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2013年2月1日金曜日

荒野の用心棒 (1964)

もう言わずと知れた映画の一つ。例えば、いわゆる「マカロニ・ウェスタン」の原点であり、クリント・イーストウッドを一躍スターにした出世作。さらに、黒澤明監督作品の「用心棒」を勝手に西部劇にリメイクしたことでも知られています。

黒澤の「用心棒」とは、ストーリーや設定、登場人物のキャラクターなど、ほぼまったくと言っていいほど同じ作り。三船敏郎の桑畑三十郎がクリント・イーストウッドの「名無し」になって、まぁ、よくぞここまでそっくり作り上げたことか。

・・・なんですが、にもかかわらず、これがいい。イーストウッドは当時、アメリカ本国で今ひとつぱっとしない。イタリアに渡って、西部劇もどきを作るなんてのは、実際のところけっこうプライドを傷つけられたんじゃないでしょうか。

宍戸錠とかが、北海道の牧場でガンマンになっているのは訳が違います。もともとテレビ版西部劇の名作「ローハイド」で名前を売った経歴があるんですから、こんなまがいものに出るんじゃ、さぞかし面白くない。

そんな理由かどうかはわかりませんが、オリジナルの三船よりも、全編とにかく苦虫噛みつぶしたみたいな顔をして、より凄腕の流れ者という雰囲気が完成されている。

映画としても、ジョン・ウェインの正統派西部劇と比べて、まさに荒野の雰囲気が強く、ガンファイトよりも人間としてのアクションが派手に展開するところがいいんじゃないかと。

もう、ほとんど半世紀前のフィルムですけど、黒澤作品と似て非なる独特のマカロニ・ウェスタンの世界は棄てた物ではありません。それに比べて、「椿三十郎」の森田芳光監督・織田裕二主演のリメイクは一体何なのでしょうか。まったく同じ台本で、まったく同じセリフ。反省してもらいたもんです。