2019年12月4日水曜日

C.Ludwig, W.Berry, L.Bernstein / Mahler Des Knaben Wunderhorn (1968)

バーンスタインの「少年の魔法の角笛」は、一般にCDとして発売されているものはDG全集に含まれる1986年録音のルチア・ポップ、アンドレアス・シュミットを起用してコンセルトヘボウ管弦楽団の演奏があります(12曲+「原光」)。

ビデオでは1984年に、ルチア・ポップ、ウォルトン・グローンロース、イスラエルフィルで全12曲が収録されています。いずれも、さすがのバーンスタインも控えめな指揮ぶりのせいか、あるいは歌手の問題なのか、あまり印象に残らない普通の演奏という感じ。

バーンスタインには、CBS交響曲全集の時期(1967~1969年)に作られた、もう一つの盤があります。オーケストラは当時の手兵であるニューヨークフィル、歌手は当時は夫婦だったクリスタ・ルードヴィヒとヴァルター・ベリー。

こちらも正直いまいちなんですが、そもそもバーンスタインは歌曲もので自分が主役でないと演奏に乗り切れていない感じ。ところが、この盤にはスペシャルなサプライズ特典があって、同じメンバーでピアノ伴奏盤が存在します。

オケ版製作途中の1968年に、バーンスタインがキャンセルされた演奏会の穴を埋めるために急遽二人の歌手を呼び寄せて行われたライブです。現在のCDにはオケ版とともに、バーンスタイン自らのピアノ伴奏によるものが収録されています。

バーンスタインは「ラプソディ・イン・ブルー」でもピアノ演奏を披露していますが、本職ではないので歌手の邪魔をする派手なことはしない。でも、伴奏者単独で主役の片割れとしての存在感があったりして、それなりにのりのりで演奏していたんじゃないでしょうか。

歌手もオーケストラの音量に負けないように力を入れる必要が無いので、自分のペースで歌い上げることができているようです。

「少年の魔法の角笛」歌曲集としては、バーンスタインものはベストには入りにくい感じですが、バーンスタインのピアノによって曲の骨格が明瞭になり、二人の歌手もより気合が入った1968年盤は異色の存在として注目されるものと思います。