このところ、朝の冷え込みは強くなって秋真っ只中という感じになってきました。周りにも、かぜをひく人が増えたように思います。
さて、外来診療をしているといろいろな患者さんがお出でになるわけですが、その場ですぐ症状の原因を説明できる場合はいいのですが、なかにはなんだかよくわからないということも少なくない。
なんだかわからない場合は、医者側の自分が原因である時と、患者さん側が原因のことがあります。
医者が原因と言うのは、まぁ当然実力不足ということになるんでしょうが、さすがにメディアでよく言われる「神の手」なんてものは現実には存在しないわけで、どうしてもわからないものというのはある・・・と、開き直ってしまえばそれまでですけど。
医者になって30年くらいたちますが、さすがにまったく見たことが無いような患者さんに遭遇することはほとんどありません。でも、ヒトの体は無限の不思議世界みたいなもので、いくら経験してもしきれないくらいの病気があるものです。
なんでも知ってますとか、わかりますみたいなことはありえない。そういう意味で、一生勉強の世界ということ。大事なのは、知らないことを知らない、わからないことをわからないと言えること。
患者さんが原因の場合は、けっこうビミョーなことになってくる。実際、どう見ても異常が無い場合というのが困る。患者さんがウソをついているというのは、医療として基本的にありえない。つまり、医療は性善説に基づくものです。
となると、単なる勘違いとか、気にしすぎとか、思い込みみたいなケースが確かに存在するわけです。ただし、それを指摘すると、たいていの場合は患者さんと医者の信頼関係は作れない。
精神科で相談しましょうというようなことは、基本的にNGワード。症状の原因がわからないときに、それを言ったらおしまいです。ですから、そういう時にも、正直に「わかりません」ということを伝えるが大事と思います。
もちろん、できるだけそういう敗北宣言はしたくないと思ってますけどね。