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2021年11月4日木曜日

アビス (1989)

ジェームス・キャメロンと言えば、「ターミネーター(1984)」でブレイクした映画監督。実は現在までのキャリアからすると、監督作品はそれほど多くない。ところが、その後の「タイタニック(1997)」と「アバター(2009)」と合わせて、ほぼこの3本でハリウッドの重鎮の地位を保持しています。製作側として多くの作品に携わり、テレビ作品との関わりの比重も同じくらい持っていて、エンタメ業界全体に力を発揮しているようです。

ところが、その有名に「タイタニック」は絶望的な悲恋ストーリーがどうも苦手で好きになれないし、「アバター」はCG技術博覧会みたいで興味が湧かない。もう一つヒットした「エイリアン2(1986)」は好きなんですが、どちらかと言えばリドリー・スコットのアイデア。単なる天邪鬼と言えばそれまでですけど、一つ興行的にはあまり成功とは言い難いのですが、いけてる映画があるんです。

それがこれ。「エイリアン2」の成功でお金をかけてもらえる監督として認知されたキャメロンが、高校生の時から温めてきたアイデアをついにまとめ上げた本作は珍しいSF海洋アドベンチャー物です。

アメリカの原子力潜水艦が沈没し、石油採掘を行う移動式海底石油プラットフォーム「ディープコア」が海軍特殊部隊を乗せて向かいます。ディープコアのリーダーであるバッド(エド・ハリス)は、ディープコアの設計者で別居中の妻リンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)、負圧的な特殊部隊のコフィ(マイケル・ビーン)と調査を開始します。

しかし、事故により動けなくなったディープコアは未知の海溝「アビス」の中で停止してしまいます。さらに、コフィは正気を失い危険な状態。そして深海の中に潜んでいた未知の生命体が現れたのです。

とりあえず、映画の中に人間ドラマがしっかり描かれているのが好感を持てます。主要キャスト3人の背景がしっかりしている。当然、簡単にロケなどできない深海の話ですから、特殊撮影に頼るしかないのですが、ここではあくまでも深海のリアリティを出すための脇役として節度のある使い方。もっとも未知なる生命体ばかりはしょうがありませんけど。

制作費用は約7千万ドルに対して、興行収入はアメリカ国内だけだと6千万ドルに届かず、世界での収入によって何とか制作費だけは回収したというところでしょうか。キャメロンに派手なアクションを期待して裏切られたということなのかもしれませんけど、現在は映画としての評価は高くなっています。

ただし、DVDはありますがBlurayは発売されていない。しかも、DVDも完全版という劇場版より30分長い約3時間という長編になっています。限られた空間で限られた登場人物というシチュエーションでは、さすがに3時間は長い。2時間くらいにまとめ上げれば、もう少し早い段階で評判になったのかもしれません。