監督がジョン・スタージェス、音楽がエルマー・バンスタイン、そして主演がスティーブ・マックイーンとくると、どうしてももう一本忘れてはいけない映画がありました。
第2次世界大戦中にベルリン郊外の捕虜収容施設から、連合軍兵士が大勢脱走した実際にあった話をもとにした映画。事実は76名の脱走者のうち、逃げ延びて生存が確認されたのは3名と言われています。
マックイーンは主演俳優ですが、この映画では脱走する一人一人がドラマであって、オールスターキャストで登場人物のすべてが主演のようなももの。
マックイーンの他には、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ガーナー、デヴィッド・マッカラム、チャールス・ブロンソン、ドナルド・ブレザンス、ジェームス・コバーンなど、そうそうたるメンバーが揃っている。
マックイーンの役所は「独房王」と呼ばれ、前にいた収容所でも何度も脱走を試み、そのたびに独房にいれられるアメリカ人パイロット。独房ではグローブとボールを持ち込み、壁を相手にキャッチボールを続ける。初めは他の捕虜とは協力しようとせず、一人で脱走しようとしていだ、しだいに仲間意識をもちだす。
脱走後にバイクで走り回るシーンは有名で、スティーブ・マックイーンが本当にかっこよかった。ただし、最後には自由を目前にしてドイツ軍に囲まれてしまう。映画には無いが、当然そのあとは悲劇が待っていたはず。
しかし、この映画では脱走の悲惨な結果を世に示すことが目的ではなく、限りなく困難な環境の元で生死を賭けて一つのことを成し遂げる男達の記録を映像化することがテーマなのです。
ほぼ3時間の映画ですが、本当に一気に見終えることができる素晴らしい作品だと思います。登場人物が多くても、元となる実話があるために、大きな筋が通っていることが成功の理由なんでしょうね。