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2021年11月24日水曜日

ミスト (2007)

原作は、ホラーの巨匠、スティーブン・キングの1980年の小説。監督は、キング原作としては「ショーシャンクの空に」、「グリーンマイル」の映画化を手掛けたフランク・ダラボン。ある意味かなりの問題作です・・・

霧の中から恐怖がやって来るのは、ジョン・カーペンターの「ザ・フォッグ(1980)」と共通ですが、もちろん関連はありません。しかし、冒頭でカーペンターの「遊星からの物体X」の映画ポスターが主人公の家の壁にかかっていることから、一定のリスペクトをしているものと思われます。

昨夜の雷を伴った嵐によって、湖畔のデヴィッド・ドレイトン(トーマス・ジェーン)の家は倒木でめちゃくくちゃになり、息子のビリーと同じく被害を被った隣人のブレント・ノートン(アンドレ・ブラウアー)と町へ買い出しに向かいます。湖面には不気味な霧が立ち込めていました。

スーパーで会計の順番を待っていると、顔から出血したダンが走りこんできて、「霧の中に何かがいて襲って来る」と叫びます。気が付くと、もうあたりは霧が立ち込め、視界がほとんどなくなってしまいました。自家発電機の具合を直そうと、裏のシャッターをあけた途端に、鋭い触手のような長い者が入り込み若い店員が犠牲になります。

店内に閉じこもるしかない状況で、それぞれの精神状態は次第に緊張が高まっていくのです。車のショットガンを取りに体にロープを巻いた客が外に出ると、強い力がかかりあわてて引き戻すと下半身だけになっていました。そして、夜になると巨大な昆虫のようなモンスターが表のガラスを割って侵入し犠牲者が出ます。

神による最後の時が来たと言う狂信家のカーモディ夫人は最初は相手にされませんでしたが、次第に彼女に同調する者が増え始めました。けが人のために隣の薬局に向かったデヴィッドたちは、俺たちのせいだと言いながら体内から無数の幼虫を放出して死んだ軍人を見つけます。そのことを知ったカーモディは、一緒に店内に閉じ込められていた二等兵を問い詰め、軍が異次元への扉を開く実験をしたという噂を聞き出します。

カーモディに扇動され恐怖に自制心を無くした人々を二等兵をリンチにし、店の外へ生贄として放り出すのです。ついにデヴィッドらは外に脱出する決意をしますが、カーモディらが立ちはだかりビリーを生贄に差し出せと言い出します。そして、カーモディを射殺して何とか車で脱出しましたが・・・

この霧とモンスターの発生原因はSFですが、そこについてはほとんどきっかけに過ぎず話の内容に絡んでくることはありません。そしてホラー映画なのかというと、一見、モンスター・パニックと言うのがあっているかもしれません。

しかし、実際は、かなり宗教的なというか、恐怖を前にした人間の本性を描き出すのが最大のテーマのようですし、主人公たちの選択が必ずしも正しいわけではなく、人は間違いを犯すことを徹底的に見せつける映画になっています。

この結末の後味の悪さは前代未聞で、本当にここまで悲惨な結末(原作とは異なるが原作者は絶賛)をよくも考えたというところ。監督は、見た人がそう感じるのを承知の上で、それこそが狙いであり、全ての人に受け入れられないことを目指したと述べています。

であるなら、最初からストーリーを知らせるか(当然、無理な相談ですけど)、この映画に対して失望した人には鑑賞に要した費用と時間を返すぐらいのことをしてもらいたい(もっと無理)。

しかし、この結末に納得する人いるんでしょうか。少なくとも、自分としては比較的評価が高いのが理解できない。絶望的な終わり方でも、もう少し違うエンディングがあるだろうと思います。