夏季臨時休診

夏季臨時休診のお知らせ 8月14日(金)~8月19日(水)臨時休診します。

2021年12月28日火曜日

イーオン・フラックス (2005)

シャーリーズ・セロン主演のアクションSF映画で、ピーター・チョン原作の短編アニメを原作として実写化したもの。ガールズ・アクション物は、いつもかなり辛口の評価が下される例にもれず、この作品も評判は良いとは言えません。特に、女性で日系のカリン・クサマ監督の趣味・趣向がやり過ぎ感があることと、制作会社が監督の意思とは別に大幅にカットしたことが、作品の質を落としたと言われています。

2011年にウイルスの拡散により人類の99%が死亡し、トレヴァー・グッドチャイルド博士が開発した治療により、生き残った人々は最後の都市、ブレーニャに集まりました。以来、400年に渡りグッドチャイルド家による支配が続き、汚染された外界と隔絶する高い城壁に守られた生活を続けていました。

ブレーニャの街では、突然消失する女性がいて、政府が関わっていると考える反政府組織モニカンに属するイーオン(シャーリーズ・セロン)は、政府の監視施設の破壊を命令されます。しかし、自分と接触した妹のウナも殺されてしまいます。続いて、グッドチャイルド自身の暗殺を指令されました。

両足も手にしてしまったシサンドラ(ソフィー・オコネドー)と共に議会に潜入したイーオンは、演説のリハーサルをするトレヴァー・グッドチャイルド(マートン・チョーカシュ)に銃を突きつけますが、「キャサリン、本当に君か」と言われ躊躇した隙に捕えられてしまいます。

トレヴァーを暗殺するための情報をモニカンに流していたのは、兄の地位を狙うトレヴァーの弟オーレン(ジョニー・リー・ミラー)でした。脱出したイーオンでしたが、トレヴァーからのメッセージで再び再会し、どうにも抗えない思いによって一夜を共にしてしまいます。

イーオンは、ウイルス治療の副作用で人類が不妊になったため、以来代々クローンが生まれ入れ替わっていったことを知り、イーオンはトレヴァーの妻のクローンだったのです。しかし、次第に不妊が自然治癒し始め自然妊娠が起こるようになったため、オーレンは自らの永遠の命を守るために妊娠した女性を殺害していたのでした。オーレンは、トレヴァーがモニカンに寝返ったとして二人の抹殺を命じます。

まず、監督の出自に日本が関わっているせいだと思いますが、随所にみられる中途半端な「日本風」がどうもピンと来ない。アメリカ人からするとエキゾチックで、異国風な未来ということになるのかしれませんが、日本人的には腰が引けてしまいます。

政府の警備員は変な忍者みたいな格好ですし、400年も未来なのに日本風の一般家庭とか想像できません。ラストで桜並木はきれいで印象的ですが、本当にこの場所に必要かと疑問に思うところがあります。

そのあたりを横においても、ストーリー的にはいろいろなことが簡単過ぎる。モニカンの存在についてもあまりに説明不足で、一体何に対して反対しているのかよくわからない。トレヴァーさんも政府のトップにしてはあまりに無防備。クローンの作り方にしても、だったら普通に人工授精でよくないと言いたくなる。

全体にスタイリッシュな映像というところでは点をあげたいところですが、頭でっかちになっていて世界観を生かしきれていないようです。見た目の(未来的な)斬新さだけにとらわれて、中身のない空っぽ感が半端ない。

少なくとも、シャーリーズ・セロンのナイスなヴィジュアルを堪能できるのが唯一のポイントで、アクションも及第点のがんばりのようです。観客のアクション映画の主人公が女性だからダメという古臭い価値観ではなく、かっこいい女性を生かしきれない作り手に問題がありそうです。

2021年12月27日月曜日

アポロ13 (1995)

これは以前に触れていますが、アポロ計画関連の映画となると無視できない一本で、DVDからBlurayにバージョンアップしたので再度紹介します。

アメリカ航空宇宙局(NASA)が、実施した月に人類を送り込むアポロ計画では、全部で17号までのロケットが打ち上げられ、11号以降6回の月面着陸に成功しました。その中で、唯一、13号だけが月面着陸を断念して帰還しています。

これはNASAがこれまでに経験したことが無い大きな事故により、3人の搭乗員の命の危険が発生し、帰還することは絶望的と思われたものだったからでした。事故の原因と状況については、ネット記事なとで詳細に記載されています。この映画は、当事者であるジム・ラヴェル船長の手記を原作にして、事実にできるだけ忠実に再現しつつ、ロン・ハワード監督が上質のエンターテイメントとして仕上げたものです。

アポロ計画で使われた巨大なサターンV型ロケット(高さ110m)は、打ち上げ用の第一段ロケット、地球圏離脱用の第二段ロケット、月着陸船(LEM)を格納した第三段ロケット、そして司令船(支援船と先端の大気圏突入のカプセル)という構造です。

月への行程の途中で司令船は切り離され反転し、LEMとドッキングして引き出します。月軌道に乗ったらLEMを切り離し着陸させ、司令船は戻ってきたLEMの上半分とドッキングし地球に帰還。最終的に先端のカプセルだけになって大気圏に突入するという計画です。

アポロ13号は、実は最初からトラブル続きでした。当初予定されていた搭乗チームが交代になり、さらに出発の半年前にジム・ラヴェル(トム・ハンクス)、ケン・マッティングリー(ゲイリー・シニーズ)、フレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)のチームに交代になりました。しかも、打ち上げ二日前に、風疹感染疑いでケンが外され、補助要員のジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)が搭乗することになります。

ラヴェルは、ジェミニ計画で2回飛び立ち、そしてアポロ8号で月の起動周回も行ったベテランでした。それでも月に降り立つという夢を捨てておらず、13という不吉な数字を嫌う妻マリリンと違い、このチャンスを喜びました。

事故はLEMを引き出して月に向かう途中で起こります。急に衝撃が走りも電圧、酸素が減少し、司令船が機能しなくなりました。原因不明のまま、3人は司令船をシャットダウンしLEMに移ります。しかし、本来定員2名を想定しているLEMでは3人が呼吸することで二酸化炭素が危険な濃度に上昇してしまいます。

地上では主席管制官のジーン・クランツ(エド・ハリス)を中心に、関係者を非常呼集して何とか彼らを帰還させる方法を考えます。ケンもシミュレーターで、同じ条件を設定して不足する電力の解決策を模索するのでした。

地球が近づき、まず司令船の支援部を切り離し、彼らはその壁面が吹き飛んだ無残で衝撃的な光景を目にします。そしてカプセルに移動し、ケンの指導で再起動、LEMを切り離して大気圏に突入するのでした。突入時に3分間交信が不能になりますが、3分が過ぎても沈黙が続く。4分経過してついに「無事帰還」と応答があり、すべての人々は歓喜するのでした。

輝かしい失敗・・・アポロ13号に後に与えられた称号。月には降りれませんでしたが、ほぼ絶望的な危機的な状況からの帰還は、巨額な費用が使われる宇宙開発に興味を無くし、批判的な意見も出るようになっていた世相をも巻き込んで、アメリカだけでなく世界中に感動を起こしました。

ロン・ハワード監督は、事実の組み合わせから実に映画的に話を作り上げ見事に大成功をしました。メインのキャストは、やはり何といっても30代後半トム・ハンクスとケヴィン・ベーコンです。二人とも若々しく、一番脂か乗り切った時期かもしれません。作り話がどんなに頑張っても現実のドラマの圧倒的な力にはかなわないと思えるのは、スタッフやキャストの成果と言えるかもしれません。

2021年12月26日日曜日

ファートス・マン (2018)

1960~70年代にアメリカのNASA(航空宇宙局)が実施したアポロ計画は、リアルタイムに少年だった自分にたくさんの夢の実現と困難さを見させてくれました。大人になっても、アポロ計画にまつわる話は、良い事も悪い事でも気になり続けています。

最近は、中国が無人探査機を月に送り込みましたが、いまだに人類が地球以外の星に降り立ったのは半世紀前のアポロ計画だけですし、 下手なフィクションよりリアルの中に本当のドラマが存在することを証明したイベントだったと思います。

この映画は、アポロ11号で初めて月に降り立ったニール・アームストロング船長の伝記を原作として、「セッション(2014)」、「ララ・ランド(2016)」で注目される若手のデイミアン・チャゼルが監督し、製作総指揮にはスティーブン・スピルバーグも加わっています。

ケネディ大統領は、1961年5月25日に「10年以内にアメリカは人間を月に送り、無事帰還させる」と述べたことに端を発し、マーキュリー計画に続くジェミニ計画が始動します。テスト・パイロットのニール・アームストロング(ライアン・ゴスリング)は、当初はチャック・イェーガーから適性を心配されていました。

しかし、脳腫瘍を患った娘の死を乗り越えて、ジェミニ計画のパイロットに応募し合格。苦痛を伴う多くの訓練と仲間の死を経て、ニールは1966年にジェミニ8号に乗船し、初の別機体との宇宙空間でのドッキングを成功させます。しかし、その直後機体が不安定になり、緊急着水を余儀なくされました。

家庭では良き夫であり父であるニールでしたが、妻のジャネット(クレア・フォイ)は、絶えず夫の仕事に対する不安を抱え、それは他の宇宙飛行士の妻たちも同じ。そんな中、大型化しいよいよ月を目標に定めたアポロ計画初の有人飛行となる1号が、発射待機中に火災を起こし3人の仲間で焼死する事故が発生しました。巨額な税金が使われていることに対して、世間の厳しい目も日増しに増えていきました。

1969年、ニールはついに月面着陸を目指す11号の船長に指名されます。ジャネットは出発の準備をするニールに、「こどもたちにちゃんと話して。これが最後なのかもしれないのだから」と詰め寄ります。こどもたちと抱き合い、そして固く握手を交わしたニールは7月16日に月に向けて出発するのでした。

結末はすでに世界中が知っていることですが、それでも、少なからず感動を覚えるのは、贔屓目で見ているところがあるかもしれません。しかし、この映画の優れたところは、ニール・アームストロングという一人の人物に焦点を当てて、死の可能性もある任務に向かう姿を、家族の心情と共に描いたところにあります。

そういう意味では、チャック・イェーガーを中心に音速を超えるところから、マーキュリー計画までを描いた「ライト・スタッフ(1983)」の続編的な位置づけと言えなくなくもない。月に到着し、着陸、そして帰還するという任務そのものよりも、宇宙を目指す人間のドラマだけで映画として成立させています。

それは映像が、ドキュメンタリー的な客観的なシーンと、主観的にカメラを移動させるシーンとを混在させることで、ノン・フィクションですがドラマ性を強調することにつながっています。また、CGの使用は最低限らしく、大多数の撮影が実物大の模型などを使用していることも、緊張感を引き出している要素になっています。

ニールが、幼くして無くしたわが子の名を刻んだブレスレットを月のクレーターに投げるシーンは、おそらくフィクションです。しかし、おそらく月に行こうと決心したのは娘の死と関連していたでしょうし、少なくとも月に足を踏み下ろしたことを心の中で娘に報告したことだろうと思います。

2021年12月25日土曜日

今日がクリスマス


クリスマスは昨日じゃん、と思ってます? ・・・昨日はイブ、前夜祭です。

そんなことは常識・・・って、まぁ、当然わかってることなんですけど、どっちかと言うと24日にいろいろイベントししゃうことが多い。

キリスト教徒なら・・・クリスマスは、イエス・キリストの誕生日を静かにお祝いするというのが本当なので、お祭りイベントは本来はしないはず。

もっとも、キリスト教が広く信じられている欧米では、元旦よりもクリスマスが1年の始まりとして重視されますから、ある程度のお祭り気分は許されるというものかもしれません。

きちんと信じているかいないかは別として、仏教が主流の日本では便乗商法的にクリスマスが利用されている感じがありますが、あまりお堅いことを言ってもしょうがない。

とりあえず、クリスマスを過ぎると、いよいよ街の雰囲気はお正月ムード一色になりますよね。今年もあと1週間ということで、やり残したことがある方は急げ! 急げ!!

2021年12月24日金曜日

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア (1994)

トム・クルーズの出演した映画を探すと、必ずこの作品が引っ掛かります。邦訳すれば「吸血鬼にインタヴュー」というタイトルは、普通ホラー映画かと思ってしまう。ところが、これがけっこう裏切られる映画で、冒頭クルーズの名前が先に出ますが、主役はどっちかというとブラッド・ピット。この二人が共演しているというだけでも、かなりの驚きです。

二人はほぼ同世代ですが、クルーズが1981年から映画に登場し1986年の「トップ・ガン」で一躍大スターになったのに対して、ピットは1987年のデヴューで、名前が知られるようになるのは90年代になってから。そうなると、映画が「トム・クルーズの」という呼ばれ方をするのはしょうがない。

そして、確かに二人とも吸血鬼なんですが、ホラーじゃない。吸血鬼として不死の体になったことに対する苦しみみたいな、心情をえぐるような「ヒューマン・ドラマ」なんです。そもそも原作を書いたのがモンスター系小説が得意なアン・ライスで、映画化の脚本も手掛けています(ライス氏はつい先頃亡くなったことがニュースになりました)。

ライスは、当初二人の主役が決まると、自分のイメージとは違い過ぎると批判的な言葉を公言していました。しかし、実際の彼らの素晴らしい演技を見て、新聞に全面広告を掲載し謝罪しています。監督はニール・ジョーダンです。

現代。ライターのダニエル(クリスチャン・スレーター)は、ネタになりそうなルイと名乗る青年にインタヴューを始めます。200年以上前の18世紀初めのアメリカ、ニューオリンズ。若い農場主のルイ(ブラッド・ピット)は自暴自棄になっていて、一緒にヴァンパイアとして生きていく仲間を探していたレスタト(トム・クルーズ)の誘いに乗って血を吸わせてしまいます。

人を殺すことを厭わないレスタトに対して、人間だった時の「自尊心」を捨てきれないルイは動物の血でなんとかしのいでいました。しかし、疫病で母親を亡くした美しい少女クローディア(キルスティン・ダンスト)と出会い、ついにルイは人の血を吸ってしまうのです。人を襲ったルイを見てレスタトは喜び、クローディアをヴァンパイアに再生します。

年月がたち、クローディアは無邪気に人を殺してしまうためレスタトをイラつかせます。そして、いつまでたっても体が大人に成長しないことに不満を持ち、この責任はレスタトにあると考えるのでした。クローディアは、レスタトに力を失う死人の血を飲ませ、弱ったところで首をかき切って殺します。しかし、蘇ったレスタトがクローディアに迫ったためルイは火を放ち焼き殺すのでした。

ヨーロッパに逃れた二人は、パリでアーマンド(アントニオ・バンデラス)と名乗る、仲間を集めて劇場を主宰しているヴァンパイアに出会います。アーマンドは人間としての苦しみを忘れられないルイに興味を持ちますが、彼の仲間は仲間殺しの重罪を犯した二人を赦しません。クローディアは日光を浴びて灰になり、ルイは棺とともに生き埋めにされました。

アーマンドに救い出されたルイは、クローディアの復讐をし、アメリカに戻ります。そして、時代は過ぎ、映画が発明されルイは久しぶりに太陽を見ることができました。映画館の帰り道で、死臭を感じたルイは荒れ果てた墓場の奥に入っていくと、そこには老いて醜悪な姿となったレスタトがいました。

トム・クルーズは、今でこそアクション俳優という肩書で呼ばれますが、1996年に「ミッション・インポッシブル」に出演するまでは、かなり文芸路線の作品が多い。ポール・ニューマンやダスティン・ホフマンのような大先輩と共演し、キューブリック監督に認められ、まさに演技派の名優となるべく着々とキャリアを重ねていました。この作品もその一つと言えますが、見事に美しく青白い怖さをたたえたヴァンパイアを好演しています。

ブラッド・ピットも、人であることを忘れられない異色のヴァンパイアを熱演し、映画全体の「愛」、「憎悪」、「執着」と言った人間臭さを見事に画面の中に結晶化させました。子役だったキルスティン・ダンストも、「スパイダーマン・シリーズ」をはじめ、今では人気女優の一人になっています。

全体を覆う耽美的な雰囲気は、同性愛、少女愛といった(当時としては)反モラル的な要素を取り込んでいます。この映画の欠点をあげるならば、じわじわと進行する比較的抑揚のないこの雰囲気でしょうか。2世紀に渡る物語のほとんどが18世紀初めに時間がさかれていて、当然、夜か暗い室内の映像ばかりですから、盛り上がり感が出にくくて当たり前。そんな中で、わざわざインタヴューしなくてもいいんじゃないかと思ってしまいますが、インタヴューがあるからこそラストのオチが生きてくるところは大事なポイントになっています。

なお、映画の中ではドラキュラの話は「単なるフィクション」であり、ニンニク、十字架、心臓に杭などのヴァンパイアの弱点は全部嘘。ただし、生き続けるために生血が必要であること、寝るのは棺の中、そして日光を浴びると死ぬのは本当としています。

2021年12月23日木曜日

オブリビオン (2013)

トム・クルーズ主演のSF映画で、なかなか設定が複雑で理解しにくいところもあり、評価は割れた感じ。「トロン・レガシー(2010)」で監督デヴューしたジョセフ・コシンスキーの2作目の監督作品。

最初にトム・クルーズ演じるジャック・ハーパーのナレーションで、現在の状況を説明してくれます。 半世紀ほど前にエイリアンの襲来と戦いにより、地球は人が住めない惑星になってしまい、生き残った人類の大半は土星の惑星タイタンに移住しました。地球の上空には、テトと呼ばれる巨大な四角錐の前哨基地が浮かんでいました。

2077年3月14日、5年前に強制的に記憶を消去されたジャックは、パートナーのビクトリア(アンドレア・ライズボロー)と共に、エイリアンの残党を監視する任務についていました。任期終了まであと2週間、海岸で海水を汲み上げエネルギーに変換し、タイタンに送るためのハイドロリグを守る必要がありました。

ある日ハイドロリグが爆発し、出動したジャックは謎の宇宙船の墜落に遭遇し、睡眠カプセルに入っていたジュリア・ルサコーヴァ(オルガ・キュリレンコ)を救出します。記録から、戦争の直前からカプセルに入っていたらしい。ジュリアは宇宙船の航行記録装置が必要だと言いジャックは墜落現場に戻りますが、そこでエイリアンに拉致されました。

エイリアンと思っていたのはスーツを脱ぐと人間であり、リーダーのマルコム・ビーチ(モーガン・フリーマン)は、自分たちは人類の生き残りであり、タイタンに移民者がいないこと、テトこそが人類の敵だと語り、自分の目で確かめろと釈放されました。半信半疑のジャックは、実はジュリアは妻であることを思い出します。

自分たちの基地に戻りますが、ビクトリアはジャックの様子からテトにジャックは任務を遂行できなくなったと報告すると、ドローンが出現しビクトリアを抹殺しますが、ジュリアの助けでジャックは脱出できました。二人はマルコム・ビーチのもとに戻り、テトの破壊に協力します。自動でテトに爆弾を運ぶ手段がないジャックは、自らの手で運ぶ決意をするのでした。

映画を見ないでこのあらすじだけ読むと、なんのこっちゃという感想になると思いますが、タイトルの「oblibion (忘却)」がヒントになっている・・・というより、そこから見ている者を混乱に陥らせるスタートになっています。この辺りは若干フェアじゃない感じもしますが・・・

主人公ジャックは、以前から謎の女性と一緒に過ごす「エイリアンとの戦争前の夢」をしばしば見ていて、「強制記憶消去から5年」というナレーションによって、記憶消去以前の「忘却」していた時代の謎を提示しています。

また。ジュリアが50年以上前のジャックの妻であるところで、いったいどういうこと? となるんですが、そこから出てくる答えはおのずとあれしかない。その直後に、実際ジャックの正体が直接的に描かれるのですが、この映画の面白いのは、それより敵味方の逆転設定のところ。

スタートはスタイリッシュな未来的なヴィジュアルをゆったりと眺める感じですが、ジュリアの登場あたりからテンポが速くなり、次々に謎が解明されエンディングに持っていくていくところはうまい構成です。

最後の最後、すべてが終わった後のオチがあるんですが、本当にこれでいいの? という感じは否定できない。ちょっと釈然としないところなんですが、愛があれば許せちゃうというところなのかなぁ・・・

女性陣は、現在の事実上の夫婦であるビクトリアは、金髪でちょっと下ぶくれ顔。元々の妻でありジュリアは、黒髪でややエキゾチックな雰囲気。演じたオルガ・キュリレンコはウクライナ出身の女優さんで、「007/慰めの報酬」のボンド・ガールでした。


2021年12月22日水曜日

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 (2017)

インポッシブルなミッションばかりをこなしていると思ったら、間でこんなこともしてました・・・というトム・クルーズ主演の怪奇冒険物。

ユニバーサル映画は、戦前にけっこう怪奇物ノヒット作をいくつか作っていました。吸血鬼、フランケンシュタイン、そしてミイラ。ワーナーのDCユニバース、20世紀フォックスのマーヴェル・シリーズのヒットを受けて、ユニバーサルも自社の怪奇物をリブートして「ダーク・ユニバース」という構想をぶち上げた。

その第1作として登場したのが1932年の「ミイラ再生」を元にしたこの映画。「MI3」、「トランスフォーマー・シリーズ」、「スタートレック・シリーズ」などの脚本を担当してアレックス・カーツマンが監督に抜擢されました。

古代エジプトで王位を継承するはずだったアマネット王女(ソフィア・ブテラ)は、父親のメネフトラ王に男児が誕生したことで、自ら悪神セトに魂を明け渡し父子を殺害しました。しかし捕えられミイラにされ厳重に隠されました(という、ほぼ架空の設定)。

現代のイラク、メソポタミアの地で盗掘が目的のニック・モートン(トム・クルーズ)と考古学者のジェニファー・ハルジー(アナベル・ウォーリス)は、アマネットが封印されている棺を発見し、飛行機でロンドンに輸送します。しかし、カラスの大群に襲われ飛行機は墜落、かろうじて二人は助かりますが、ニックはアマネットによってセト神の生贄として呪われてしまうのです。

アマネットはニックに迫りますが、その時、彼らを助けたのはプロディジウムという秘密組織。ジェニファーもプロディジウムの協力者でした。組織を率いているのはジキル博士(ラッセル・クロウ)で、薬が切れると危険なハイドに変身するというやばい人。彼らの任務は、捕えられたアマネットのようなモンスターから人類を守ることらしい。

ロンドンの地下で十字軍の秘密墓所が発見され、その中にアマネットが生贄をささげる際に必要な赤い宝石が見つかり、そのことを探知したアマネットは鎖を引きちぎって脱走します。ニックとジェニファーも、宝石を破壊するために墓所に向かいますが、宝石はアマネットの手に落ちてしまいます!!

で、この後、あれやこれやで当然アマネットを退治するんですが、その代償としてニックが魔界に堕ちてしまう。しかし良心を残したニックは、これから続々と登場するであろう吸血鬼やフランケンシュタインと戦うというのが、ユニバーサルの計画。

ただし、残念なことにトム・クルーズ主演作の中でも1、2を争う低評価。アメリカ国内では黒字にできず、評論家諸氏からもたくさんのダメ出しがあって、「ダーク・ユニバース」の構想は白紙に戻ってしまったようです。

確かに、シリーズ化するための設定の説明が多くて本編の話がスカスカ。ミイラの話ですが、あまりその部分については深く掘り下げていないので、単なるモンスターという扱い。しかも、アマネットに生気を吸い取られた人間が生き返ってうようよしてばかりいるので、ゾンビ映画という方が似合っている。

実は「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(1999)」も「ミイラ再生」のリメイクなんですが、オリジナルの話を踏襲しつつ、エジプトを舞台にしっかりと現代風のストーリーにまとめ上げているので、B級SFX映画にしては評判が良くシリーズ化しました。

ソフィア・ブテラはまぁまぁかっこいいんですが、ヒロインのアナベル・ウォーリスはどうも影が薄い感じ。ラッセル・クロウやトム・クルーズを起用した割には、あまり彼らの存在感が出ずにパッとしませんでした。

2021年12月21日火曜日

クリニックの非常退避路


年の瀬の17日に起こった大阪のビル火災は、多くの犠牲を出しました。

しかも、火元がクリニックで放火だったこと、犯人が通院する患者だったことなどがわかってくると、他人事と簡単に片づけられないところがあります。

今回の事件の現場に限らず、多くのビル診療を行うクリニックでは、入り口は一つしかなく、内部は仕切りが多いので、何か起こってもすぐに把握しにくいだろうと想像します。

もちろん、日頃からうちのクリニックで、同じような事件が発生する不安を感じているわけではありませんが、あらためて避難路を確認してみました。

うちの場合も、正規の非常時の避難路は一つだけの北側の出入り口しかありません。ただし、窓は東側、南側、西側の三面にあります。

しかも、幸いなことに南と西は窓の外はベランダになっており、少なくとも室内から脱出することが可能。さらに、待合室からリハビリ室まで全面に窓がある南側はベランダに救助袋が設置されており、下の階などへの退避ができる構造です。

西側ベランダは隣の泌尿器科クリニックと共用なので、助けを求めることが可能かもしれない。また、東側は、ベランダはありませんが隣のビルとの距離が狭いので、工夫次第では飛び移れるかもしれません。

クリニック内ではガスの使用はなく、直接火が出るところはまったくありませんが、電気系統のショートなどが火災の原因になる可能性は否定できません。今後も、しっかり注意していきたいと思います。

2021年12月20日月曜日

2021年総決算


毎年、この時期になると1年を総括した「総決算」というタイトルの記事を書いていますが、今年は去年に続きコロナ渦の影響で、低調な1年という以外、ほとんど書くべきことがありませんでした。

思い出そうとしても、特段変化は思い出せず、何とか雇用を守るので精一杯。業績は回復したとは言えず、現状を何とか維持していたというところでしょうか。

ある意味、この状況に自分も、スタッフも、そして患者さんも慣れてしまったという1年だったのかもしれません。月によっては、昨年より患者数の少ない時もあったのですが、もう今更スタッフの勤務を減らすと言うわけにもいかない雰囲気で、かと言って増やせる状況でもない。

昨年の患者数激減の際に、自分の取り分は生活費と住宅ローンだけにしましたが、これもほとんど変わらずで、我が家の教育が終了しているからいいようなものの、今後に関わる「老後の資金がありません」というのは現実味を帯びています。

そういえば、車が変わりました。コロナ渦直前にちょっと余裕が出てきていたので、リースでレクサスとかに乗っていたんですが、毎月のリース料が高いのでやめました。遠出ができない状況で、ほとんど自宅とクリニックの往復しかしないので1500ccの安全装備第一の車に乗ってます。

まぁ、あんまり弱音ばかり言ってもしょぅがない。中には公的援助を申請するクリニックもあったりする状況ですから、何とか自前で維持できているのは良しとするところです。

クリニックも17年目に入りまして、目下のところ一番心配なのは、自分も含めて設備の老朽化。自分のことでは、老眼の進行が顕著。たいていは眼鏡無しでなんとかなりますが、細かいことをするのにメガネが必要。これがけっこううっとおしい。

レントゲンの撮影機械でエラーがよく出るようになり、点検してもらったらレントゲン線を放射する管球が傷んできているとのことで、消耗品なのでしょうがないことですが、突然撮影できなくなる可能性があります。その時は、大至急で管球の交換をしてもらうしかないのですが、これが安くない(百万円くらいかかる)。

システムとして、ほぼ強制的に導入しないといけないのが、例の「マイナンバー・カード」が保険証のかわりになるというやつ。今月、電話回線をISDNから光通信に変えたのは、実はこれを導入するため。マイナンバー・カードを機械に通してもらうと、数秒単位で有効な健康保険が確認できるという・・・言葉だけで言うと優れモノ。

ただし、高齢者では自己負担割合が1~3割でいろいろなのが、きちんと電子カルテに自動入力されるわけではないらしい。また多くの人が持っている健康保険に併用する医療証については、ほぼ自動確認は無理で手入力するしかない。要するに、受付職員の手間が増える方が多く、全員がマイナンバー・カードを提示してくれなければ、クリニック側としてはあまりメリットが無い。

今のところ、運用の仕方を受付でいろいろと考えてくれていますので、来年から実用としたいと考えています。みなさんにできるだけマイナンバー・カードの取得をお願いしたいところです。健康保険証との紐づけはクリニックの機械ですぐに可能です。

趣味的な話としては、今年はひたすら時間があると映画をみています。もちろん映画館に出向くほどの余裕は無いので、ブルーレイかDVDディスクによるパソコン画面での鑑賞です。映画好きの正しい鑑賞法とは言えそうにありませんが、その時期によってテーマを決めて集中的に見れるのは悪いことじゃない。

去年の11月の007シリーズに始まり、監督としてはスティーブン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー、ウェス・アンダーソン。今まであまり見てこなかった戦争物、そしてオールテイムのSF名作などを、ほとんどはレンタル落ちの安いメディア、時にはAmazon Primeの無料視聴を利用してきました。さすがに映画は探せば探すだけ見ていない作品が出てくるので、底が見えてきません。まだまだ当分続きそうです。

2021年12月19日日曜日

ポルターガイスト (1982)

スティーブン・スピルバーグが制作にまわり、「悪魔のいけにえ(1974)」でホラー映画の世界で名を馳せたトビー・フーパーが監督したオカルト・スリラー。ヒットを受けて、二人の手を離れた続編、続々篇が作られましたが、後の2作はほとんど無視していい存在。

一般的には魔術や超常現象に関係したものがオカルトと呼ばれることが多く、オカルト映画の代表作と言えば「エクソシスト(1973)」が思い出されます。ポルターガイストは心霊現象の一つとされ、ドイツ語の「騒がしい幽霊」という意味。触れていないのに、勝手に物を動いたり、音をたてたりする現象のこと。

スティーヴ・フリーリング(クレイグ・T・ネルソン)の一家は、妻のダイアン(ジョベス・ウィリアムズ)、長女のダナ(ドミニク・ダン)、長男のロビー(オリヴァー・ロビンス)、次女のキャロル・アン(ヘザー・オルーク)の5人暮らし。

真夜中のテレビ。アメリカ国歌が流れその日の放送が終了すると、信号が無くなったテレビは、いわゆる「砂嵐」になります。目を覚まして起きて来た幼いキャロル・アンは、大声でテレビに向かって誰かと会話を始めるのでした。

家の中で不思議なことが起こりはじめ、初めは面白がっていた一家でしたが、嵐と共に庭の木がロビーを襲い、キャロル・アンはテレビの中に吸い込まれしまいます。超常現象の研究家であるレシュ博士を招きますが、異常現象は彼らの手に余りました。レシュ博士は霊媒師のタンジーナに助けを求めます。

タンジーナの助言に従い、ロープを巻いたダイアンは、異次元の入口である子ども部屋の光に飛び込みキャロル・アンを助け出すことに成功しましたが、こどもたちをあきらめていない霊たちは再び襲って来るのでした。

まだCGなどもほとんど使われていなかった頃で、特殊撮影が「SFX」と呼ばれていた頃の映画。ホラー的な怖さよりも、SFXの見事な出来栄えに目を見張った作品です。SFXを担当したのはジョージ・ルーカスのILMで、当時としては最新鋭の技術のお手本のような仕上がり。

論理的に考えてどうしても解決できない現象は常に存在していて、アメリカ人でさえ多くの人が心霊現象を信じているようです。この映画では、学問的な立場のレシュ博士は敗北し、霊媒師に助けを求めました。最終的には、住宅地を開発するときに取り残された墓の遺体が関係する話として、一定の「解決」を示しています。解決がなければ、おそらく見たものは納得できない、つまり映画としてヒットしないのかもしれません。

長女役のドミニク・ダンは、この映画の公開直後に恋人に殺されました。キャロル・アンのヘザー・オルークも難病を発病し、3作目の撮影後に12歳で亡くなっています。こういう事後のエピソードが、より一層映画の神秘的な評価を盛り立てました。

映画としての着想が巧妙で、やはりこれは製作・脚本に関わったスピルバーグの才能というところ。「E.T.」制作中だったスピルバーグはトビー・フーパーに監督を任せますが、血しぶきが飛び散らない作品でのフーパーの恐怖表現は、正直言って平凡の域を超えていません。

2021年12月18日土曜日

マウス・オブ・マッドネス (1994)

怪奇の世界を描くなら、やっぱりジョン・カーペンターは外せません。SFやホラーと呼ばれる幾多のかけの作品は、名作・珍品ぞろい。これは、カーペンターを否定しているわけではなく、独創的な世界は他の追従を赦さない唯一の物だということ。

この映画は、純粋にホラーと呼べそうな作品で、スティーブン・キングをモデルにしているっぽいサター・ケインというホラー作家の失踪にまつわる恐怖を描いています。

ケインの作品の読者は、小説の世界に洗脳されたかのように異常行動に走ることがあるらしい。しかし、ある時ケインは失踪し行方不明になります。出版社は保険調査員であるジョン・トレント(サム・ニール)に調査を依頼し、出版社のケインの担当をしていたリンダ・スタイルズ(ジュリー・カーメン)と共に、ケインの本の記述を手掛かりに調査を始めました。

ケインの小説の舞台となっている町にたどりついた二人は、まるで小説の中と同じような現象に遭遇し、スタイルズはしだいに狂気に取りつかれていくのです。教会に隠れていたケイン(ユルゲン・プロホノフ)を発見しますが、すべては私が書いた世界であり、トレント自身すら私の登場人物の一人なのだと説明します。

そして、君がこの世界の終わりを書いた最後の小説の原稿を持っていくのだと言われますが、トレントは原稿を読まずに処分します。闇から出現する怪物に追われるように逃げ出すトレントは、気が付くといつもの街に戻っていて、出版社ではスタイルズという社員はいないと言われ、ケインの最後の小説はすでに出版されていました。

現実と小説の境界がわからなくなったトレントは、精神病院の隔離病棟に収容されていて、これまでの話を医師に話し終えました。街ではケインの小説を読んだ人々が暴動を起こし、狂気はどんどん拡大していくのでした。

出版社のお偉方を演じているのは、御大、チャールトン・ヘストン。またケイン役もユルゲン・プロホノフという名優が演じています。主役は「ジュラシック・パーク」シリーズでも有名な、サム・ニールが手堅い演技で見せてくれます。

恐怖演出は、やや定型的で、突然画面に入って来る物体と音響が中心。怖さだけを求めるとかなり評価は下がりそうですが、現実が実は小説の世界で、小説の世界が現実になっていくという複雑なプロットが秀逸です。書き換えられると現実も変わるので、話が複雑になっていきますが、トレントの視点のみに集中することで比較的整理されている感じがしました。

この映画の中には、1920~30年代にハワード・フィリップス・ラヴクラフトらが創作した「クトゥルフ神話」に登場する名詞が随所に登場しているらしい。クトゥルフ神話は、ファンタジー系の各種メディアには、連綿と受け継がれ引用される強い影響力を持っていて、代表的な作品としてラヴクラフト作の「狂気の山脈にて(At the Mountains of Madness)」があります。


2021年12月17日金曜日

ビルの修繕工事 足場完成


クリニックの入っているベルヴィル茅ヶ崎ビルの修繕工事が、 11月末から始まっています。足場架けが終了し、今日あたりから本格的に工事の方が窓の外を行き来すると思われます。

さすがにのぞかれる感じは嬉しくないので、ブラインドを広げることになりますので、だいぶ暗くなるかもしれません。

また、換気の問題があるのでときどき窓を開けるのですが、全面にシートがかかったので風通しは良くありませんので、長めになるかもしれません。

いろいろご不便をおかけしますが、ご協力をお願いします。

2021年12月16日木曜日

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 (2019)

スティーブン・キング原作の小説「IT」の後編。前回の80年代の話から27年後、再び踊るピエロ、ペニーワイスの恐怖がデリーの町に戻ってきました。監督は前作と同じでアンディ・ムスキエティ。もともと2部構成ですから、監督が変わったらおかしいということ。

それにしても日本だけの副題「それが・・・」は前作では褒めましたが、今回は原題との間に「THE END」が挟まっただけという、なんともわかりにくいタイトル。一見すると区別がつきにくいのはどうかと思います。そもそも、それを見えても終わらないことが多いし・・・

あれから27年、デリーの町で殺人・行方不明事件が発生します。唯一デリーの町に残って、図書館で働きながらペニーワイスのことを調べ続けていたマイクは、「それ」の復活を確信して、大人になった「負け犬クラブ」の面々に連絡を取り集めます。

ペニーワイスに立ち向かい勝利したと思っていた「負け犬クラブ」は、ビリー、ベン、ベバリー、リッチー、スタンリー、エディ、マイクの七人。しかし、スタンリーは招集の電話の後自殺してしまいます。ペニーワイスを倒すには、マイクが調べた先住民族の儀式を全員で行わなければならないのです。

ペニーワイスは、それぞれに再び悪夢を呼び起こし精神的に襲い掛かって来るのでした。彼らはついに、ペニーワイスとの最終決戦に挑むために、27年前と同じ朽ち果てた洋館に足を踏み入れるのでした。

やっつけたはずのペニーワイスが、27年後に再び復活して恐怖をまき散らすという内容ですが、そもそも原作が2つの時代を描いたものですから、いわゆる続編ではありません。最初から2部構成で企画制作されたもので、負け犬クラブのメンバーは10代なかばから40代にになっています。

ペニーワイスは、ある意味、彼らに植え付けられたトラウマの象徴。一度は克服したかに思えたわけですが、どこかに隠れ潜んで簡単に消えるものではありません。マイクはずっとトラウマに囚われ続けたわけで、他のメンバーは記憶から忘れ去ることで封印したはずのトラウマがマイクの電話によって呼び起こされてしまう。

トラウマの重圧に耐えられず自ら命を捨てる者もいるし、逃げ出そうとする者、そして立ち向かう者。大人になってそれぞれ違った思惑があるのは当然ですが、友情のもとに再集結して乗り越えようと努力することが中心テーマなんでしょうか。

ペニーワイスはほぼCGのようですが、後編では戦隊物の定番である最後は巨大化する怪獣状態で、とてもホラーとは呼べません。サイコホラー調のモンスター・アクション映画になっています。それにしても頼みの綱の儀式が失敗して、こんな手でやっつけるんかい、と言いたくなる結末でした。

ちなみに、ちょっと驚いたことが一つ。何と、原作者のスティーブン・キングが古道具屋の親父でカメオ出演しています。それも、けっこうセリフもあって、カメオの域を超えていました。

2021年12月15日水曜日

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 (2017)

これはSFじゃない・・・んですが、近年のホラー映画の中では評判をとった作品。あえて分類すると青春ダーク・ファンタジー・ホラー なんていう言い方があっているかも。もしかしたらホラー版「スタンド・バイ・ミー」というのは・・・おや、そういえば作者も同じスティーブン・キングです。

スティーブン・キングといえば、アメリカン・モダン・ホラー小説の大家。この原作も1986年に刊行された、今では初期の長編という扱い。タイトルの「それが・・・」は、まったくの日本独自のものですが、it という代名詞だけではよくわからないところを、言いえて妙という副題をつけたと褒めておきます。

原作も2部構成で、1990年にテレビのミニ・ドラマとして最初の映像化がされ、全体を3時間で作り上げ評判だったようです。今回は、最初から前編・後編に分かれていて、この作品の最後に「CHAPTER ONE」と明示されています。

デリーの町でこどもが行方不明になる事件が多発。ビリーの弟ジョージーもその一人で、ビルはそのことに強い責任を感じています。太っているベンは転校生で周りになじめず、いじめっ子グループにもめを付けられている。ベバリーも男好きと悪い噂ばかり立てられ、父親からも性的虐待を受けています。他にもリッチー、スタンリー、エディ、マイクらも心に何かしら劣等感や恐怖心を隠していました。

ベンが図書館で調べると、この街には27年ごとに大量に人が消える事件が発生しており、彼らの目にも恐怖を持ってくる踊るピエロ、ペニーワイスが次々と姿を現すのです。いずれの事件でも下水道が関係していると考えた彼らは、下水道が川に出る手前で集まる場所の上に建っている朽ち果てた洋館が鍵と考え乗り込むのでした。

監督のアンディ・ムスキエティはアルゼンチンの人。音響や映像は定型的なホラー映画を踏襲しているところはありますが、恐怖よりもファンタジー色が強く、「負け犬クラブ」のこどもたちの成長が主題にある感じで、勇気を振り絞って友情を堅持し、悪夢に立ち向かっていくこと、そして仲間を信じ切ることの大事さを描いていきます。

次々と残忍な人殺しが続き血が飛び散る、いわゆるスプラッター映画とか、ただひたすら死んでも死んでも生き返るゾンビ映画などは好みではないので、こういう作品は歓迎です。それらしてもピエロは、普通は滑稽な雰囲気ですが、話によっては哀愁をたたえ、ここでは本当に不気味な存在として強烈な印象を残しました。