特に、ベニー・ゴルソンらとのコラボが有名で、アンサンブルのうまさ、そしてファンキーな味わいはなかなか癖になる。
コルトレーンの「ブルー・トレインBlue Note)」に参加した当たりから名が知られるようになり、60年代にはリーダー作も多い。
「ブルース・エット」は、フラーの代表作であり、ジャズ全般の中でも名盤の誉れが高いアルバムですが、ここでもゴルソンのテナーとアレンジが絶妙に効いている。
情感に任せてバリバリと音楽を奏でるというより、より音楽的な抑制された構成の中で、あらかじめ譜面に書いてあったかのような整然としたアドリブが進行します。
ちょっと冷たい感じがするかもしれませんが、全編にわたって実に気持ちよくスイングしている。初期のステレオ録音ですが、楽器の定位をはっきりさせていることも、音が混ざらずクールな感じを強くしているかもしれません。
このアルバムのもう一人の立役者は、ピアノのトミー・フラナガン。名脇役とよく言われますが、出しゃばり過ぎず、自分の持ち場ではシングルトーン中心に転がるようなアドリブの妙が雰囲気を引き出しています。
長すぎず短すぎずの平均6分程度の曲がレコードだとA面、B面にそれぞれ3曲ずつ配置され、意図したのかしないのか、ちょうどいい構成も名盤と呼べる一因ではないでしょうか。
ちなみに、1993年には再会セッションで「パート2」が制作されていますが、こちらは同窓会としての意味以上はあまり無くて、同じ曲を懐かしいメンバーで楽しんだという程度。