家庭で見れる映像ソフトは、ビデオテープからレーザーディスク、そしてDVDとなり格段の美しさとなりました。しかし、現実にここまでは、もともとの動画ファイルとしては、ほぼ同じ質のものであったわけです。
ところが、家庭のテレビそのものがハイビジョン対応となり、解像度が大幅に向上したことで、既存の映像ソフトのリマスタリングが盛んに行われるようになったのです。Blu-Rayが登場したこで、画像データを収録できる量が格段に増えたことで、その微細な映像を収録することが可能になりました。
もともと映画はアナログのフィルムに焼き付けられていたわけですから、その解像度はフィルムの劣化が無ければ、ハイビジョン以上の高解像度があるわけです。これを、今の電子技術でデジタル信号に変換すれば、大変驚くような美しさが確保できます。
例えば、黒澤明監督の代表作の一つである「羅生門」は1950年の白黒映画ですが、これをデジタル・リマスタリングしたBlu-Rayで見ると、その細かい映像表現に驚嘆します。
黒澤が墨汁を混ぜてこだわった雨もはっきり見て取ることが出来ますし、俳優のアップでは毛穴や顔のしわもわかるのです。
1982年のアメリカ映画「ブレードランナー」はカルトSF映画の傑作として、今でも絶大な人気があります。これも現在ではデジタル・リマスタリングされたものが出回っていて、DVDでの色のにじみがなくなり、細かいミニチュアがたいへんはっきりと見ることができます。
ただ、逆にはっきりしすぎて、模型がより模型らしく見える部分というのもあったりするのですが、全体的には美しい映像表現に蘇り圧倒されるのです。
最近はハイビジョンを越える4Kテレビというものが話題になっているわけで、このような旧作のリマスタリングも将来的な超高解像度にも対応できる形で行われていくこと期待したいです。もっとも、人間の視覚自体は、おそらくそれだけの高解像度をはっきりと違いとして認識するのは難しいかもしれません。
本来、アナログの人間の感覚は、欠落している部分を過去の経験や知識などで補って理解している部分があるわけで、おそらく現状のデジタル技術は人の感性を上回ることが可能なはずです。
とにかく、過去の映像データをそのままBlu-Rayにいれるようなソフトであれば、値段によってはDVDで十分です。しかし、HDリマスタリングされたものについては、DVDではなく絶対にBlu-Rayで見るべきでしょう。過去に見たことがあるものであれば、必ずびっくりするような新発見があること間違い無しです。