おそらく80~90年代の日本のフュージョン音楽シーンの双璧といえるバンドの競演。
カシオペアは野呂のトリッキーなギター演奏を中心に、向谷のキーボードが隙間を埋め尽くしていく。どちらかというと、メロディよりものりを重視した、テクニックでうならせるバンド。
一方、スクエアは、メインは安藤のギター。そして伊東のリードがからみつき、和泉のキーボードが底辺を支えるのが基本。メロディを重視し、歌詞さえあればいつでもボーカル曲になりそうな親しみ安さが売り。
一見、まったく違う方向性が見えてくる2つのバンドには、それぞれの味があって、少なくとも一緒にステージに立つと言う事は想像だにしませんでした。
ところが、2003年にこの2つのバンドが一緒に演奏するという、もう軌跡のようなライブがあったのです。DVDもあるので、映像として楽しむこともできますが、やはり全員が音楽的なスペシャリスト集団ですから、じっくり音楽を聴き込むなら、むしろ映像は無いほうがいいかもしれません。
それぞれの単独パートもありますが、もちろん一番の聴き物はメンバーが入り混じってのそれぞれのバンドの有名曲の演奏。カシオペアはカシオペアらしく、スクエアはスクエアらしく、そこへ普通なら聞こえてこないような音が入り込んでくるあたりは新鮮です。
野呂と安藤がアコギだけで演奏するカピオラニの通り雨。慣れ親しんだ曲なのに、こんな新しい感覚で聴けるのは楽しいものです。
もちろん、こんな豪華な顔合わせは一種のお祭りみたいなものですから、毎回こうなると何が何だかわからなくなるでしょう。一回限りだからこそ、とにかく理屈抜きで楽しめるといえます。
どちらのバンドのファンでも、是非一度は聴いてみてもらいたい。とにかく楽しいことうけあいの、伝説のライブの記録がここにあります。