その代表的な存在となったのが、ギターの松本孝弘とボーカルの稲葉浩志によるユニットです。彼らはB'zと名乗り、1989年9月にシングル「だからその手を放して」とアルバム「B'z」の同時発売でデヴューしました。内容的には、松本がTM NETWORKのサポートをしていた関係で身につけたと思われる、いわゆる「打ち込み」が主体で、稲葉がすべて歌詞を書き、1曲を除いて松本が作曲を担当しました。
内容からして女性ファンを開拓することに成功したわけですが、その後はアルバムを出すごとに流行のポップな雰囲気は少なくなり、1992年発売の6枚目のアルバム「RUN」では、ついハード・ロック志向を前面に出してきました。とは言え、シングルではあいかわらず一般受けを狙った曲作りが続いていました。
1994年の7枚目「The 7th Blues」は2枚組で、アイドル的なヒットすることを目的とした曲作りへの決別の気持ちが込められています。本当に自分たちがやりたい音楽を詰め込んだことで、本人らは大満足の出来になりましたが、一般のファン、特に女性ファンには混乱を巻き起こしたことは想像に難くありません(B'zファンの暗黒時代と呼ばれています)。
B'zのメンバーは松本孝弘と稲葉浩志の二人。スタジオでは何とかなっても、ライブとなると二人では無理。そこでサポートメンバーが活躍するわけですが、初期はキーボード、ベース、ドラムの三人が参加していましたが、最も長く参加し、大きな役割を任されていたのはキーボードの増田隆宣です。
2003年からはギターが追加され、松本とのユニゾンやコーラスの厚みが増しました。また、増田の負担が減ったことで、キーボードの活躍範囲が広がったように思います。特に2011年から参加している大賀好修は、B'zではサポートに徹していますが、実はかなりの実力者です。
また21世紀初頭からサポートに定着しているベースのバリー・スパークス、ドラムのシェーン・ガラースはコロナ禍になるまでは、鉄壁のリズム・セクションであったことは間違いありません。
最新の活動ではシェーン・ガラースが復帰していますが、ギターのYukihide"YT"Takiyamaと女性ベーシストの清がこの数年は定着しているようです。いずれにせよ、B'zのサポートというのは、生半可な実力では厳しいので、彼らの超絶テクニックがB'zのサウンドを支えているわけです。
B'zのライブ映像として、正規に残されているものは1991年からありますが、初期のDVDなどは曲の間にドキュメントが入っていたりして、フル・ステージを楽しめるのは1999年の「once upon a time in 横浜 〜B'z LIVE GYM'99 "Brotherhood"」が最初です。
これら初期の演奏をしっかりと楽しみたい場合に、最もおすすめするのは「B'z LIVE-GYM Hidden Pleasure 〜Typhoon No.20」というタイトル。1992年から2005年までのライブの中から、選りすぐった初出し映像を組み合わせたものですが、編集が上手くてまるで一つのライブを見ているような連続性があります。DVD3枚組で全30曲+αという大ボリュームで、主として最初の10年間の彼らのライブを堪能できます。
ハードロックに傾倒していく彼らの演奏を確認できますが、ライブでのエンターテインメント性はしっかり組み込まれていて、ヒット曲中心のファンも忘れずに楽しませようとしていたことも十分にわかるステージになっています。
