Miles Davisの新譜が出ました。
とは言っても、Milesは1991年に亡くなっているわけで、当然新たな録音のわけがない。Milesのこなしたたくさんのコンサートの記録は、死後に登場した膨大な海賊版により出尽くした感があります。
このところ登場する新譜は、Bootlegシリーズと呼ばれるもので、今回はその第6弾。海賊版ですでに登場している音源ばかりですが、音質はまぁまぁで、何よりも公式に発表されることに意味があります。
海賊版は、出ては消えでマニアでも手に入れにくいものが多い。公式化したことで、音源が今後もずっと一定の作品として保たれることになります。
もっとも、Milesが発表することを念頭に録音したものではありませんから、必ずしも作品の内容として最良とはいえないかもしれません。しかし、Milesの歴史を語る上では、もともと正式に発表された作品の間隙を埋めて行くことができまする
今回のBootlegシリーズで登場したのは、1960年ヨーロッパ・ツアーの模様。これは、John Coltraneとの最後のツアーということで、今までにも海賊版はたくさん登場していて、しかも比較的手に入れやすいのですでに所持している人は多いもの。
マニアからすれば今更というアイテムですし、出てくる曲もお馴染みの物ばかりだとは思いますが、あらためてColtraneの豪放なテナーがさく裂し、今となっては伝統的なジャズに近い音で十分に楽しめる。
この時期のツアーでは、テナーがSonny Stittに代わってからのものもありますが、Coltraneとの差が圧倒的(に低い)です。やはり、Coltraneの凄さが再認識できるわけで、もはやMilesの手下の位置には甘んじることができないことがはっきりします。
Bootlegシリーズは、ここまであっと驚くものはありませんが、今後も歴史的意義のある音源を公式化することは是非つづけてもらいたいものだと思います。