実はこのDVDは、前に紹介した1995年のアムステルダムで行われた「Mahler Feest 1995」の関連映像です。
このフェスティバルのために集まった、クラウディオ・アバド、ベナルト・ハイティンク、リッカルド・シャイー、リッカルド・ムティ、サイモン・ラトルの5人の指揮者へのインタビューと、コンセルトヘボウ、ベルリンフィル、ウィーンフィルの3つのオケとのリハーサル映像を中心に構成されています。
このドキュメンタリーは、マーラー財団のアーカイブとしてネット上に公開されていて、簡単に見ることができるのですが、如何せん日本語字幕が無いのが辛い所。大変興味深いのですが、内容は半分も理解できませんでした。
そしたら、Amazonを探っていたら、ちゃんと日本語字幕付きでDVD化されていました。幸い、リーズナブルな価格の中古を手に入れることができて早速見てみました。
実に面白い。それぞれの指揮者がマーラーその人、そして彼の音楽のどういうところに注目しているのか率直に語っている。そして、リハーサルで音楽を組み立てていく過程の一端が垣間見えるのが貴重です。
明らかに、最低でも4台くらいのカメラを同時に回している。指揮者が主役なので、オケの面々はあまり映っていませんが、若き日の見た顔がときどき出てきたりして嬉しくなります。この映像があるなら、本番の映像も残っていないのか期待してしまいます。
このDVDには、もう一本ドキュメンタリーが収録されています。それは、「Ich bin der Welt abhanden gekommen (私はこの世に忘れられ)」というタイトルで、もちろんリュッケルト歌曲集の白眉ともいえる曲名から取られています。
こちらの主役はリッカルド・シャイー。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と交響曲第9番を作り上げていく過程のドキュメント。もう一人の主役が、マーラー研究の第一人者アンリ=ルイ・ド・ラ・グランジュで、いろいろ語っています。Mahler Feestの時のトーマス・ハンブソンの歌唱もおまけで含まれているのも楽しい。
視聴する上で、いろいろ難しさを感じる第9番ですが、第1楽章から順を追って中身が解剖されていくようで、少しだけ理解が深まった気になれます。