2015年11月24日火曜日

初心者は修正もありかな

基本的にプロの写真家の方々は、カメラの中ですべての撮影作業が終了することに誇りを持っているんだと思います。

Photoshopのような有名な画像をいじれるツールがあり、ほぼできない写真の修正は無いと言っていいくらい、画像をいじり倒すことは可能ですが、プロからすれば邪道と考えるのは当然のこと。

ですから、プロはその場で確認できないフィルム撮影の時代から、同じ被写体の写真を条件を変えていくつも撮影したり、時にはカメラを変えてみたりと、元の写真が気に入らない場合に代替えを周到に用意することを忘れません。

素人の場合は、失敗写真のほうが多いし、いくらデジタルで何枚も撮り直しが利くからと言っても、なかなかそこまでシャッターを切りまくるというわけにはいきません。いくつか、構図の勉強のために修正をしてみましたが、やっぱり初級者のうちは、若干の補正・修正はしかたがないところ。

そこで、ある程度の画像の修正のための知識というのも、時には必要です。写真全体を一度に修正するだけならば、写真専用の「現像ソフト」と呼ばれるものがあります。

Adobe Photoshop Lightroomは、市販品としては代表的なもの。細かい部分の修正や合成などをするのは、通常のPhotoshopが限りなく便利なのですが、Adobe製品は昔から高価で手が出しにくい。

現在では、フリーウェアで優秀なものがありますので、Adobe製品でなくてもいくらでも同等、時にはそれ以上のことが可能です。現像ソフトとしてはRawTherapyが代表的ですし、修正・合成ソフトとしてはGIMPが有名です。

さて、次の失敗写真を見てください。
この写真で意図したのは、上野動物園に向かう道沿いの紅葉・・・のはずだったのですが、何しろまだ紅葉がたいしたことがない。これは時期と天候と問題ですが、何しろ一番いい時にまた来るというわけにもいきません。

空が明るすぎて、露出がオーバーになってしまい、白く色が飛んでしまいました。もっと絞らないといけなかったのですが、この状態でも樹々と歩いている人々は逆に露出アンダーで暗くなっていて、これ以上絞ったら真っ黒でしょう。

構図だけは、ちよっとまし。地面は下1/3に入り、上野動物園の文字が左下交点にきています。右側の紅葉の樹々は対角構図で手前にダイナミックに伸びてきていて、立体感があると思います。

となると、このまま捨てるにはちょっと惜しい感じなので、修正を加えてみます。テクニックとしては、HDR合成と呼ばれるものと、彩度の修正作業です。

カメラにはHDR機能がついてるので、最初から露出のことが頭にあれば機能させて写真を撮ればよかったのですが、どうも初心者はそこまで頭が回りません。

HDRとは、High Dynamic Rangeのことで、明るいところと暗いところの差が大きいこと。風景ではしばしば、そのレンジの差を写しきれないため、明暗のバランスの悪い写真ができたりしやすいと言われています。

そこで、明るいところは暗く、暗いところを明るくするようにして、広いダイナミック・レンジを一枚の写真に描くように合成するということが時に必要になるわけです。

そして、写真の中で最も見せたい部分・・・それをヴィジュアル・ウェイトと呼びますが、色づきの弱い樹々の紅葉を鮮やかにしたいので、色調を調整して彩度を上げるという作業をしたい。

そこで、明るすぎる空と、暗すぎる地面、彩の悪い樹々というように写真を分割します。それぞれのレベル補正と色相・彩度調整を行った写真がこちら。
 わかりやすくするため、多少オーバーに強調して修正したので、だいぶわざとらしい感じですが、失われていた青空と雲が見えてきましたし、樹々も紅葉らしくなりました。

実際に、写真を撮るときに見えていたイメージに近い修正をしたことで、天高い秋空のもと、紅葉の道の進んで動物園に行くというイメージが湧いてくる感じがしませんか?