夏季臨時休診

夏季臨時休診のお知らせ 8月14日(金)~8月19日(水)臨時休診します。

2023年11月25日土曜日

死刑台のエレベーター (1958)

原作はノエル・カレフのサスペンス小説。ルイ・マル監督のデヴュー作。そして、それ以上に自分にとって有名なのは、音楽が全編にわたりマイルス・デイビスが担当したということ。

この映画のためにフランスに招かれたマイルスは、映画のラッシュを見ながら現地ミュージシャンと即興的に音楽をつけていったという伝説を残しました。本当にその場で急に演奏したのか信じがたいほど、緊張感のある場面とマッチするジャズの音楽が心地よい。

サンウドトラックは、立派なトータル・アルバムとして成立していて、今までに音だけでも何度も聞き返したものです。評論家諸氏が指摘するのは、エコーを深くかけたトランペットの音が、まさにマイルスの音を確立させた原点と言うことで、確かに納得です。

映画も素晴らしい。白黒で撮影され、まさにフランス・フィルム・ノワールのジャンルを形成する名作の一本と呼ぶのにふさわしい。冒頭、ジャンヌ・モローのどアップから始まり、いきなり「ジュテーム(愛しているわ)」が繰り返される。これだけで、もうが画面に引き込まれてしまいます。

社長夫人フロランス(ジャンヌ・モロー)は、夫の部下であるジュリアン(モーリス・ロネ)と不倫関係にあり、夫を共謀して殺すのです。ジュリアンは社長を殺したあと、偶然に会社のエレベーターに閉じ込められ、フロランスは待ち合わせ場所でなかなかやって来ない恋人を心配する。

若者が出来心からジュリアンの車を盗んで、恋人とドライブにでかけます。若い二人は深い思慮はなく、モーテルで事件を引き起こし、シェリエ警部(リノ・ヴァンチュラ)は二つの事件のもつれた糸をたどっていくことになるのです。

日本でもドラマ化されたり、映画化されたりして人気があるストーリーですが、やはりジャンヌ・モローの圧倒的な美しさと存在感の前では陳腐な印象は拭えません。言葉では言い表せないこれがパリのけだるさ・・・まさにフランス映画ならではという雰囲気が濃厚に漂う名作です。

2023年11月24日金曜日

でっかい椎茸


大きさに驚く・・・椎茸です。

大きさを想像してもらいやすくするため、隣に大根を置きました。だいたい直径は10cmくらいはあるので、通常のスーパーに並ぶものの倍くらいになりそう。

那須高原に行ったお土産でもらったのですが、10個くらいで600円くらいなので、値段も手頃。貰ってもインパクト絶大で楽しい。

もっとも、肝心なのは味。大きいと味がボケてしまうのではと心配になりますが、大丈夫です。

今回はバター醤油で味付けし、じっくりとフライパンで焼いた感じなのですが、柔らかめの「アワビ・ステーキ」のような食感で、なかなかのもの。

持って帰るのに多少はかさばりますが、話題性もばっちりでおすすめの一品です。

2023年11月23日木曜日

セブンのおにぎり 16


注目してみると、まぁ、次から次へと新作が登場しているのに驚くのがコンビニのおにぎり。

今回のセブンイレブンの新発売は、「やみつき香味だれとたまご」と「かに味噌醤油のまぜめし」の二つ。

かに味噌醤油まぜめしは、カケジャンケジャン仕立てとなっていて、カケジャンケジャンは渡り蟹を醤油に漬け込んだ韓国料理のこと。

実は5月に「韓国フェア」として登場していたもののリニューアル版です。

何が新しいのかというと、韓国海苔で巻けるようになったところ。手で持っても大丈夫なように海苔のゴマ油は少な目という感じ。

前回は180円でしたが、今回は165円に値下げ。海苔付きで値下げというのは、ちょっと不思議ですが、どこで価格を抑えたのかはよくわからない。なんとなくカニの風味がする、普通に美味しい味付きご飯です。

もう一つの「たまご」がやたらと目立つ方。これがよくわからない。

和風でもないし、中華風でも、韓国風でもない、ちょっとニンニク、ちょっと生姜の風味がする混ぜご飯という感じなんですが・・・

たまご? たまごはどこ? 原材料には「味付きゆで玉子」と書いてあるのですが、よくわかりませんでした。セブンイレブンには、味付きゆで玉子の半分に切ったものがどーんといれてあるおにぎりがすでにありますが、それをぐちゃぐちゃに崩してみたということなのか?

たまごの味はよくわからないという不思議な一品で、二度目は無いというところです。

2023年11月22日水曜日

セブンのおにぎり 15


おにぎりの中に入っているのは、昭和のスタンダードは鮭、たらこ、梅、昆布とかでした。今は、具材は様々。えっ、こんなものまでおにぎりになるの? って思うものもあったりします。

今回のは洋食系。これはおにぎりと呼んでいいのか、ちょっと疑問は感じますが、ふだんお皿で食べるものを手軽に持ち運べるというのは、ちょっと嬉しいところかもしれない。

海老のシーフード・ピラフは、まさに想像通りの味。いわゆるバターライスに海老の風味が加わって、当然のように美味しい。

むきエビの細かいかけらが入っていて、海老の味を感じますが、大きめのかけらは当然少な目なのはしょうがないとあきらめられるところです。

さて、もうひとつはオムライス。ケチャップライスに、きれいに丸く固められたオムレツがのっているのでオムレツと呼ぶわけですが、そもそもこれをオムレツと呼んでいいのか悩みます。

卵は保存の問題でコンビニでも頭を悩ませる食材の一つだと思いますが、このオムレツも何か人工的で均一なタマゴ風味という印象で、黄色い色をしていることを除けばタマゴ料理と呼ぶには抵抗があります。

デミグラス・ソースと表示してあるのですが、外見からは見えません。ソースは食べてみると、オムレツの下に隠されていました。あー、なるほどという感じ。

これなら、海老のシーフード・ピラフに準じて、ケチャップ味のチキン・ライスくらいにした方がよかったように思います。まぁ、好みの問題ですけどね。

2023年11月21日火曜日

ホームセンターのアウトレット・バーゲン


先週から、クリニックの近くのホームセンターでバーゲン・セールをしています。

・・・というだけの話題。

なんですが、100円均一の小物雑貨から1000円の上着まで、店前の廊下をはみ出して屋外にまで並んでいます。

屋外は、店員さんが立っているわけではないので、大丈夫なのかと思ってしまいますが、廃棄処分するよりは少しでも売れればという開き直りが感じられます。

衣類はホームセンターの仕事着みたいなものがほとんどなので、はっきり言ってファッション性は期待してはいけません。

それでも「安さは正義」みたいなところがありますから、だいぶ品物は減ってきた。興味がある方は急げ!!

2023年11月20日月曜日

PLAN 75 (2022)

とある老人施設。一人の若者が血だらけの腕に猟銃を持ってうろついていました。彼は、入所者たちを殺してまわったらしく、「高齢者が増え,我々の負担ばかりが増える現実を変えるきっかけになればいい」と遺言を遺して、自らの頭を打ちぬくのでした。

世界に類を見ない高齢化社会となり、高齢者を襲撃する事件が多発する日本で、政府はその解決策の一つとして「PLAN75」の始動させました。これは、75歳以上になると自らの意思で安楽死を選択する権利を認めるもので、自治体の組織としてPLAN75への参加を積極的に勧めることになったのです。

78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、身寄りはなく、同じような年齢の同僚たちとホテルの清掃員として働く毎日でした。しかし、同僚の一人が突然倒れたことをきっかけに職を失ってしまいます。新しい仕事を探しても、なかなか見つけることはできず、かと言って生活保護にも抵抗がありました。

PLAN75の職員である岡部ヒロム(磯村勇斗)は、申し込みに来た老人が20年来音信不通だった叔父であることに気が付きます。親族という理由で担当をはずされたヒロムでしたが、自分にとってたった一人の親族であるので気になってアパートを訪ねたりするのでした。

フィリピンから来たマリア(ステファニー・アリアン)は、老人施設で働きその仕事ぶりは誰からも好かれていました。しかし、フィリピンに残して来たこどもの手術費用か必要で、PLAN75の火葬場で遺品を整理する仕事も始めました。

連絡がつかなくなった元同僚が孤独死しているのを発見したミチは、PLAN75に申し込むことにします。一時金として自由に使える10万円が渡され、ミチの担当になった成宮(河合優美)と電話でいろいろと長話をすることができました。規則違反ですが、ミチは直接成宮と会ってボーリングを楽しんだりもできました。いよいよ明日となって、電話の成宮は涙声で最後の伝達事項を伝えます。

朝となり、ミチもヒロムの叔父も、ついにPLAN75施設にやってきました。叔父を送ってきたヒロムはどこかに納得できない何かを感じていました。マリアは上司がめぼしい遺品を自分のポケットに入れてしまうことに、後ろめたさを感じます。思い残すことは無いと覚悟を決めていたミチでしたが・・・・

・・・というストーリー。監督・脚本ははこれが長編作デヴューとなる早川千絵。言葉による説明を極力排して映像に語らせることに注力した感じがします。冒頭でモーツァルトのピアノ・ソナタKV283 第2楽章が使われているところを除くと、全体に音楽が無い静寂が支配していますが、ここぞとばかりに時折やや抽象的な曲が鳴るのは印象的です。

内容からして明るさはなく、淡々と彩度の低い映像を撮り続けるのは浦田秀穂。製作には日本だけでなく、フランス、フィリピン、カタールなどが協力した国際色を意識した作品になっています。

日本では比較的珍しい、いわゆる近未来のディストピア(ユートビアの反対語)を描く作品ですが、むしろ舞台は現代と言ってよい感じなので、パラレル・ワールドという方が正しいのかもしれません。

現実に高齢化社会は様々な問題をはらんでいることは事実ですし、こんな制度はばかばかしいと一笑に付すわけにもいかないところが鋭いポイント。ひたすら健康寿命を延ばすことに注力してきた厚生行政が、一転して高齢者を切り捨てるというのは、潜在的な支持者がいても不思議はありません。

実際、自分もちゃくちゃくと高齢者に近づいているので、他人事のようには思えない。高齢者がいなければ高齢社会の問題は解決するというのは、確かに真理の一つなのかもしれません。この映画では、だからと言って、そのことを肯定するわけではなく、見た者一人一人がそれぞれの年代において、考えなければならないことを突き付けていると言えます。

2023年11月19日日曜日

ポケモン & ドーナッツ


ミスター・ドーナッツが好きという方、かつポケット・モンスターが好きという方には、例年この時期にこたえられない楽しさを運んでくるのが、ミスター・ドーナッツのポケモン・コラボ企画。

今年は「ポカーンとのんびりひとやすみ」というテーマで、ピカチュー、コダック、モンスター・ボールを象ったドーナッツが登場。

他にもカビゴンをテーマにした2種類も加わって、クリスマンごろまでワクワク・ドキドキが続く・・・らしい。

さすがに、おじさんはどうでもいいのですが、合わせて販売されているポーチとか、ランチ・ボックスとかが欲しくなる方もたくさんいるようです・・・

なお、カロリーは一段とアップしているように思います。

2023年11月18日土曜日

悪魔が来りて笛を吹く (1979)

角川映画「犬神家の一族」から始まった市川崑監督の石坂浩二の金田一耕助は、その後東宝でシリーズ化されましたが、1979年に再び角川春樹事務所が金田一物を作ったのは東映。しかも金田一耕助には西田敏行がキャスティングされました。笛(フルート)が重要なアイテムだからということか、音楽は邦楽界の重鎮、山本邦山が担当しています。監督は斎藤光正です。

今だに謎を残す昭和28年に発生した帝銀(帝国銀行)事件をモチーフにしています。青酸カリによって行員12名を毒殺し、逮捕された平沢貞道は死刑判決を受けるも執行前に獄死しました。この話では、天銀堂という宝石店に置き換えられ、容疑者として取り調べを受けた元子爵の椿英輔(中谷昇)が釈放後に自殺したことから話が始まります。

英輔の妻、椿秌子(鰐淵春子)は妖艶な美人で19歳の娘、美禰子(斎藤とも子)、秌子の伯父で元伯爵の玉虫公丸(小澤栄太郎)、秌子の兄で陰気な新宮利彦(石濱朗)、英輔に気に入られ居候している三島東太郎(宮内淳)らが、同じ屋根の下に暮らしています。

美禰子は死んだはずの英輔からの「この家には悪魔が住んでいる」という手紙を見つけ不安になり金田一耕助に連絡を取るのです。椿家に招待された金田一は、親族一同がこっくりさんのような占いで火炎太鼓のような模様が浮き出て驚愕するところを目撃します。また、生前に英輔がレコードに吹き込んだフルートの独奏曲が流れだし、集まった者はさらに恐怖の表情を浮かべます。

そして、その夜、玉虫公丸が閉ざされた室内で殺されてしまうのです。これは、さらなる椿家の因縁に絡む連続殺人事件の始まりでした。金田一は等々力警部(夏八木勲)と共に捜査を開始するのでした。

他にも、二木てるみ、村松英子、池波志乃、山本麟一などが登場します。チョイ役で中村雅俊、秋野太作、梅宮辰夫、金子信雄、浜木綿子、中村珠緒、さらには角川春樹、横溝正史まで出てくるというサービスぶりです。

西田金田一は、石坂浩二で評判がよかった原作に忠実な着物に袴という書生姿で登場し、トレードマークのお釜帽をかぶっています。これはあえて映画の石坂浩二、テレビの古谷一行の二枚目イメージを覆すためのキャスティングです。

しかし、映画として成功しているかと言えば・・・市川崑作品の完成度が高かっただけに、複雑な人間関係を説明しきれていない上に、フルートにこだわり過ぎた演出がやや鼻につく感じがします。

角川映画のキャッチフレーズに「見てから読むか、読んでから見るか」というのがあったと記憶していますが、さすがにこれは先に原作を知らないとちんぷんかんぷんという感じ。ただし、原作を知っていると、なんじゃこりゃという出来と言わざるを得ません。

2023年11月17日金曜日

億男 (2018)

川村元気・・・って何者?


現代の邦画界で、最も注目すべきクリエイターの一人と言える人物。1979年生まれで、最初の足跡は2006年に企画・製作に携わった「電車男」で、以後「デトロイト・メタル・シティ」、「告白」、「悪人」、「モテキ」などを立て続けにヒットさせました。他にも「君の名は」、「怒り」、「何者」、「天気の子」、「すずめの戸締り」、「怪物」と話題作に関わっていることは特筆すべきことです。

2012年に自ら初めての小説「世界から猫が消えたなら」を発表し、2014年には「億男」、2016年に「四月になれば彼女は」、そして2019年の「百花」まですべてが映画化、または映画化が予定されています。2021年には「神曲」を発表しており、おそらく映画化を見据えているのではないでしょうか。

3歳で初めて見た映画が「E.T.」で、以来、父親の影響もあって古今東西の名作映画を見まくったという学生時代までの蓄積が、確かな鑑賞眼を培い、映画作りの立場でもしっかりと生かされているということだろうと思います。

さて、その川村元気の2番目の小説は、大友啓史により映画化され、主演は「世界から・・・」に続いて佐藤健が勤め、「るろうに剣心」のペアが再びというところ。

大倉一男(佐藤健)は、図書館で働ていますが、莫大な借金を背負いパン工場でバイトもする生活。妻の万佐子(黒木華)は、愛想をつかして娘を連れて別居してしまいました。しかし、たまたま買った宝くじが当選して、一男は三億円を手に入れます。

大金に不安になった一男は、起業した会社が成功して大金持ちになった大学からの友人である九十九(高橋一生)に、これからどうすればいいか相談に行きますが、九十九はお祝いだとパーティを開き、一男は飲み過ぎて寝込んでしまいます。

目を覚ますと、三億円と共に九十九は消えていました。一男は、パーティに居合わせたアキラ(池田エライザ)が持っていた名刺をヒントに、九十九の行方を追います。九十九の会社で技術責任者をしていた百瀬(北村一輝)に会いに行くと、億万長者の遊び方を見せつけられるのでした。百瀬は元財務責任者だった千住(藤原竜也)を紹介します。

千住はセミナーを主催するマネーアドバイザーとなっていて、集まった人々を洗脳して金を巻き上げるような怪しい男でした。千住の話によると、九十九の会社は最初の勢いが無くなり、火の車になっていたのです。百瀬や千住らは沈みかけた船から真っ先に逃げ出したということ。千住は元広報担当の安田(沢尻エリカ)なら、行方を知っているかもしれないと言います。

安田は公営住宅で質素な暮らしをしていて、結局、夢と理想を追いかける九十九に付いて行けず、みんながお金が一度手にしたことで変わってしまったと話します。一男は九十九とかつて旅行して熱く語り合ったことを思い出し、お金が無いことでも自分は変わってしまったことを思い知るのです。そんな一男の前に、三億円を持った九十九が姿を現しました。

お金って何だろう、お金によって人が変わってしまうのは何故なんだろう、という問いかけをしている映画。急に金持ちになってどうしていいかわからない主人公が、行く先々で出会う人々からその答えを探っていくという内容です。

・・・なんですが、キャスティングの割には、それぞれの俳優の良さが見えてこない。そもそも庶民的には到底手にしたことが無いレベルの大金の話なので、どうも絵空事感かついて回ります。

要するに、一つ一つのエピソードにリアリティが無さすぎで、そんな中で「お金とは・・・」みたいな話をされても何かなぁ・・・という映画でした。

2023年11月16日木曜日

セブンのおにぎり 14


またまた見つけた新発売。

定番シリーズ以外の変わり種おにぎりは、常に数種類あります。さらにその中の一つ、二つは季節性の再登場だったり新たに考案されたもの。

今回の「新発売」は「湘南しらす菜飯」で、首都圏では江の島の「生しらす」が有名なので、湘南の名を冠したのだろうと思います。もっとも生はさすがに無理なので、しらすは茹でてあります。

菜飯の菜は小松菜で、ご飯に混ぜ込んでありますが、あまり目立たず味も特に感じません。味付けは、うっすらと生姜風味がする醤油をかけた混ぜご飯です。

最初の一口でカニっぽい味がした気がしましたが、もちろん入っていません。しらすの味もそれほど感じないので、まぁ、こんなもんかという感じです。

2023年11月15日水曜日

オリオン


首都圏では「星降る夜空」なんて表現は、完全に過去の物で、数えるくらいしか星は見えないのが当たり前になってしまいました。

空気が汚れているから、街の明かりが強すぎるからとかいろいろ言われていますが、さすがに空気が澄む今の時期は、いつもよりは大目に星が見えるように思います。

実際、露光時間をかなり長めにして写真を撮ってみると、肉眼でみるより多くの星が確認できるのは、ちょっと嬉しくなります。

そんな空ですが、今でも確認できる数少ない星座の一つがオリオン座。

南の空に、この時期は比較的下の方で見つけやすい。四角形を作る4つの星の真ん中に3つの星がてん、てん、てんと並ぶのでわかりやすい。

オリオンすら見えなくなったら、もう世界は終わりだと思います・・・って大袈裟か。

2023年11月14日火曜日

世界から猫が消えたなら (2016)

いかにも今の時代だからこそのメディア、LINE公式アカウントで連載された川村元気の小説が原作。家族の在り方、世界に自分が存在することの意味などをほのぼのとした雰囲気のファンタジーとして描いた映画。監督はCMの世界で多くのヒット作を手掛けた永井聡。脚本はテレビ・ドラマで活躍する岡田惠和。

郵便配達の仕事をしてごく普通に暮らしている、僕(佐藤健)は脳腫瘍で余命いくばくもないと宣言されます。家に帰ると、自分とそっくりの「悪魔」が現れ、何かを一つを世界から無くせば一日寿命を延ばすと持ち掛けます。ただし、何を選ぶかは「悪魔」が選択し、拒否することはできると説明し、まずは電話を消すと言います。

最後の電話を昔の別れた彼女(宮崎あおい)にして、翌日映画館で働く彼女に会いに行きます。会うとなかなか会話が進まない二人でしたが、別れた後に電話で長々と会話を楽しんだことを思い出します。夜になると次々と電話が消えて行ってしまうのでした。そして「悪魔」が再び現れ、今度は映画を消すと言い出します。

学生時代からずっと映画のビデオを貸してくれて、映画の話でずっとつながっていた「ツタヤ」(濱田岳)と呼ぶ友人がいました。僕は彼に会いに行くと、最後に見るならどの映画だろうと質問しますが、ツタヤは映画は無限だから最後なんかないというのです。しかし彼女の働く映画館も、ツタヤの貸ビデオ屋も夜になると消えてしまう。再び「悪魔」が現れ、次は時計を消すと言うのです。

町の古びた時計店を営む父親(奥田瑛二)は寡黙で頑固。母親(原田美枝子)が死んだ時も、黙って治した時計を枕元に置くだけでした。そんな父親とは僕はうまく関係を築けず、こどもの時に拾った飼い猫のレタスと母親だけが家族のようなものでした。僕は彼女とブエノスアイレスに旅行したことを思い出します。しかし、旅先で知り合った男性がいとも簡単に殺され命を失ったことで、気まずくなり別れてしまったのです。「悪魔」は次は猫を消すことにしました。

最初に飼っていた猫はレタスの箱に捨てられていたのでレタスと名付けていましたが、病気で死ぬときに、母親はレタスにやっと楽になれるとと語りかけていました。そして次に飼うことになったのはキャベツの箱に入っていたのでキャベツ。実は父親が代わりの猫を探してくれていたのです。猫との関係が母親と父親との一番大事なカギになっていたことを思い出した僕は、「悪魔」に猫が消えることを拒否するのです。

僕は大事なものと引き換えに命が長引いても、世の中の自分の存在していたことも消えていくことに気が付きました。自分が消えても、何も変わらないかもしれないれど、誰かが少しでも自分を思い出しくれること、そして母親と父親の思い出をしっかり残すことを選択したのでした。

時間軸の移動が多く、何かが消えることで過去や現在が変化してしまうので、柔らかなストーリーなんですが、気を抜いていると話が分からなくなりますので注意が必要です。また、登場人物は固有名詞で呼ばれないので、見るものが自分に置き換えて感情移入しやすいというのもポイントです。

一人の一市民、場合によってはそれなりの有名人がいなくなっても、世界は当然回るのですが、その人の周りには小さなドラマがたくさん生まれているということ。楽しいことも悲しいこともありますが、その一つ一つがそれなりの意味を持っていることをあらためて思い出させてくれます。

そんな大きなことを描いてくれているわけではありませんが、自分が何を大事にしているのかを思い出させてくれる、ちょっといい作品です。また、佐藤健の他の作品とはちょっと違う役柄も見どころになっています。

2023年11月13日月曜日

犬神家の一族 (1976)

名匠、市川崑監督が横溝正史原作の金田一耕助が登場する「探偵小説」を実写化したのは、1976年の「犬神家の一族」が最初でした。角川春樹事務所が手掛けた、いわゆる「角川映画」の第1回作品で、それまでの邦画界にはなかったメディア・ミックスの手法で一世を風靡したことは特記すべきことでした。

原作は1950年に発表されたもので、横溝作品としては必ずしも高評価とは言えないところもあるのですが、この角川のプロモーションの成功により、テレビ・ドラマ化も何度もされ、今では最も知られている作品になっています。

特に湖面にさかさまに殺された被害者の二本の脚が突き出たシーンは、抜群のインパクトで誰もが鮮烈な印象を持ったことは間違いありません。市川崑は以前から久里子亭(くりすてい、アガサ・クリスティのもじり)というペン・ネームで脚本に参加するほどでしたので、この仕事を快諾したと言われています。

原作に登場する金田一耕助は、人なつっこい笑顔の体格は貧相な青年ですが、身なりには無頓着。よれよれ着物に袴という書生姿で、お釜帽をかぶった髪の毛はぼさぼさに伸ばし、興奮するとかきむしってフケを飛ばしてしまう。

これまでに映画化された金田一耕助は時代順に片岡千恵蔵、岡譲二、河津清三郎、池辺良、高倉健、中尾彬らがいましたが、古いほどスーツ姿で決めていて「フィリップ・マーロウ」を意識していたものと思われます。今作では石坂浩二が金田一を演じましたが、初めて原作に忠実な実写化がなされており、これ以降の西田敏行、古谷一行、鹿賀丈史、豊川悦司らの金田一はこのスタイルが踏襲されています(渥美清だけ除く)。

戦後すぐの那須湖畔に地域の名家、犬神家の大邸宅がありました。当主であった佐兵衛(三國連太郎)が亡くなり、遺産目当てに長女の松子(高峰三枝子)、次女の竹子(三条美紀)、そして三女の梅子(草笛光子)を中心に一族が集まってきます。松子、竹子、梅子にはそれぞれ佐清、佐武、佐智という息子がいました。

犬神家の顧問弁護士をしている古舘(小澤栄太郎)は、不穏なものを感じ金田一耕助(石坂浩二)を呼び寄せるのでした。金田一は犬神家に住む野々宮珠世(島田陽子)が乗ったボートが沈みそうなところを助けます。これは、珠世と結婚した者が遺産を想像するという遺言を巡っての連続殺人事件の前奏曲でした。

と、まぁ、犯人が誰かが一番の問題です。興味があったら、是非本編をご覧ください・・・ということなんですが、実は悩ましいことが一つあります。市川崑監督、石坂浩二主演でもう一つの「犬神家」があるんです。

作られたのは2006年で、30年ぶりのリメイクという位置づけ。ごく一部は変更点はあるものの、ほとんど1976年版と台詞もカット割りも変わらない。基本的に同じ脚本を土台にしています。石坂浩二(金田一)、大滝秀治(神官)、加藤武(警察署長)は同じ役で登場。松子は富司純子、竹子は松坂慶子、梅子は萬田久子、佐清は尾上菊之助、野々宮珠世は松嶋菜々子です。

豪華なキャスティングで話題性は十分ですが、なんでここまで同じものを作る必要があったのかが不明。灰皿のアップで、まったく同じ形・柄の灰皿が映し出されるこだわりには驚きます。まして、市川崑にとってはこれが遺作となってしまったことは、さぞかし面白くなかったのではないかと思います。若者から中年男になった金田一というのが多少興味深いところがありますが、そのまま顔つきが年食っただけというのが結論です。

2023年11月12日日曜日

本陣殺人事件 (1975)

横溝正史は70年代に、角川書店が仕掛けた最初のメディア・ミックスの対象となって大ブームになりました。特に金田一耕助は、横溝が創作した探偵として人気が高く、今でも名前は知られていることと思います。

映画としては、戦前にも金田一を片岡千恵蔵が演じましたが、スーツ姿で拳銃を構えるという原作のイメージとはほど遠いモダンな姿。角川は1976年から市川崑監督のもと、石坂浩二の原作に比較的忠実な金田一によってシリーズをヒットさせました。

しかし、これに先立つ1975年に公開されたこの映画は、当時かなり先鋭的な作家性の強い映画作りでマニアックな人気を持っていたATG(日本アート・シアター・ギルド)が製作したもので、その後の角川によるブームの陰に隠れて忘れられた存在になってしまった感があります。

しかし、原作(1946年)は金田一耕助が初めて登場した作品であり、戦後最初の長編として横溝も力を入れたもので、しかも開放的な日本家屋を舞台にした密室殺人として大変話題になりました。日本の推理小説史の中でも、重要な作品として位置づけられています。

監督・脚本は高林陽一。音楽は、高林監督と盟友だった商業映画に進出する直前の大林信彦。金田一耕助役は中尾彬で、現代の若者としてジーンズ姿で登場します。この後の横溝・金田一シリーズで度々登場することになる磯川警部は東野孝彦、金田一のパトロンとなる久保銀蔵は加賀邦夫。物語の鍵となる一柳鈴子は人気が出始めた高沢順子が演じました。

純粋な犯人捜しと密室トリックを暴くのが目的ですから、あらすじは詳しく紹介することは控えます。横溝が得意とした因習に縛られしきたりを重んじる日本旧家が舞台ですが、角川作品で取り上げられたものに比べれはあまり「おどろおどろしい」雰囲気は薄い。

岡山の旧本陣であった一柳家で、長男の腎蔵と農家出身の久保克子の婚礼が行われました。しかし、その新婚初夜に二人が眠る離れから悲鳴が響き渡り、家人が駆けつけると腎蔵と克子が斬殺されていました。

部屋には二人以外には人はいない。凶器の日本刀は庭の中央に刺さっている。そして、その日は季節外れの雪が降り積もっていたため、離れの周りには誰かが出入りした足跡も残されていなかったのでした。

映像は役者の顔のアップを中心とした主観的な表現が多用されています。カメラ移動による描写もほとんどなく、たんたんとした映像が、かえって感情に訴えるより冷静に事件を追う様子を強調しているように思います。

ただ、石坂・金田一があまりにも原作の風貌を再現していたので(後にテレビで古谷一行がこれを踏襲しました)、やはり原作を知るものとしては、中尾・金田一への違和感は今となっては消しようがない。

また、純粋に犯罪トリックを暴きつつも、いかにも芸術性を重視したATGらしい、深い洞察力を要する難しい映像、悪く言えば「意味不明」なシーンも散見され、本来の推理小説としてのエンターテインメント性が横に置いておかれているところもあるのが、原作ファンとしては残念なところかもしれません。