。

オラトリオの中で、特にイエスの受難の話に絞ったものを受難曲と呼んでいます。 これは17世紀なかばからドイツで流行った形式で、バッハの代表的な宗教曲である、マタイ受難曲やヨハネ受難曲がこれにあたります。

実際には18世紀初頭からは、テレマンやヘンデルらによる、聖書の文章に制約を受けない自由詩によるものが人気がありました。バッハも受難曲の中に一部自由詩を取り入れていたものの、聖書の語句やコラールにこだわるところが、当時としては古臭い感じだったのかもしれません。

クリスマス・オラトリオ BWV248 には自由詩がかなり取り入れられていますが、その作者は不明で、おそらまマタイ受難曲と同じピカンダーと推測されています。

最大の特徴は、その1~2年ほど前に演奏した世俗カンタータからのパロディがほとんどを占めている点にあります。特に主要部分に引用されているのは、BWV213 「岐路に立つヘラクレス(1733年9月」、BWV214 「太鼓よとどろき、ラッパよ響け(1733年12月)」の2つ。

ほかにも、わずか2か月前に初演したBWV215 「おのが幸を讃えよ、祝されしザクセン」、同じく直前に作られ今は失われているカンタータ(BWV248a)、失われた1731年のマルコ受難曲の一部などがパロディとして転用されていることがわかっています。

第1部 歓呼の声を放て、喜び踊れ
 降誕節第1祝日(12/25)
第2部 このあたりに羊飼いおりて
 降誕節第2祝日(12/26)
第3部 天を統べたもう君よ
 降誕節第3祝日(12/27)
第4部 ひれ伏せ、感謝もて
 新年・キリストの割礼と命名祝日(1/1)
第5部 栄光あれと、神よ、汝に歌わん
 新年後第1日曜日
第6部 主よ、勝ち誇れる敵どもの息まくとき
 顕現節(1/6)

全体を通して、基本的には管楽器を多用して祝典色の強い、歓喜の調べが基調になっています。もちろんバッハは、その日の中でも多彩な調性やテンポを織り交ぜて、さすがの作りになっていますので、2時間強を続けて聴いても飽きません。

受難曲に比べると、やや人気の点で劣るのか、録音は少なめ。基本的に、4大宗教曲すべてを制覇するつもりが無いと、演奏されないようです。たとえば、カラヤンもマタイとロ短調ミサだけで満足なのか、ほかのものは録音がありません(何故かマニフィカトだけある)。

ガーディナー先生は、1987年の録音があり、さすがのモンテヴェルディ合唱団の見事さもあいまって大変素晴らしい。実は1999年のクリスマスから始まった、教会歴に沿って毎週カンタータを連続演奏する「カンタータ巡礼」のトップに演奏されたのがクリスマス・オラトリオでした。

この時の模様がDVDになっていて、しかも輸入盤でも日本語字幕付きなんです。視覚的にも楽しめて、カンタータ巡礼のスタートだけに、こちらの演奏の方が緊張感もあって素晴らしい演奏になっていると思います(最近Blurayでも発売されています)。

クリスマス近くには、クイケンによるOVPPのものが発売予定になっているので、これも今から大注目だと思います。