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2014年6月2日月曜日

カンタータ年巻

J.S.バッハは若い頃から「系統立てられた教会音楽」の実現を目指していたわけで、それはまさに教会暦に 沿った音楽を作り出す事。ライブツィヒの聖トーマス教会のカントルに就任してからは、着々とその実現のため日々奮闘するわけです。

バッハがライプツィヒに着任したのがクリスマス前なら、まさに教会暦通りに実現したのでしょぅが、実際は春の終わり。ですから、スタートは三位一体の主日からで、ここから1年分のカンタータをまとめて「カンタータ年巻」と読んでいます。

現在残っている譜面は、最初の2年間分はほぼそろっています。3年目はだいぶ少なくなっていて、4年目、5年目になるとポツポツとしかない。

消失した譜面もかなりあるといわれていますが、さすがに毎週だけでも大変なのに、いろいろな記念日には追加の大作を用意したり、一般の結婚式など向けの世俗カンタータも作るわけですから、さすがに最大で5年でほぼストックができて安心というところでしょう。

ですから、3年目以降は、実際にも毎週作曲していたわけではなく、以前のものを使いまわすというのはごく自然の流れでしょう。確かに、バッハは最初の2年間分のものをしっかりと充実させることはやっていて、数年後にあらためて作り直したり、補充したりしています。

ライブツィヒ時代以前のものを、机の引き出しから出してきて、歌詞を変えたりしながらリニューアルさせることもしばしば。これをパロディと呼んでいるのですが、現代社会でいう、何かを笑いに変える「パロディ」とは意味が違います。

このパロディは、研究者によって詳細に分析されているので、にわかカンタータ者がここで語るのははばかられます。それでも、自分が多少聞いたことがある旋律が出てくると、何となく嬉しくなります。同じようなメロディがどこに出てくるのか思わず探してしまいますし、見つかるとどっちが先なのかなぁと調べたりするという楽しみが出てくるわけです。

教会暦に沿ってカンタータを聴くということは、年巻通りに聴いていくのが正攻法ということになりますが、作られた順番に聴いていくと最低でも5年間くらいかかってしまいます。

さすがに、そりゃ長すぎて途中で疲れてしまいます。ガーディナー先生のカンタータ巡礼は、1年間で全部演奏したもので、同じ目的のものをまとめて演奏したわけです。ですから、毎週最低2曲、場合によっては3曲程度になるわけですが、1曲が20~30分程度なので、CD1枚に収録するのにちょうどいい長さ。

それでも長すぎて、とても聴いていられないという方にお勧めなのが、鈴木雅明とBCJの全集のダイジェスト盤。教会暦に沿って、大事な記念日のためのカンタータを順番に聴いていこうというもの。

サンプラー的なものですから、価格も低めに抑えられていて、とりあえず1年間を駆け抜けるにはお手軽です。