2021年11月2日火曜日

バンブルビー (2018)

何だかなぁ~、と言いながら見ていた「トランスフォーマー」シリーズの現在のところ最新作。これまでのストーリーとしては、前日譚的な位置づけなんですが、どうやらシリーズのリブートという立ち位置にあるらしい。

制作は引き続きスティーブン・スピルバーグが参加していますが、監督はこれまでのマイケル・ベイに変わってトラヴィス・ナイトという人。この人、実はナイキ・シューズの創業者の息子。

時代設定は1987年。当時のポップ・ミュージックがふんだんに登場して、映画を見るためこどもを連れて来た親の世代をキュンとさせる趣向かと思います。いろいろあったあれこれはひとまず横に置いて、基本的な世界観を整理するところから始まります。

惑星サイバトロンではディセプティコンの攻撃によりオートボットは退却を余儀なくされ、隊長のオプティマス・プライムはそれぞれサイバトロンから個別に脱出することを決意。B-127と呼ばれるオートボットは、オートボットの拠点を作るため地球に向かいます。しかしあとを追ってきたディスセプティコンによって、記憶回路や発生装置壊されスクラップ状態になってしまいます。

18歳になる女の子、チャーリー・ワトソン(ヘイリー・スタインフェルド)、最愛の父親が病死してから内向的で父親の趣味を継いで車いじりばかりをしている生活。ある時、壊れて放置されていた黄色のビートル(フォルクス・ワーゲンの名車)を手に入れますが、実はB-127の変形した姿でした。チャーリーは怯えて、どこか憎めないB-127にバンブルビーという名前を付け匿います。そして、いろいろなトラブルを巻き起こしつつ、しだいにビーと心を通わせるチャーリーでした。

B-127を追ってきた2体のディスセプティコンは、セクター7の科学者バウエルを信じ込ませ軍のネットワークを使い居所を探知します。バンブルビーは軍に捕らわれ、ディスセプティコンはついに本性を現し、地球への軍団の派遣を伝えるため通信塔に向かいます。チャーリーと記憶が戻ったバンブルビーは、阻止するためにディスセプティコンを追うのでした。

もちろん女の子がロボット生命体と戦って地球を救う・・・はずもないのですが、そこは元々がマンガですから、夢と希望を膨らませる展開は許せるというもの。トランスフォーマー・シリーズとしては、バンブルビーを主役にしたスピンオフですが、シンプルな展開の中に、女の子の心の成長をうまく描きこんだことで、けっこう中身の濃い作品に仕上がりました。

バンブルビーも表情(?)豊かで、実にいい味を出している。ほのぼのとしてユーモアあふれる動きはとても人間的。顔がマスクで隠れると、一転して攻撃モードになり、兵士としての精悍な雰囲気がしっかりにじみ出てくる。今までの作品でもその片鱗は見られましたが、さすがにここでは「主役」としてたっぷりと楽しめます。

女の子が自分を取り戻す王道のストーリーとシリーズならではのアクションのバランスが、程よくミックスして、一般の観客からも評論家からも高評価を得ることができました。今後もリブート後の展開があるようですが、この流れをうまく繋いでいけるといいんですけどね。