パンを作るのに最低限必要な材料は、小麦粉・水・イースト・塩の4つ。
この基本材料で作れるのがバゲットですから、ある意味、基本中の基本という事ができます。とはいっても、実際の作業の中では、もう少しいろいろと使うことはあるわけですけど。
ここでパンの特徴からの分類をまとめておきます。
ハード 焼いた表面(クラスト)が硬いもの。
ソフト 表面も中身(クラム)も柔らかくふっくらしたもの。
リーン 「簡素な」という意味で、基本材料のみで作られるもの。
リッチ 砂糖、油脂、乳製品などを配合して作られるもの。
ハードでリーンなパンの代表がバゲットです。ソフトでリーンなのは、いわゆる食パン。ソフトでリッチなものと言えば、バターロールなどが思い浮かびます。リッチなんですが、ハードともソフトとも言えない複雑な立場にあるのがクロワッサンです。
このグルテンが膨らんで、パンの独特の食感を生み出しているので、グルテンの含有量により、薄力粉(6.5~8.5%)、中力粉(8.0~10.5%)、準強力粉(10.5~12.0%)、強力粉(11.5~14.5%に分類されています。
一般的にはパン作りには、グルテンが多い強力粉が有利なのですが、フランスパンのようなハード(硬め)なパンを作る場合は、ちょっと少なめの準強力粉か中力粉を利用することになります。また、ちょうどいい感じになるようにブレンドされた専用粉も売られています。
イースト(酵母)は、菌の一種でアルコール発酵をする事で生地を膨らませる働きをします。この時、糖分を取り込み、生地を広げる炭酸ガスと生地の伸びをよくするアルコールを発生させます。イーストの発酵をうまくコントロールすることが、パン作りの極意ということが言えそうです。
イーストの養分として小麦粉に含まれるデンプン質が利用されますが、よりストレートにイーストが利用しやすい砂糖を加える場合があります。ただし、生地の甘さを抑え、小麦粉のデンプンを分解しやすいモルトエキス(大麦から作る濃縮された麦芽糖)を利用すると、発酵が安定し焼き色をよくする働きがあります。
イーストが最も活発に発酵するのは37~38゚cですが、その温度で作業すると一気に発酵してしまうので、実際のパン作りではもっと低い温度で少しずつ発酵させます。また、弱酸性の環境下の方が活性化される特徴もあります。
手作りパンにはまった方は、イーストそのものから作る(天然酵母)こともしますが、一般には扱いやすいドライイースト、または顆粒状にしたインスタントドライイーストが便利です。
塩は、パンの味に影響し、グルテンの粘り・弾力を強める働きがあります。イーストの発酵を抑制する働きもあるので、少しだけ注意が必要な場合があります。塩の種類はとくにこだわる必要はありません。
これらを混ぜて捏ねるためには水が絶対に必要ですが、基本的に水道水でOK。天然水を使う場合には、イーストの発酵に影響するのでアルカリ性の水は適しません。
また、小麦粉の種類によって最もグルテンが出やすい水の量は決まっているので、量は厳格に測ることが重要です。最も、より美味しくなるという理由で水分量をわざと増やす多加水パンという技術もあるのですが、初心者にはかなりハードルが高い。
いろいろなところで、いろいろなパン作りのレシピを見ることができますが、これらの基本材料をどのくらい用意すればいいのかが必ず示されています。この時、よく目にするのがベーカーズ・パーセントというもの。小麦粉の量を100%として、それ以外のものの量を表しています。