キノコを使うとなると、やはりイタリアで王道ともいえるのがポルチーニ。秋の自生でしか手に入らない、日本で言えば松茸のような位置づけでしょうか。パスタでもいいんですが、ここは米と合わせてリゾット(Risotto ai funghi porcini)がお勧めです。
とは言っても、ポルチーニだけだとそれなりの量を使うと、けっこう高額になってしまうで、ポルチーニを主役にするにしても、やはりいろいろな種類をミックスして使うのが妥当というところ(Risotto ai funghi vari)。
日本でも手に入りやすいマッシュルームやエリンギは、ポルチーニの特徴的な香りを邪魔しないので重宝します。他には舞茸、しめじなども合わせやすい。椎茸はいかにも和の香りが目立つので一緒には使いづらい。
ポルチーニは、生は入手は無理ですから、通常は輸入された乾燥品を用いますが、だいたい20gで600~800円。ポルチーニを20gだけなら、水で戻して一人分という感じ。あとは、お好みで好きなキノコを好きな量だけ追加して作ればいい。
一度失敗したのは、キノコの香りが出るだろうと思って、米を煮ていくスープにキノコをいれたこと。せっかくの香りが飛んでしまい、仕上がりは風味の無くなったしょぼいキノコが混ざっていだけになってしまいました。
そこで、キノコの豊かな香りを立たせて美味しくする作り方は、あらかじめキノコを炒めて火を通す・・・なんですが、究極の炒め方を紹介してくれるのがHATAKE AOYAMAのオーナーシェフ、神保佳永さん。たらこスパゲッティの作り方も参考にさせていただきましたが、実に強い信念を持っている料理人だと思います。
できるだけ熱くしたフライパンにキノコを入れますが、オイルは使わないし、塩も胡椒も振りません。かき混ぜたりもせずに強火で煎っていく感じにしていると、キノコの持っている水分が蒸発してきます。湯気が出てきたら焦げない程度に混ぜて、蒸気が出なくなったらOKです。しっかりと水分をとばすことで、キノコの持っている旨味や香りを凝縮させるということだそうです。キノコは火からおろして、ひとまず横に置いておきます。
リゾット自体は基本の作り方と同じ。ただし、キノコの風味を引き立たせるために、コンソメ、ブイヨンなどのスープは使いません。ただし、大事なのは乾燥ホルチーニを浸した茶色く染まった戻し水。捨ててはいけません。ポルチーニの味がしっかり染み出ているので、この水を使います。ゴミが混ざっていることがあるので注意しましょう。
薄く塩を足したポルチーニの戻し水を沸騰させて作ってみます。オリーブオイルでみじん切り玉ねぎを炒めたら米を入れてオイルをなじませる。少しずつ戻し水を足し、足りなくなったらただのお湯でかまいません。程よい硬さにお米が仕上がったところで、炒めておいたキノコを入れる。温まったら火を止め(足りなければ塩)、パルミジャーノをふりかけ全体に和えたら完成です。
今回は乾燥ホルチーニ10gくらいに、エリンギ、マッシュルームなどを足したものですが、ポルチーニの香りが強いので、十分すぎるくらい香りました。お手頃にキノコの香りを楽しむなら、椎茸メインで、舞茸、しめじみたいな組み合わせもありかと思います。