2019年12月10日火曜日

ラトルのマーラー録音をコンプリートする

ベルリンフィルは世界最高のオーケストラである。

これは大多数の人が賛成する評価ですし、自分も否を唱えるものではありません。しかし、特にフルトヴェングラー、そしてカラヤンの永遠の呪縛は存在していて、おそらくイタリア人のアバド、イギリス人のラトルの上に重くのしかかっていたことは想像に難くない。

ロシア人のペテレンコの今後はどうなるのかまだわかりませんが、アバドのようにベルリンを離れてからそれまで以上に生き生きとした活動をする例を見ると、自ら計画的に辞したラトルは多くの期待を抱きます。

サイモン・ラトルは、1955年生まれで、まぁ自分とは同世代。マーラー指揮者としても、一定の成果を作り上げてきた人ですが、実はいまだにきちっとまとめ上げた全集と呼べるものが無い。

最初のボックスは、ベルリンフィル以前のバーミンガム市交響楽団を中心に、足りない物をウィーンフィルとベルリンフィルで補ったもの。2番目のボックスは、逆にベルリンフィルを中心に、バーミンガムで補ったもの。

AmazonやHMVで、ラトルのマーラー正規盤を探して並べてみると、次のような状況です。

1980年 交響曲第10番(クック版) ボーンマス交響楽団

1984年 嘆きの歌 バーミンガム市交響楽団
ヘレナ・デーゼ(S)、アルフレーダ・ホジソン(Ms)
ロバート・ティアー(R)、ション・レー(Br)
完全オリジナル版

1986年 交響曲第2番 バーミンガム市交響楽団
ジャネット・ベイカー(Ms)、アーリーン・オジェー(S)

1986年 交響曲第6番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン初登場、自主製作盤

1989年 交響曲第6番 バーミンガム市交響楽団

1991年 交響曲第1番 バーミンガム市交響楽団
花の章付き

1991年 交響曲第7番 バーミンガム市交響楽団

1993年 交響曲第9番 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1995年 大地の歌 バーミンガム市交響楽団
トーマス・ハンプソン(Br)、ペーター・ザイフェルト(T)

1995年 交響曲第7番 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Mahler Feest 1995、自主製作盤

1997年 交響曲第3番 バーミンガム市交響楽団
ビルギット・レンメルト(CA)

1997年 子供の不思議な角笛~8つの歌曲 バーミンガム市交響楽団
キーンリイサイド

1997年 交響曲第4番 バーミンガム市交響楽団
アマンダ・ルークロフト(S)

1999年 交響曲第10番(クック版) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2002年 交響曲第5番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(DVD,BDあり)

2004年 交響曲第8番 バーミンガム市交響楽団
クリスティーヌ・ブリューワー(S1: 罪深き女 マグダラのマリア)
ソイレ・イソコスキ(S2: 贖罪の女のひとり グレートヒェン)
ユリアーネ・バンゼ(S3: 栄光の聖母)
ビルギット・レンメルト(Ms1: サマリアの女)
ジェーン・ヘンシェル(Ms2: エジプトのマリア)
ジョン・ヴィラーズ(T: マリア崇拝の博士)
デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(Br: 法悦の教父)
ジョン・リライヤ(B: 瞑想の教父)

2007年 交響曲第9番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2010年 交響曲第2番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ケイト・ロイヤル(S)、マグダレーナ・コジェナー(Ms)

2010年 交響曲第1番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
シンガポールライブ(DVD,BDのみ)

2018年 大地の歌 バイエルン放送交響楽団
マグダレーナ・コジェナー(Ms)、スチュアート・スケルトン(T)
(ビデオあり)

2018年  マーラー:交響曲第6番イ短調 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルンフィル最後の定期演奏会 (ビデオあり)

CDだけだと、ベルリンフィルとのマーラーは、2、5、6、9、10番。正規発売の1番映像を加えても、3、4、7、8番が足りません。

ラトルはビデオが普及してきてた世代ですから、実は、映像も意外とネット上に転がっていて、不足分はすべてベルリンフィルとの演奏が見つかります。デジタル・コンサート・ホールの賜物という感じ。以下配信のみのもの。

1998年 交響曲第4番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 クリスチーネ・シェーファー(S)
2011年 交響曲第8番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2011年 交響曲第3番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ナタリー・シュトゥッツマン(A)
2016年 交響曲第7番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
BBC Promsでのライブ

バーミンガムとのマーラーも2番と4番を見つけましたが、ここで意外な嬉しい驚きがありました。何と2番はソロイストにアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが登場している1998年のもの。オッターのマーラーの足りないところを埋めてくれます。

いずれにしても、まだまだ今後の活躍が期待されるので、続々と出てくるとは思いますので、ラトルのマーラーは期待していたいと思います。