夏休みも終わって、今日から通常の診療を再開しました。これが、日常というものですかね。それにしても暑い。午前中は、患者さんも大勢来院されて、ほぼNON-STOP状態でしたが、午後は5時くらいまで閑で眠気を誘いました。そりゃ、そうでしょう。この暑さでは、昼間に街を歩く気にはなりません。
うちのクリニックビルでは、夏休みが終了して今日から診療を再開したのは、うち以外では内科と耳鼻科。泌尿器科と眼科と小児科は木曜日まで休みです。いいなぁ、丸々1週間休むなんて。でも、医者の仕事というのは、休めば休むほどたまっていき、休み明けに自分の首を〆ることになるのです。
もう20年近く前の話ですが、フランスはパリでの国際学会に行った時のこと。当時、大学病院のベッド管理の係りをしていたのですが、毎日いろいろな先生から出てくる入院予約をチェックして、状態によって入院ベッドを決めていく仕事ですから、ほぼ毎日の調整が必要でした。
国際学会に行くときは、学会1週間+遊び1週間というのが普通だったのですが、仕事の関係で2週間も大学を明けるわけにはいきません。まして、末期の悪性腫瘍の患者さんも抱えていたので、自分は学会だけで帰る事にしていました。
一緒に行ったほかの先生はフランスの後にスイスとイギリスに寄り道をしたのですが、学会が終わると自分は一人でドゴール空港に向かったのです。フランス人は母国語に誇りを持っているのか、英語はほとんど通用しません。もちろん、英語すらまともに話せるわけではありませんけどね。
何とか駅で切符を買って、空港に到着できたときはほっとしました。行きは成田からパリへの直行便だったのですが、帰りはモスクワ経由。真夜中のモスクワ空港に降り立って、飛行機から下ろされます。と、言っても空港から外に出るわけにはいきません。銃を肩にかけた軍人らしき人が警戒している中で、空港内のロビーで日本行きの出発まで待たされました。
というわけで、ほんの2時間弱ではありますが、当時のソビエト連邦に足を踏み入れた経験ができたことは、ちょっと面白い経験ではありました。でも、日本に戻ってからは、1週間の間にたまっていた入院予約と退院した患者さんをチェック、救急病棟の患者さんを引き取ったりと、怒涛の仕事が待っていました。
また、自分の担当していた入院患者さんに問題がなかったも重要です。あー、やっぱり、毎日仕事をこなしているほうがなんぼ楽なことかと、改めて思うわけです。要するに「日常」は一見退屈な感じがしますが、その日常をしっかりこなすことは意外と大変ですけど、基本として最も大切だということです。
日常をきちんと積み重ねていくことができて、初めて「非日常」があるんでしょうね。いまさら、そんなこと言っているのかとお叱りをうけそうですが、明日もしっかり日常をこなしたいものだと思います。