2011年11月21日月曜日

トヨタ アクア (プリウスC) 価格予想 Part4 最終調整中

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今年は震災の影響でトヨタ自動車のプリウスは、一時的に新車登録台数でホンダのフィットに首位を明け渡しました。しかし、プリウス・ブランドの拡大展開というグロバール戦略を進めてきた最初の成果として、5月にワゴンタイプのプリウスαを発売。

その後は増産体制をしき、何とか例年並みの水準まで戻したと思ったのも束の間、今度はタイの洪水の影響で部品調達に影響が出て、またしてもブレーキがかかってしまいました。長引く円高の影響もあり、会社としても相当難しい舵取りをせまられた一年になりそうです。

そういう意味で、この年末に向かっての時期、トヨタは来年からの業績回復・挽回、さらに拡大に向けて、重要な新車の発売に踏み切りました。

その1番手がコンパクト・ハイブリッドのアクア。もともとプリウスCとして開発されてきたもので、プリウス・ファミリーの新しい顧客をつかむ目的があります。プリウスでは狭すぎるというファミリー向けにα、そしてプリウスでは大きすぎるという女性などにはコンパクトなアクア。

またプリウスより低価格に設定することで、自動車離れといわれる若者も取り込みたい考えです。最大の武器は世界最高の燃費。JCO8モードで37km/Lは、当初噂されていた数字からするとだいぶ目減りしましたが、それでもびっくりする数字です。

さらにPHVプリウスの登場。現行プリウスよりも、電池を多く搭載し、より電気自動車に近づくことになります。イメージとしては、ほぼモーターで動ける電気自動車ですが、エンジンのアシストも付いているというところでしょうか。ここまで来ると燃費という考え方が合っているのか疑問がありますが、一応60km/L以上と言われています。

さて、ここで問題なのは新車の価格。プリウスαの時は、5月13日発売でしたが、実は正規の注文は4月1日から始まっていて、3月はじめ頃にはある程度アナウンスされていたのです。いくら実車を見ない、試乗もしないで注文するといっても、価格がわからないことにはどうしようもありません。

PHVプリウスについては、すでにだいたいの価格が公表されています。ところがアクアについては、いまだにまったくその気配もありません。12月3日からの東京モーターショーへの出展が決まっていますが、ここでも価格未定となる可能性が考えられています。

どうもこれはかなり異常な事態と言わざるを得ません。9月末にメディアにリークした話は「170万くらいで調整中」というものでした。これが3つあるどのグレードの話なのかもわかりません。実際にスタッフマニュアルが配布され、自動車雑誌にも車の概要は掲載されています。

そこからわかったことは、一番下のLグレードは商用車向けの設定で、一般の大多数の顧客が買うことは想定していないような装備であること。つまり、通常売りたいのはSかGグレード。ところが、これがほぼ丸裸状態で、今時普通に使う機能の多くがオプションになっている。

個人個人のニーズに合わせやすいと言えば聞こえはいいのですが、結局少なめに考えても20万近くのオプションが必要になるということから、購入希望を持っている人にとっては、価格がまったく出てこないと言うことはかなり苛立たせる材料になっているわけです。

2009年にメジャーチェンジで30型プリウスした際に、その価格が話題になりました。プリウスを発売する前に、ホンダがリニューアルしたインサイトをぶつけてきたのです。トヨタはホンダの挑発によって、プリウスの予定価格を引き下げて発表し、実際インサイトを潰すことに成功したのでした。

しかし、この低価格はトヨタにとっては自分の首も絞めることになりました。いくら売れても利幅が少なく、また他の車種の価格決定にも影響がでてしまうわけです。そこで、まずPHVの発売に合わせて通常のプリウスのマイナーチェンジも行われ、プリウスの価格を値上げすることになりました。これで、アクアとの価格差をはっきり出せると考えているようです。

まわりの他社の様子を見てみると、当然車の格から考えると、アクアの最大のライバルはホンダのフィットですが、マツダのデミオやダイハツのイースなどの低燃費を売りにする車も対抗する必要があります。

ホンダはここにきて、大きめのフリードなどにもホンダ独自のハイブリッドシステムを搭載してリニューアルしています。さらにハイブリッド専用車のインサイトも、今までなかった1500ccエンジン搭載車を投入してきて、アクア登場前に包囲網をしいてきているわけです。

またもやホンダの挑発を受けて立つならば150万~180万程度の低価格での販売(実質200万以内におさまる価格)の可能性がでてきますが、今のトヨタに利益抑制できるだけの体力があるでしょうか。

プリウスを値上げしたことで、αとの価格差はだいたい30万くらいになっていることも考えると、アクアの価格は170万~200万として、価格帯のバランスを取ってくるということも十分に考えられます。また、そのほうが自社の売れ筋であるヴィッツを自ら潰さないですむというメリットも出てきます。

さて、ここにきてもう一つの価格決定要素であるエコカー減税に関して変化がでてきました。もともと最終的に来年の4月で打ち切られることになっていたものですが、円高に苦しむ企業をサポートするために延長しようという動きが出てきました。企業のためというのもどうかとは思いますが、もともと二重課税していた部分ではあるので、何らかの課税方法の見直しは必要なところではあります。

エコカー減税が無くなるから、よけいに対象となるアクアの人気が高まるわけですから、減税が続くなら急がずもっといろいろ検討したいという客が増えることが予想されます。一方、多少高めの価格というイメージでも減税分が実質的な「値引き」となります。いろいろなメリット・デメリットが交錯するため、トヨタもアクアの価格決定については慎重になっているのでしょう。

しかし、いずれにしても12月26日発売としたからには、エコカー減税にひっかかる最終タイミングを考えていないわけはなく、1ヶ月前には正規の受注を開始できるようにしないと、さすがに客からのブーイングは最大規模になりイメージダウンは避けられません。

自分の考える最初の予想価格は、L 165万、S 178万、G 188万。
自分の希望する予想価格が、L 145万、S 160万、G 170万。必要なオプションでプラス10~20万、諸費用と減税でGグレードでもなんとか200万でおさまりそうな価格設定です。実際には一番売れ筋になりそうなSが、全部で200万以内という170万となるんではないかと・・・

何にしても、いくらなんでも今週中には正規の価格が販売店に通達され、こんな価格予想でいろいろあーだこーだと言うこともなくなることと思います。まぁ右往左往しているのも楽しみのではありますが、消費者的にはあっと驚くサプライズ価格を期待するのは当然ですけどね。