装具って、いまいちマイナーな言葉で、あまり患者さんにも知られていないような・・・ですが、けっこう使いかってが良く、ちゃんと考えて使用すれば、かなりの効果が出るものです。
装具というとわかりにくいかもしれませんが、サポーター(サッカーじゃない)と言うとピンっと来ると思います。つまり、体の外から装着して、関節の動きを支えて、障害がある部位を保護するもの。
関節リウマチ患者さんは、関節の機能障害が日常生活で問題になります。もちろん、大きな変形がある場合には手術による機能回復を考慮しないといけないことがあるのですが、まだ手術をするほどでもないケースとか、患者さんが手術を望まないような場合には、装具の出番。
生物学的製剤という新しい薬の治療が中心になってきて、手術をしなければいけないほど変形を起こさない患者さんが増えてきたので、むしろ装具をうまく使えば、生活をずいぶんと楽に出来るということも少なくない。
手首や足首は、もともと大きな動きは必要としない動作が多い。こういう場所は、外からの固定をすれば、痛みを軽減して力も入りやすくなるので、簡単な着脱可能な装具はけっこう利用価値が高い。
肘と膝は、動いてなんぼの関節です。ですから、単純に固定してしまう装具をつけても、痛みは減っても生活上はむしろ不便になってしまいます。そこで、不安定で不必要な動きができないように、内外に支柱が入っているタイプのものがお勧め。屈伸という一方向の動きだけができるようにするわけです。
肩と股は、なかなか難しい。どうしても、体幹に支えることになってしまうので、かなりおおがかりで邪魔臭いものになってしまうのです。肩の場合は、単純に三角巾(あるいは、ちょっとおしゃれなスリング)を使用して、腕を吊っておくくらいがお勧め。
足の変形は、足の裏に装着する足底板(そくていばん)をきちんと用意すると効果的です。関節の緩みのために、偏平足や外反母趾を呈することが多く、通常は靴の中に入れて使う中敷(インソール)として用意します。
ただし、慣れていない装具業者が作ると、一般的な中敷を作ってしまい、リウマチの患者さんでは逆効果になることもあるので、注意が必要です。
手の指の変形には、あまりいいものはありません。使うと邪魔なだけで、実際に生活の中ではずさないといけないことが多い。そこで、お勧めするのが紙の絆創膏。普通に薬局に売っている、一番安い普通のものがいい。痛みのある関節や、変形している関節に二重になるくらいに巻きます。
そのまま濡れてもいいし、どうしても動かしたければ曲げることができます。ただし、きつく巻くと血行を悪くするので、あくまでたるんでもいいから、貼るような感覚でそっと巻くことが重要です。
リウマチ医は、どうしても薬物治療に重点を置き勝ちですが、こういう物理的な治療方法というのも、時と場合によっては大変効果的なので、忘れてはいけないものです。