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2021年11月21日日曜日

ダークシティ (1998)

この映画は基本的にはSFなんですが、全体を支配している夜しか存在しない古き良き時代のスリラー。記憶を無くした男の自分探しのストーリーです。監督・脚本・制作は「アイ、ロボット」のアレックス・プロヤス。


冒頭のシュレーバー博士(キーファー・サザーランド)によるナレーション。意思の力で物質を変化させられる力(チューン)を持った異星人が、生存のために地球にやって来た。私は彼らの実験に協力して人類を裏切った・・・というもの。時計は夜の12時。そのとたんすべての街の動きが止まってしまいます。

街は禁酒法時代のようなアメリカという風情。ホテルの一室、浴槽で目を覚ましたマードック(ルーファス・シーウェル)は記憶が無く、部屋の隅に娼婦の死体を発見。そこへシュレーバーと名乗る電話があり、追手が来るから逃げろと教えられる。殺人犯として警察から追われる一方で、謎のスキンヘッド集団にも追われますが、マードックは「チューン」を発揮してその場を逃れます。

マードックは持ち物から自宅らしいアパートに戻り、エマ(ジェニファー・コネリー)に会いたぶん殺人はしていないと話をしていると、バムステッド警部(ウィリアム・ハート)が乗り込んできます。マードックは何もない壁に扉を作って逃亡します。

精神科医のシューレーバーはスキンヘッド集団の命令で、患者から集めた人間の「心のエッセンス」を調合していたのです。そして毎晩12時になるとチューンの力で時間を停止し、建物や住む人々をいろいろと入れ替えていたのでした。彼らは自分たちのチューンを使えるマードックを恐れ、シューレーバーが調合したマードックの記憶を仲間に注射・・・刷り込み、彼の行動を予測しようとします。

バムステッド警部はマードックのもとに行き、スキンヘッド集団から救い出し記憶のキーワードになっていたビーチを探しに向かいます。しかし、そこには壁があるだけ。二人は壁を破壊すると、なんとその向こうは宇宙空間なのでした。

ラストが大味な感じですが、全体的には独特の世界を映画の中にうまく構築していますし、100分という長さもちょうど良い。これ以上長いと、話の展開がくどくなりそうですし、短いと内容が掴めなさそう。

結局、昨日の自分と今日の自分は本当に同じ人間なのか? みたいな、考えるとかなり大きなテーマが見え隠れしますが、さらに心というのも人によって様々なのか、あるいは結局何か底知れぬ力で統制されているのかみたいなことまで考えさせられる映画です。

現代人は、CMでこれを買ってと言われると、右向け右で買いに走ったりするところがありますが、結局うまく見えない力に操られているみたいなものなのかもしれません。そういう深いテーマのせいで、興行収入こそ振るいませんでしたが、カルト的な人気が持続している作品と言うことのようです。