日本の宅配ビザ店のメニューに慣らされてしまうと、やたらと豪華なトッピングが主役のように思ってしまいますが、本場イタリアのピッツァは実にシンプル。
究極的には、ピッツァ・ビアンコ。生地にチーズだけで、塩・胡椒・オレガノだけ振って食べるというもの。ナポリ風ピッツァは、トマト・ソース、チーズ、そしてアンチョビです。漁師風ピッツァと呼ばれるマリナーラは、生地にトマト・ソースとニンニクだけ。
最も典型的な定番であるマルゲリータは、生地の上にトマトソース、チーズ、バジルの葉だけ。さらに、定番のクアトロフォルマッジは、生地の上にあるのは組み合わせ自由の4種類のチーズだけで、一般的にはゴルゴンゾーラ、モッツァレラ、パルミジャーノ・レジャーノ、タレッジョが使われています。
日本でシーフード・ピザと呼んでいるのは、魚介系の具材がいろいろと乗っかっています。シーフードを使う料理はアラ・ペスカトーレ(alla pescatore、漁師風)と呼ばれ、スパゲッティならスパゲッティ・アラ・ペスカトーレ、ピッツァならピッツァ・アラ・ペスカトーレになりトマト・ベースが多い。魚介なら種類は何でも可で(典型的にはエビ、イカ、アサリ)、イタリアのピッツァとしては、トッピングに比率が置かれているものになります。
派手さがあるのはソーセージのピッツァで、Pizza con le Salsicce と呼ばれるもの。サルシッシャは、一般に腸詰の食べ物という意味で、肉を詰めればまさにソーセージです。ソーセージに詰めるのは、豚肉の挽肉を捏ねて塩・胡椒・セージ・ナツメグなどで味付けしたものですが、腸詰せずにミートボール状にしたものも、便宜上サルシッシャと呼んでいるみたいです。
このピッツァには、パンチェッタものせて、バシル、ローズマリーなどを散らしてあります。今回は、サルシッシャは手ごねだけでさすがに腸詰はしていません。こういう組み合わせは不味いはずがない。特にこどもにも人気なんじゃないでしょうか。
派手にトッピングが乗っている代表とも言えそうなのが、カプリチョーザ(capricciosa)。意味は「気まぐれ」で、シェフにおまかせということ。それ故に、いろいろな具材がトッピングされて豪華な雰囲気になりやすい。今回は、パンチェッタ、茄子、マッシュルーム、ピーマン、バジルなどを所狭しとのせてみました。
何にしても、かしこまって食べる料理ではないことは間違いないので、コーラでもビールでも、あるいはワインとかを片手に、好きなものを乗せて美味しく食べてお腹がいっぱいになれば幸せということです。