2019年12月25日水曜日

Dietrich Fischer-Dieskau & Wilhelm Furtwangler / Mahler Lieder eines fahrenden Gesellen (1952)

フルトヴェングラーほど高名な指揮者でも、マーラーの録音は、正規にはほぼこれだけというのが実に残念な話。若きフィッシャーディスカウとのセッション録音で、オーケストラはフィルハーモニア管弦楽団。

ユダヤ人であるフルトヴェングラーは、マーラーを嫌っていたわけではなく、ナチス政権による反ユダヤ政策により演奏の場を失ったことが一番大きい理由のようです。

ナチスに追われるまでは、実際には、いくつかの交響曲は実演した記録が残っているようです。戦争の影響を強く受けたにもかかわらず、今日、巨匠としての存在感が揺るぐことがないのは凄いことなのかもしれません。

この録音で、あらためてマーラーを再認識したというような発言もあったようですが、すでに長大な交響曲に取り組むには、残されていた時間(1954年没)はあまりにも少なかったのかもしれません。

27才のフィッシャーディスカウの伸びやかな歌声は、ほれぼれとします。モノラル録音ですが音質はベストと言ってよく、いまだにこの曲の録音として最高傑作と言われているのも納得できます。