イタリア料理で使う調味料、特にスパイスについては、思ったほど種類は多くありません。ほとんどの料理は、食材となる野菜・肉・魚そのものから出てくる味が決め手で、それに塩を加えることで味が成立しています。そして、らしさを出すことに重要なのがオリーブオイル・ニンニク・唐辛子、そして黒胡椒です。
スパイスとしては黒胡椒さえあれば、多くの味を引き立てて料理を美味しくしてくれるわけですが、料理によっては時には追加のスパイスがあるとよりいっそう料理の幅が増えることになる。
自家製ソーセージであるサルシッシャには、セージ(sage)とナツメグ(nutmeg、ニクヅキ)は是非いれたい。いかにもソーセージらしい味の決め手になります。ボロネーゼ・ソースにもこの組み合わせは使いたいところ。セージはサルビアの葉ですが、サルティンボッカで大活躍します。いずれも、肉料理で活躍することが多く、肉の臭みを消して甘味を引き立てる役目を持っています。
オレガノ(oregano)は、特にトマトやチーズとの相性が良く、イタリア料理らしい風味である独特の香りが素材を引き立てます。オレガノと一緒に使われることが多いタイム(thyme)は、ローリエ(laurier、月桂樹)と共に煮込み料理に多用されています。
フェンネル(fennel、ウイキョウ)は、魚料理との相性が良く、日高シェフもしばしばお勧めしています。本来は乾燥した種を挽いて使うのですが、一般家庭では香りが落ちますがパウダーが使いやすい。
葉や種などを乾燥して粉末状したスパイスに対して、植物をそのまま料理、芳香、防虫などに使えるものは、一般にハーブと呼ばれています。
イタリア料理で。最も活躍するハーブはイタリアンパセリ(parsley)。俗にイタパセなどと省略すると料理人っぽい。よく洋食の飾りみたいについてくる葉が縮れた普通のパセリは、カーリー・パセリというもの。イタリアンパセリの葉は縮れておらず、苦みなどが少ないため料理の香りづけとしても彩を良くするにしても実用性が高い。ちなみに中国パセリと呼ばれているのがコリアンダーで、いわゆるパクチーです。
ローズマリー(rosemary)も肉魚を問わずオールマイティに使われます。乾燥粉末もありますが、うちでは庭に植えてあって、年がら年中、使いたい時は若い枝を取って来て使います。
そして、特徴的な香りと味によって、一部の料理のメインの素材にもなるのがバジル(basil)。イタリア語ではバジリコ(basilico)です。本来は多年草なんですが、日本の気候では冬を越せません。マルガリータやジェノベーゼでは、バジル無くしては料理が成り立ちません。
いろいろ用意しても使いきれないと思うかもしれませんが、乾燥粉末は各社からだいたい300~500円程度でありますので、セージ、オレガノ、イタリアンパセリくらいは用意したい。面倒なら、イタリアン・スパイス・ミックスみたいなものもあるので、うまく利用すればレシピの幅が広がります。