シャイーというと、顔がでかくて油ギッシュな指揮者という印象を持っていましが、これは過去のCDジャケットに顔のアップの写真がよく使われていたからかもしれません。
シャイー(Riccardo Chailly)は、1955年生まれで、ラトルの2才年上。実は、シャイーという名前を認識していない頃に、ショスタコーヴィチの「Jazz Album」と題されたCDをタイトルだけで買っていて、これにはまだ知らなかったブラウティハムも参加していました。
そして、一番よく聴いたのはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番で、ピアノはアルゲリッチ。古いビデオ映像がネットにあって、アルゲリッチ目当てで何度も視聴しています。ですから、だんだんシャイーの名前を見聞きするようになると、ロシア系の音楽が得意な人なんだと漠然と思っていました。
実際にはイタリア人ですが、ドイツ語圏での活躍が目覚ましく、今では現役の中ではトップクラスの指揮者の一人で、アムステルダム・コンセルヘボウ(RCO)、ゲヴァントハウス・ライプツィヒ(LGO)の音楽監督を歴任しています。
マーラーを聴いていくと、シャイーの存在というのは大きくて、コンセルトヘボウとは1989~2004年にかけて交響曲全集を完成させています(第10番クック版だけは1988年のベルリン放送交響楽団とのもの)。1995年のMahler Feestでもベテランに混ざって大活躍です。
さらにゲヴァントハウスとは、マーラー没後100年を記念して2011年からビデオによる全集を目指していて、実はあと第3番、第10番を残すだけになっているんですが、どうなるんでしょうか。
シャイーのマーラーは、アバド系で中庸で聴きやすい。これは少しでも楽譜を忠実に作曲者の考えを演奏に具体化しようとするものですが、その結果として一つ一つの楽器の音色をはっきりさせメリハリのある演奏を聴かせてくれる印象です。
さすがに、現役のベテラン指揮者で録音・録画もかなりの数があるので、ラトル同様、すべてのディコグラフィを把握することは大変に難しい。
渉猟しえた正規盤は以下の通り。
1986年 交響曲第10番(クック第3稿第1版) ベルリン放送交響楽団
1988年 リュッケルト歌曲集、少年の魔法の角笛(抜粋)、さすらう若人の歌、亡き子をしのぶ歌 ドイツ・ベルリン交響楽団、ブリギッテ・ファスベンダー(Ms)
1989年 交響曲第6番 RCO
1994年 交響曲第7番 RCO
1995年 交響曲第1番 RCO Mahler Feest 1995
1995年 交響曲第8番 RCO Mahler Feest 1995
1995年 さすらう若人の歌、少年の魔法の角笛(抜粋) RCO、ハカン・ハーゲゴール(Br) Mahler Feest 1995
1995年 嘆きの歌 RCO Mahler Feest 1995
1995年 交響曲第1番 RCO
1997年 交響曲第5番 RCO1999年 交響曲第4番 RCO、バーバラ・ボニー(S)
2000年 交響曲第8番 RCO、ジェーン・イーグレン(SI:罪深い女)、アン・シュヴァネヴィィルムス(SⅡ:贖罪の女)、ルート・ツィーザク(SⅢ:栄光の聖母)、サラ・フルゴーニ(AⅠ:サマリアの女)、アンナ・ラーソン(AⅡ:エジプトのマリア)、ベン・ヘプナー(T:マリアをたたえる博士)、ペーター・マッテイ(Br:法悦の神父)、ヤン=ヘンドリク・ローテリング(B:瞑想の神父)
2000年 少年の魔法の角笛(全曲) RCO、バーバラ・ボニー(S)、マチアス・ゲルネ(Br)、サラ・フルゴーニ(Ms)、ゲースタ・ヴィンベルイ(T)
2001年 交響曲第2番+葬礼 RCO、メラニー・ディーナー(S)、ペトラ・ラング(M)
2003年 交響曲第3番+バッハ組曲(マーラー編曲版) RCO、ペトラ・ラング(M)
2004年 交響曲第9番 RCO
2006年 シューマン交響曲全集(マーラー編曲版) LGO
以下はDVD、BDのみの発売。
2011年 交響曲第2番 LGO、クリスティアーネ・エルツェ(S)、サラ・コノリー(Ms)
2011年 交響曲第8番 LGO、エリカ・ズンネガルド(S1 罪深き女)、リカルダ・メルベート(S2 贖罪の女)、クリスティアーネ・エルツェ(S3 栄光の聖母)、リオバ・ブラウン(A1 サマリアの女)、ゲルヒルト・ロンベルガー(A2 エジプトのマリア)、スティーヴン・グールド(T マリア崇拝の博士)、ディートリヒ・ヘンシェル(Br 法悦の神父)、ゲオルク・ツェッペンフェルト(B 瞑想の神父)
2012年 交響曲第4番 LGO、クリスティーナ・ラントシャマー(S)
2012年 交響曲第6番 LGO
2013年 交響曲第5番 LGO
2013年 交響曲第9番 LGO
2014年 交響曲第7番 LGO
2015年 交響曲第1番 LGO
2016年 交響曲第8番 LFO、リカルダ・メルベート(S1 罪深き女)、ユリアーネ・バンセ(S2 贖罪の女)、アンナ・ルチア・リヒター(S3 栄光の聖母)、サラ・ミンガルド(Ms サマリアの女)、藤村実穂子(A エジプトのマリア)、アンドレアス・シャーガー(T マリア崇拝の博士)、ペーター・マッティ(Br 法悦の神父)、サミュエル・ユン(B 瞑想の神父)
ビデオ全集は未完ですし、年齢的にはさらに一周できそうですから、是非今後の活躍にも期待したいものです。