聖霊降臨祭はペンテコステ(pentecost)、昨日の聖霊降臨節第一日はキリスト復活から50日目で、使徒らに聖霊が降臨したことを祝い、キリスト復活の「奇跡の逸話」の集大成をするという意味があります。
第一日は日曜日で、Whit Sunday。今日はWhit Monday、そして明日はWhit Tuesdayという言い方もあります。Whitはwhite(白)のことで、ペンテコステに洗礼を受けることが好まれ、受ける者が白衣をきていたことからきているようです。
それにしても、キリスト教の1年間の中では、最も大事なのはクリスマスなんでしょうけど、四旬節の謹慎が明けて、受難週から聖霊降臨祭に至る約2ヶ月のめまぐるしいイベント数々はすごいものがあります。
たまたま、この時期に突入する前に、軽い気持ちで教会暦に沿ってカンタータを聴いてみようと思い立ちました。1ヶ月くらいの知識の整理の準備期間があったので、なんとかついて行っていますが、スタートがあとちょっと遅かったら、わけがわからなくなるのは必至。
聖霊降臨祭が終わると、クリスマスまでは大きなイベントはほとんどない、波風の立たない半年間があります。ここから始めると、だいぶ余裕があったんですよね。
実は、バッハ自身がライプツィヒに着任して、聖トーマス教会のトーマスカントル(音楽面の責任者)に就任したのが5月のこと。カンタータを毎週作曲することが始まるのが、聖霊降臨祭の後からなんです。
つまり、カンタータ年巻の第一年は、1723年の三位一体後第一主日からスタートするんです。もしもバッハの着任が2ヶ月早かったら、目まぐるしくてとても新曲を用意する暇なんてないでしょう。このような形で、数々の名曲が残されることはなかったかもしれません。
聖霊降臨祭の3日間にそれぞれ3前後、全部で12曲あるので、カンタータだけ聴くにしてもかなり気合がいります。聖霊降臨節第二日のために、バッハが用意したカンタータは3曲あります。
BWV 173 高く挙げられし血肉よ
BWV 68 げに神はかくまで世を愛して
BWV 174 われ いと高き者を心を尽して愛しまつる
第一日は華やかな曲調のものが多かったのですが、第二日は比較的落ち着いた感じ。明日もあるので、今日はちょっと気持ちを抑えておこうかというところでしょうか。
ただし、BWV174だけは、ちよっと趣が違う。冒頭器楽合奏のシンフォニアから始まりますが、おっと聴いたことがメロディがいきなり出てきました。ブランデンブルグ協奏曲第3番です。第一楽章が原曲で、元々はストリングスだけの演奏のところを金管を加えてパワーアップ。これはなかなか面白い。
なるほど、こういういわゆるパロディと呼ばれる、曲の行ったり来たりが、カンタータの魅力の一つであることがよくわかります。