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2019年7月2日火曜日
「闇営業」問題
最近、日本のエンタメ界で最大の話題になっているのが、吉本芸人さんたちの「闇営業」問題です。
事務所を通さず、個人的に仕事をすることを、メディアは「闇営業」と呼んでいるわけですが、少なくとも自分も大学病院勤務の時には、「闇営業」の当直バイトをずいぶんとしていました。
今は、おそらくそんなことをしなくてもいいくらい研修医でも給料が出ていますが、当時の研修医の待遇はひどかった。
大学での当直は「研修のため」ということで当直料は、月に何回しても5000円だったと記憶しています。最大で月に15回当直したことがありますが、それでも5000円。当然、当直明けの翌日もフルタイムで仕事をしました。
そもそも、研修医は1年契約で、1年目の基本給は5万円、2年目は7万5千円、3年目は14万円だったでしょうか。6年目から正職員に採用されて20万円だったように思います。交通費、有給休暇は無し。住宅手当だけ2万円くらいあったかも。
そんなですから、自分の所属している科だけでなく、個人的なつながりで当直のバイトをいろいろ斡旋してくれる先輩が何人かいました。月に一度くらいは、土曜日の夕方から月曜日の朝までの市中病院での当直をしないと生活できません。
当然、所属医局の許可は無いわけで、何かトラブルが起きたら責任は自分にかかってくるというリスクを伴っているわけですが、当時はそんなことよりも、お金をもらえることが優先でした。
吉本芸人の問題は、根本的に彼らが事務所と契約書を交わしていないということが問題なのではないかと思います。口約束でも法的には契約は成立するといわれていますが、きちんと紙面でいろいろな条件を取り決めでいないというのは、正当性に欠けると言わざるをえない。
つまり、給料の保証が無く、芸人たちは生きていくためには事務所を通さない仕事が必要であったと思いますし、また事務所も暗に知っていて黙認していたはずです。
そして「闇」と呼ばれるもう一つの理由は、その仕事先が反社会的勢力からのものだったということ。反社会的勢力といっても、いまどき表立って「暴力団」ですと名乗ることもないでしょうから、仕事に行くまではおそらくわかりようがない。
もともと、この手の芸能事務所は「××興業」と名乗っていることが多く、大物芸能人が言ってましたが、以前はほとんどの仕事は相手は反社会的勢力だったらしい。確かにそうだろうなと思えます。今でも、それなりの繋がりは細々と残っていることは容易に想像できる。
表営業の芸人の出演料は、吉本に支払われるわけですから、人気が無い、実力が無いを理由に仕事を回さず放置していた罪は事務所にあるように思います。きちんとした契約をして、ある程度の生活の保証をした上で、すべきこと、すべきではないことをはっきりさせないと、今後もたくさん同様の問題が明るみに出そうな感じがします。