は、は、早い。早すぎる・・・・
という演奏が、ヘルマン・シェルヘンの第6番。
マーラーの交響曲中で、第6番の低音弦楽器がリズムを刻む出だしは、ダースべーダーの登場のようなんですが、これじゃベイダー卿が猛ダッシュで目前を通過するかの如しです。
1960年のライブ録音で、一般のマーラー受容以前の演奏ですから、まだ誰もマーラーなんて何ぞやという時代ですから、許されたのかもしれません。
何しろ全4楽章で、14分3秒、12分34秒、6分26秒、20分40秒。全部で53分43秒というのは、もうほとんど無茶苦茶といってもいい。楽譜を見る能力はないので自分では確認できませんけど、早いだけでなくずいぶんと省略しまくっているらしい。
CDなら余裕ですが、昔のLPレコードは、片面20分、両面で40分が標準でした。かなりつめて入れると、最大30分×2の60分が限界。まさにそれに合わせたような、片面26分ずつという長さです。
ネーメ・ヤルヴィの早い6番を上回り、ここまで来るとオケがまったく付いて来れていない。ライプツィヒ放送交響楽団というオーケストラですが、音質の悪さも相まって音が団子になり、ミストーン連発。指揮者は全く気にせず爆進というもの。
これを良しとすることはとてもできませんが、ほぼオケ崩壊状態を最後まで押し通すパワーみたいなものは認めないわけにはいかない。
シェルヘンさんは第5番でも省略・爆演しているんですが、セッション録音だといたって普通らしい。同じオケによる第3番は普通に・・・というか、普通以上の115分(たっぷりLP2枚分)ですから、訳が分からない。
オーケストラの指揮についての教科書を書いているような人なんですけどね。