2017年3月6日月曜日

荒鷲の要塞 (1968)

1968年、イギリス・アメリカ合作の作品。

監督はブライアン・G・ハットン、原作と脚本がアリステア・マクリーン。マクリーンは「ナバロンの要塞」で有名な冒険活劇ものの作家。

主演が、当時エリザベス・テイラーの旦那だったリチャード・バートン・・・なんですが、ここでは、注目したいのは準主役として登場するクリント・イーストウッドの映画として、何とか今でも命脈をつないでいる。

バートンは酒に溺れて、すでに俳優としての盛りは過ぎた感があり、実はこの映画の撮影中も素面であった時間はほとんどなかったのかもしれないという状況。イーストウッドは、バートンの酒を抑える役目もあったらしいという話もあるくらい。

それはともかく、イーストウッドはイタリアで「マカロニ・ウェスタン」に火をつけ、アメリカに凱旋帰国したわけですが、60年代のあいだはエージェントはいろいろな作品に出演させ、イーストウッドの人気をどの方向にもっていくのかかなり混乱していたました。

この映画では、第2次世界大戦でのイギリス軍情報部とドイツ軍警備隊の対決が主軸にありますが、表向きはヨーロッパ侵攻の鍵を握るアメリカ軍将軍が捕らえられている難攻不落の要塞に、イギリス軍の精鋭たちが救出に向かうという話。

イーストウッドは、唯一アメリカ軍からこの作戦に参加するわけですが、イギリス軍情報部・・・まぁ、スパイですから皆ドイツ語を話すことができるのですが、アメリカ人のイーストウッドだけはドイツ語を離せないという設定。

つまり、台詞は少な目。もともと「名無し」三部作では無口なガンマンを演じたわけですから、まぁあまりべらべら喋るのもどうかというところでしょうか。主な説明の台詞はバートンにまかせ、アクションをイーストウッドが担当している感じです。

さて、この話の複雑なところは、イギリス軍情報部の中にドイツの二重スパイがいるということ。実は、アメリカ軍将軍は偽物で、二重スパイをあぶりだすためにイギリス側が仕組んでわざとドイツ軍の捕虜になったのです。

バートンが唯一信用できるのは、極秘に単独行動ょする昔からの盟友の女スパイとアメリカ人のイーストウッドだけという状況で、ただでさえ忍び込むのは不可能と言われている荒鷲の要塞に向かうわけです。

 ドイツのスパイは誰なのか、難攻不落の要塞にどうやって侵入するのか、そして脱出の方法は? 手に汗握るスリリングな大冒険戦争活劇・・・となるところなんですが、映画としての評価はそれほど高くはありません。

まぁ、戦争娯楽大作としてはまぁまぁのまとまりなんだろうと思いますが、全体に長すぎでスリル感が薄まっている感は否めない。作戦の展開を画面で見せる伏線が長いわりに、いちいちバートンの説明台詞も多く、いろいろと突っ込みどころは満載です。

イーストウッドの初めて戦争物で、まぁそれなりに若くて元気なアクションを見るのにはいいかな、という感じの映画です。