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2020年6月2日火曜日

感染再燃


福岡では新型コロナウイルスの感染蔓延の第2波が始まった・・・と、しきり報道されていますが、これは「再燃」が正しい。第2波は一度終息した後の感染蔓延が再開した場合。

基本的に、緊急事態宣言が解除されただけで、まだ第1波が終息したわけではありません。しいて言うなら、中国由来と考えられるクルーズ船が第0波で、おそらくヨーロッパ由来の現在の蔓延が第1波と言えるかもしれません。

緊急事態宣言による・・・というより、「志村けんさんショック」が一番大きかったと思います。志村さんが亡くなってから、急激な来院患者さんの減少が顕著になりました。

そして、緊急事態宣言を出した方が良いという方向に、国民意識が明らかに変わったと思います。そして、実際4月~5月半ばまでの自粛はすごかった。

法的拘束力のない自粛要請にどれほどの効果があるのかと疑問の声が、国内だけでなく外国からも聞かれましたが、今や海外でも「Japan Mystery」とか言われるくらい効果が上がったことは間違いない。

ただし、長期間の自粛生活は限界もあり、緊急事態宣言が解除されそうという報道が出ると5月半ば以降急に街の人出が増えてきました。

また、暑くなってきたのもあり、マスクを使用しない人も急に増えた感じがします。濃厚接触という状況を回避するためにも、今しばらくはマスクも我慢するしかありません。

自粛が緩んで人と人との接触が増加すれば、感染者が再び増加に転じることは当然の話です。ウイルスを封じ込めればいいだけなら、徹底的に自粛を続けるか、あるいは緩やかな経済活動を維持しつつ集団免疫が得られるまで犠牲を払うかの二つに一つ。

ただし、自粛を続けるのなら経済が停滞し、それはそれで死活問題になる。日本の場合、効果的な政策支援が無いだけに、これ以上は無理と言うもの。

感染者の増加は、クラスターが発生してもリンクが追えるものはそれほど心配ありません。感染経路が不明の市中感染は、増えると厄介です。

そこで、日々の感染者数やPCR検査の件数とかより、重要な指標になりうるのは推定値ではありますが実効再生産数(R)です。一人の感染者が何人にウイルスをうつしているかという数字で、1以下なら感染は終息に向かうと考えることができます。

緊急事態宣言が解除された5月25日の時点で、国内全体では0.68。東京は0.57、神奈川は0.68、福岡はすでに増加傾向があり1.64でした。

5月31日の実効再生産数は、国内全体は1.15、東京は1.45、神奈川は0.63、福岡は7.5です。福岡は、5月30日には21.01という驚愕の数字を出していました。これらの変動は、感染者数の大小などによって、大幅な影響を受けるので、細かい所で一喜一憂する必要はありません。

ただ、国内全体の数字を押し上げているのは、絶対数の多い東京でじわじわと感染者数が増えていること、そして福岡で急激にクラスターが多発したことが影響していると思われます。

これから経済活動を増やしつつウイルスと共存しながら、実効再生産数をなんとか1、あるいは1未満を保つという難題に挑まないといけない。ある意味、やるだけなら「自粛」は一番簡単な対策だったと言えるかもしれません。