いざ大学に入ってみると、それまで持っていた大学生のイメージとはかなり違っていたんです。大学の場所と医学部の性格上からくることなんでしょうけど、なにしろ一番感じたのはヒマがないこと。
いや、他の学部の学生がヒマ人だと言いたい訳ではありませんが、大学生というと昼間でも繁華街にいけたりして、そもそも真昼間に新宿アルタにいられるってどういう人種かしらと思ってしまう。それに、大学生=バイトみたいなところもあるしね。
自分が通ったのは神奈川県の西側、湘南海岸よりも丹沢、新宿よりも小田原というなんとも若者的に華やいだ場所からはほど遠い。そもそも、都内から通学するので往復の通学時間だけでも4時間弱はかかります。また、ちょっと遊ぼうと考えても、なかなか簡単に出かけられるものではありません。
そもそも、自由選択科目がほとんど無い。ほぼすべてが必修科目で、基礎科目のごく一部に選択が許されましたが、それも選択必修で、1週間みっちり埋まってしまう。さぼると当然単位にひびくわけですし、自由に出来る時間というものがありませんでした。
昔は出欠の確認というのは、教師が出席簿で名前を読んで返事をするというのが普通でした。ですから、代わりに返事をする「代返」というのがありました。先生も知っていてもスルーするようなほのぼのとした時代の話です。
自分の大学では、出席カードというのがあって、細長い紙が配られ、そこに学生番号と氏名を書いて箱にいれるという方式。誰かに頼んで、何とかカードを余分にもらって出しておいてもらうということが可能。
とは言っても、協力者に迷惑をかける可能性があるのと、まじめな学務課のお兄さんがカードを配るときは余分にゲットするのは至難の業になってしまい、確実性はそれほど高くありませんでした。
結局、朝6時に家を出て、始発の急行にのって8時前に到着。テニス部の朝練にちょい遅れで参加。9時から5時までしっかり授業。そのあと、暗くなるまで午後練。7時から8時頃に仲間と夕食をとって、家に帰ると10時過ぎ。あとは寝るだけ。
こんな生活が長く続いて、何週間も親の顔を見なかったこともありました。そんな生活を後悔しているかというと、実はそうでもない。当時も、そして今でも、あの頃は毎日が充実していて、十分に「青春の1ページ」だたっと思えるわけです。