昨日は、午前中にちゃっちゃっとすることを済まして、午後から遊ぶといういう人が多かったのか、クリニックは午前に患者さんが集中しました。
比較的テンポは良くて、30分以上お待たせすることは無かったと思いますが、混んでいる待合室というのは相変わらずすごいプレッシャーでした。
昨日から休みという人もいますけど、少なくとも自分も含めて今日から4連休というのは全国的に一番多いパターン。道路も昨日から今日までは、下りの大渋滞が予想されています。
さて、この貴重な4日間をどう使うか? というのは人によってさまざま。近場で遊ぶ、遠くに旅行する、家の掃除、いっそのことぼけっと寝て過ごすなど、まぁ好きにすればいいわけですが・・・
まとまった休日は、静かに読書に耽りたいという方もいると思います。そんな方に、ちょっと気になる話。
日本人で、世界的にも注目されている現代作家というと、ノーベル文学賞の季節に毎回搭乗する名前が村上春樹氏。
9月10日に新刊のエッセイ集が発売になりました。タイトルは、「職業としての小説家」で、自伝的エッセイなどが含まれ、比較的メディアへの露出が少ない村上氏ですから、ファンならずとも興味がわく内容のようです。
出版元では初版10万部を用意したとのことですが、このうち90%を紀伊国屋書店が買い占めたということ。アマゾンなどのネット通販に対抗するための措置らしい。
書籍には、いろいろと批判が多い再販制度というものが存在します。著作物の再販制度(再販売価格維持制度)とは、出版社が書籍・雑誌の定価を決定し、小売書店等で定価販売ができる制度で、独占禁止法で認められているもの。
これによって、原則として書籍の価格を割り引いたりすることは禁止され、書店は大手でも街の小さい店でも同じ価格で売ることが決められています。そのかわり、売れ残りについては出版社に戻すことができるため、書店の経営を保証する役目を果たしています。
そのためには途中に取次業者が入り、原則として書籍は取次を通さないと商品として手に入れることができない仕組みになっています。
書店は手厚く守られている一方で、結局売れそうな本ばかりをそろえることになりますから、どこにでもある本は簡単に手に入りますが、どこにも無い本はどこにも売っていないという状況になり、自然とネットの方が見つけられるというのも当たり前。
大手書店でも、昨今は苦戦を強いられ、比較的特殊な書籍も揃えて特色をだしていたLIBRO池袋本店が撤退したというのも最近の話題でした。蔦屋書店も、最近は家電を扱ったり、いろいろな工夫をして頑張っています。
紀伊国屋書店は、今回の新刊を直接出版元から買い取ることで、返品は不可能になりますが、新刊の大部分をネットに取られないですむという「画期的」な戦略にうって出たわけですが、これがはたして良いのか悪いのか。
書店を守るということが消費者にとって利益になるのかという点では、多少疑問があるかもしれません。いずれにしても、活字離れが進む現代社会では、本という商品そのものの需要が減少しているわけで、特殊な本も見つけやすいネット販売が本の販売を下支えしている面もあるはずです。
紀伊国屋書店が、今後も村上氏のような「売れる」作家以外の書籍に対してもこういう戦略をとるならば、その本気度も評価されるかもしれませんが、売れそうな本だけで行うなら消費者は本を手に入れにくくなるだけで、かえって活字離れに手を貸す結果になるかもしれません。
いずれにしても、出版業界が古くからのしきたりにこだわり、書店での実物販売にしがみついているようでは根本的な解決は無いように思います。ダウンロード販売に着実にシフトしていってる音楽業界とは、ずいぶんと違う方向性のように思います。