三位一体後は無風状態と書いておいて、いきなりなんですが、今日は洗礼者ヨハネの誕生日で、キリスト教としては重要な記念日の一つになっています。
聖書の記述から、ヨハネさんはイエスより半年早く生まれたとされているので、毎年6月24日が記念日として固定されています。ヨハネさんは、イエスの遠い親戚にあたり、イエスに洗礼を与え、イエスはヨハネにならって布教活動をしたらしいです。ですから、イエスの先駆者として、重視されるというわけです。
しかし、ヨハネさんは領主の結婚に異を唱えたことから、首をはねられて処刑されるという気の毒な最後でした。このあたりの話を、題材にした有名な話がオスカー・ワイルドの「サロメ」で、R.シュトラウスがオペラ化しているので、クラシックの世界でも知られています。
自分が最も尊敬する歴史上の人物である、レオナルド・ダ・ヴィンチの最晩年の作品とされているのが、まさに洗礼者ヨハネを描いたもので、ルーブル美術館に所蔵されています。ダ・ヴィンチ自身が、最後まで手放さなかった作品の一つです。
この特別な祝日のために、バッハは毎週のものとは別に3曲のカンタータを残しています。
1723 BWV167 もろびとよ、神の愛を讃えまつれ
1724 BWV 7 われらの主キリスト、ヨルダンの川に来たり
1738 BWV 30 喜べ、贖われし群よ
バッハもさすがに忙しくて、めまいを感じていたんじゃないでしょぅか。毎週新曲を用意していた1723、1724年のものは構成も簡単で、伴奏も比較的簡素。後年、もっとしっかりとしたものを残さなきゃと思ったのか、1738年のものは30分以上かかる大作です。
BWV30は、カンタータとしては最も典型的な構成で、合唱からはじまり合唱で終わる。ど真ん中にコラール。その前後はレシタティーボとアリアが複数はさまるというもの。バッハはこういう、幾何的に整合性のある構造が好きだったらしい。