2021年11月14日日曜日

ワンダー・ウーマン (2017)

DCエクステンデッド・ユニバースの構想の下に「スーサイド・スクワッド」の次に作られた作品。ワンダー・ウーマンは、すでに皆が知っているものとして「バットマン VS スーパーマン」に映画初登場をしていましたが、本作で主役としてその出自が詳細に語られます。

昭和おやじとしては、やはり1975~79年(日本では1977~81年)に放送されたリンダ・カーター主演のテレビ・ドラマが圧倒的に馴染み深い。星条旗を思わせる露出度の高いユニフォームと華麗なアクションに拍手喝采したものです。


神々の世界で、全能の神ゼウスは自分たちの姿に似せて神々に使える「人間」を作りますが、ゼウスの息子、軍神アレスは人間を堕落させ敵対させ人間は戦に明け暮れるようになりました。ゼウスは女族のアマゾンを作り、愛を満たすことで何とか平和を保ちます。

しかしアマゾンの長、ヒッポリタ女王(コニー・ニールセン)は人間からの奴隷のような扱いに立ち上がり、神々もアマゾンに加勢しました。この機に乗じて、アレスは神々を倒しますが、ゼウスによって退けられます。アマゾンはアレスに見つからないようにセミッシラ島の隔絶した世界を与えられ、日々戦いの訓練を怠ることなく暮らしていたのです。

ヒッポリタ女王が粘土をこねてこどもの形を作り、ゼウスが命を吹き込んで生まれたのがダイアナ、後のワンダー・ウーマン(ガル・ガドット)です。女王はダイアナが戦いに巻き込まれることを恐れ、戦闘術を覚えることを禁止していましたが、女王の妹、アンティオペ将軍(ロビン・ライト)は、ダイアナの素質を見抜き様々な訓練を施しました。

さて、外の時代は第一次世界大戦の時代。外界と隔たてるバリアを突き破って、一機の戦闘機がアマゾンたちの島の沖合に墜落します。目撃したダイアナは、操縦していたスティーブ・トレバー(クリス・パイン)を救出しますが、彼を追ってドイツ軍船隊もバリアの中に出現。剣と弓が武器のアマゾン戦士と銃器を持つドイツ兵との間で激しい戦闘になりますが、アンティオペはダイアナをかばい命を落とします。

それでもアマゾンは驚異的な戦闘力でドイツ軍を撃退。トレバーは、アメリカのスパイとしてドイツの大量虐殺兵器の情報を奪取して逃げる途中だったこと、この戦争が世界中でたくさんの悲劇をうんでいることを説明します。この戦争にアレスが関わっているに違いないと考えるダイアナは、女王の静止を振り切ってトレバーと共に外の世界に旅立ちます。

ロンドンに着いて、外界を知らないダイアナは、ややトンチンカンな行動で、映画的にはちょっと息抜きタイム。トレバーは、ドイツの好戦的なルーデンドルフ総監の指示でガス兵器を開発するドクター・ポイズンことイザベル・マル博士(エレナ・アナヤ)のノートを証拠として連合国軍会議に提出しますが、休戦・講和を優先する指導者に相手にされません。

トレバーは仲間を集めルーデンドルフの秘密基地に乗り込み、ダイアナはアレスの化身と思っていたルーデンドルフを倒しますが、それでも戦争が終わる気配が無い。そこにトレバーのパトロンであるパトリック卿が姿を現し、真のアレスの姿を見せます。アレスは、ダイアナは実はゼウスとヒッポリタの間に生まれたことを告げ、共に救う価値のない人間を滅ぼそうと提案するのです。

毒ガス兵器を満載した爆撃機がロンドンに向けて離陸しようとしたため、トレバーは一人爆撃機に飛び乗り、そして機を自爆させるのです。ダイアナは、今一度、世界を救う決意を新たにしアレスに立ち向かっていくのでした。

女性アクション物では、どうしても美とある程度のエロディシズムを前面に押し出す作品が多い中で、この映画は露出度の多いコスチュームにもかかわらず、それをあまり売りにしている感じがありません。これは何といっても監督である、パティ・ジェンキンスが女性であるということと無関係ではないようです。

ワンターウーマンの容姿を美しく見せることは当然ですが、それよりもアクションそのものの美しさに重点を置いた見せ方をしています。そして、戦争を通して、単純に勝者が善で敗者が悪とは決められない偉大な矛盾を再確認し、争いをやめられない人間の性みたいなものを見せつけるのは女性ならではの視点なのかもしれません。

バットマンからスーパーマンに続くリブート・シリーズは、ダークな色合いと雰囲気が支配していたので、この映画もお気楽なアクション物ではありませんが、多少明るさを取り戻した感じがあり悪い出来ではないようです。実際、興行的にも成功し批評的にも好感を持たれた結果になっています。

DCエクステンデッド・ユニバースでは、多くのヒーローを同じ世界観の中に登場させることで、空間的・時間的な連続性を持たせようという企画でしたが、そこにこだわり過ぎてかえってあちこちに無理が生じていました。この作品では、ストーリーとしては他と独立した内容で高い評価を得たことで、今後は直接的なストーリーの絡みは意識しない方針に変更されています。