またもや、マニアックなマーラーを見つけてしまいました。
マーラー初心者なんだから、定番をまずきちんと押さえておけと怒られるとは思うんですけど、逆に初心者だから定番を語るのには早すぎるかなと・・・
そんなわけで、ちよっとお付き合い願いますのは、バーンスタインです。バーンスタインは定番だろと突っ込まれそうですが、正規に発売されたもので完全に陰に隠れている演奏がさらにありました。
1967年7月、イスラエルのスコープス山と呼ばれる丘陵、旧ヘブライ大学の円形劇場での野外ライブです。これは、東西エルサレムの20年数年ぶりの統一を記念して行われたコンサート。
1947年に国際連合の決議によって、パレスチナの土地を西側のユダヤ国家と東側のアラブ国家で分割、エルサレムは国連の永久信託統治とし、イスラエルが独立宣言をしました。しかし、実効支配をめぐって中東戦争が勃発。何度かの戦争の末、1967年にイスラエルが東エルサレムを実効支配下に収めたというもの。実際のところ、現在まで継続して大きな問題として争いが絶えていません。
とりあえず、このコンサートにはイスラエル・フィルとコル・イスラエル響が合同で参加し、指揮にユダヤ人バーンスタインを招聘しました。ソロイストには、やはりユダヤ人のアイザック・スターンが加わり、イスラエル国家「HATIKVAH」の後、ユダヤ系のため多くの苦渋をなめたメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲を演奏しました。
そして、メインはやはりユダヤ人であったマーラー。交響曲第2番「復活」の第5楽章のみでしたが、合唱隊も加わり、高らかに「復活」をヘブライ語で謳いあげるというもの。
いきなり盛り上がる最終楽章ですから、唐突感がありますが、主観的演奏の大家バーンスタインはこういう記念的な演奏はお手の物。なんとなく音程とか変な所もありますが、それなりに気分を上げて大円団を作り上げています。
当然、普通にマーラーを鑑賞するための録音というよりは、この一時の喜びに溢れた記念公演に思いを馳せるための記録として意義があると思います。
さすがに名手スターンのバイオリンは素晴らしい。全曲演奏なので、むしろこっちメインでもいいかもしれませんね。