2014年6月18日水曜日

骨粗鬆症勉強会

サッカー・ワールド・カップは、グループ・リーグが一巡。だいたいは順当な結果だと思いますが、スペイン、ポルトガルの大敗には驚きました。強さが目立ったのは、ブラジル、オランダ、ドイツあたりでしょうか。

初戦を落としたチームは、日本を含めて次は落とせませんから、とにかくせっかく毎日眠い思いをしてみている日本のファンとしてはがんばってもらいたいところ。

昨夜は、骨粗鬆症についての講演会に出席して勉強してきました。

日頃、関節リウマチくらい21世紀に飛躍的な診療の進歩を遂げた病気はなかなかないと言っています。実際のところ、いろいろな病気の治療は、21世紀の分子生物学的な手法の導入によりずいぶんと様変わりしているのです。

骨粗鬆症についても、診断学の分野では、いろいろな骨代謝のマーカーと呼ばれるものが測定できるようになり、より客観的な評価が可能になりました。そして、治療についても守りの治療から、攻めの治療に変化したと言えます。

漫然と、効くか効かないのかわからないような薬を飲んでもらっていた時代は終わったと言う事もできるかもしれません。積極的に骨形成を促進する薬が登場したことで、骨粗鬆症も新時代を迎えているのです。

日本は超高齢化社会に突入しており、骨の脆弱化により高齢者が骨折することは、直接的な「寝たきり」の原因になります。一度骨折を起こした人は、さらに別の骨折を起こす確立を高めていることも立証されているのです。

骨粗鬆症を予防して、様々な問題への進展をブロックすることは、どんどん増え続ける医療費の抑制という面でも必要な事で、整形外科の学会で行っている「ロコモティブ症候群」と呼んでいる状態のキャンペーンも、そういう意味からも大切です。

関節リウマチの患者さんでは、高齢者でなくても、関節の障害から運動量が少なく、骨の脆弱化を来たす場合があります。さらに、治療のためにステロイド剤を使用している場合は、なおさら骨粗鬆症のリスクを高めてしまいます。

昨夜の講演でも、ステロイド性骨粗鬆症に対しての新しい治療のガイドラインの解説があり、以前と比べて、新しい薬を積極的に導入して、体系的な骨粗鬆症の対策が紹介されました。

ただし、問題は治療にかかる費用かもしれません。生物学的製剤の導入により、リウマチそのものにかかる医療費が増えている中、骨形成を促進する新薬もかなりの高額です。

医療経済学という観点からは、それらの高額な医薬品を使わないほうが、長期的には結局医療費の増大や、労働できないことによる社会的な損失が大きくなり、マイナスであると考えられます。

ところが、高額療養費制度(一定額以上の個人負担をカットする)の適応条件はどんどん厳しくなり、高額な医療費は、それぞれの個人に負担してもらうという形がますます強まっています。

こういうところでも、日本の社会保障制度の矛盾の一端が垣間見えるわけで、医者の立場からはなかなか簡単にはいかない問題だったりするのです。70歳くらいで寿命と言われていた頃の方が、そういう点では気楽だったのかもしれませんね。